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コーヒーとコレステロール

そして血糖値との関係

青山貞一

東京都市大学名誉教授
環境総合研究所(東京都目黒区)顧問

掲載月日:2013年12月22日
独立系メディア E−wave Tokyo


 コーヒーが気管支ぜんそくに効果があることが分かりました。
 
 ところで先に掲げたコーヒーの効用のなかに、コーヒーはコレステロールの値を下げ、動脈硬化を予防するというのがあります。さらに、聞くところによるとコーヒーは、飲み方次第で血糖値を下げるという話も聞いています。 

 ただし、出典は、コーヒーの効用(効能)と害について です。

◆コーヒーの効用(効能)
 
・平滑筋を弛緩させることによって気管支喘息や狭心症の改善に作用する(効果は弱いです)
・大脳皮質に作用して精神機能、知覚機能を刺激する結果、眠気や疲労感を取り除き、思考力や集中力を増す
・中枢神経に作用し、呼吸機能や運動機能を高める
・心臓の収縮力を高めることによる強心作用(低血圧を一時的に改善)
・腎臓に作用して利尿効果を促進する
・胃液分泌を促進し、消化を助ける
・アセトアルデヒド(二日酔いの原因)の排泄を促進する。(二日酔いの頭痛に効果)
・脳内の血流を良くすることによって、脳血管性の偏頭痛を静める
・ボケやパーキンソン病の予防効果

 この他コーヒーの効用としては

・ポリフェノールなどが活性酸素を除去し、過酸化脂質の発生を抑えることにより、肝臓ガンや消化器官のガンなどを予防する
・飲酒による肝臓の負担を軽減する。(カフェインの作用とは別に)
・ニコチン酸(ビタミンB群に属する必須栄養素)が血液中のコレステロール値を下げ、動脈硬化を予防する
・皮下脂肪の分解を促進し血液中の脂肪酸を増加させる。結果、持久力が増す。(ダイエット効果あり!?)
・コーヒーに含まれるフラン類※3-1がニンニクやニラ等の臭いの元を消す※3-2ことによる口臭予防

出典:コーヒーの効用(効能)と害について

 まず、コレステロールとの関係ですが、コーヒーを飲むと悪玉コレステロールが増えるのではないかと心配されていました。しかし、研究の結果、ニコチン酸(ビタミンB群に属する必須栄養素)が血液中のコレステロール値を下げ、動脈硬化を予防することが分かっています。

 さらに、米医学会誌「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」に発表された研究をはじめ、多くの研究調査では、「コーヒー飲用と血中脂質値との間に関係は全く認められない」と報告されています。また国内では1988年に日本動脈硬化学会で「コーヒーは動脈硬化を予防する善玉コレステロールを増加させる」という研究結果が発表されました。

 これについては、防衛医科大学 石川俊次助教授が、「コーヒーは動脈硬化予防に働く善玉コレステロールを増やす」というブログを書いていますので参照してください。

 次に

 血糖値についてですが、たとえば食事の仕方で血糖値は大きく上下することは知られています。メインの食事以前に、サラダなど野菜を多くとった後に、メインの食事をすると、血糖値が上がらないのは有名です。

 一方、コーヒーに含まれるカフェインは、一般的にはアドレナリンの分泌を増やします。 言うまでも無くアドレナリンはインスリン分泌を抑制する働きがあります。このため、一般的にはコーヒーを飲むと血糖値が上がるはずです。

 しかし、よく調べると食事の前にサラダを食べると血糖値が上がらないのと同様、コーヒーが血糖値が上がるのは、どうも食事の後にコーヒーを飲んだ場合のようですす。

 理由は簡単、インシュリンが分泌されていない空腹時にコーヒーを飲んでも血糖値は上がらず、さらにコーヒーに含まれる多量のカフェインには、血糖値を下げるミトコンドリアを活性化させるPGC1αを増やす効果があります。

 PGC1αが増え、その結果、ミトコンドリアが活性化すれば血糖値は下がります。

 したがって、コーヒーは飲み方次第でコレステロールを下げるとともに、食後に飲み続ければ血糖値を下げるのです。

 要約的に言えば、コーヒーはサラダ同様、食事の前の空腹時に飲むことで血糖値を下げる働きがあります。しかし、飲み方次第で、血糖値を上げるので糖尿病の人は注意が必要です。


◆血糖値の測定について

 ところで血糖値の測定だが、定期健康診断でも入院時でも、その都度、耳や腕に傷を付け、そこから採取した血液をもとに測定してたるのですが、血糖値は測定する時間によって著しく変化します。

 入院時に血糖値測定は朝食前、昼食前、夕食前の3回に上記のように耳たぶや腕を切って血を採取して行うのだが、患者にとってはこれが結構しんどいのです。

 朝食前は翌日夕方以降、水以外なにも接種しないので、おおよそ90-110mg/dlの範囲に入りますが、昼食と夕食前の測定では、4時間ほど前に食事をとり、場合により見舞でいただいた菓子などを食べていることもあり、200〜280mg/dlにもなります。
 
 図示すると以下のようになる。


出典:http://ucheck.jp/pphg/index.html

 この血糖値測定について、2009年10月末、日本でも血糖値を連続モニタリング可能なシステムである持続血糖モニター(CGM)が承認されています。

 今のところ保険適用はないようですが、これを使えば、上図のように連続し一定時間間隔で血糖値が自動計測され、ロガーにデータが蓄積されます。入院中これを装着していれば、相当きめの細かなデータが得られ診断に大いに役立つはずです。

 
血糖値連続モニタリンス・ロギングシステム CGM
出典:http://dm-rg.net/news/2009/11/002204.html

 実際、日刊ゲンダイの記事によると、このCGMに詳しい東京慈恵会医科大学の糖尿病・代謝・内分泌内科の西村講師が「糖尿病患者はこれまで刻々と変わる血糖値を把握するため、血糖自己測定(SMBG)を行ってきました。

 しかし、この方法では1日2〜4回の測定がせいぜい。血糖値の変動が激しいひとは、その実態を把握できません。ところが、今回承認されたCGMは、血糖値を5分ごとに1日288回測定し、連続して72時間モニターできます。これによりこれまで見過ごされてきた問題点を把握できるようになります」と述べています。

 まさにその通りです。ですが、私が3年前その慈恵医科大学病院に入院していたときは、依然として従来型が使用されており、痛みを伴うなど患者の負担も大きかったです。

 記事では、たとえばある50代の男性は、朝食後に血糖値が300mg/dlを超え、昼食後には100mg/dl以下に急降下。昼食後は再び急上昇していることが判明しました。しかも、睡眠中の午前1時から5時頃は70mg/dl以下の低血糖になっており自覚症状もありません、などきわめて重要なデータが得られていると報じていました。

 しかも、CGMの操作は至って簡単。腕かお腹(上の写真参照)に専用の器具を刺し、血管の周辺の間質液中のグルコース濃度を連続測定します。データをパソコンに移し解析します。ただし、CGMの測定値は、静脈でのグルコース濃度を測定する血糖値とは異なりますので、SMBG(1日4回程度)の測定値を利用し、補正しなければならないわけです。