重要な政策を方向づける政府の審議会や懇談会。その委員は、事務局を担当する省庁が選んでおり、行政の「隠れみの」との批判が絶えない。
そんな現状の改革を求めるシンポジウムが東京で開かれ、委員を公募し第三者が選考に関与する英国型の制度が提案された。
経済政策の基本方針を議論する経済財政諮問会議、通信や放送の在り方を提言する情報通信審議会…。総務省によれば、法令に基づく審議会などは昨年十月現在で百十五ある。懇談会や検討会を含めれば少なくとも数百に達する。
弁護士の日隅一雄(ひずみ・かずお)さんは「審議会委員は省庁が御用学者や官僚OB、財界人らから一本釣りしている」と指摘。武蔵工業大教授の青山貞一(あおやま・ていいち)さんも「審議会は国民に選ばれたメンバーではなく、正統性がないのに、国会や裁判所に代わるようなことをやっている」と問題視した。
総務省の審議会委員を務めた東京大教授の醍醐聡(だいご・さとし)さんは「一番驚いたのは、答申をまとめるのが事務局の役人だということ。宿題を出した人が、答案を書くのはおかしい」と強調した。
日隅さんは近著「審議会革命」(現代書館)で紹介した英国の「公職任命コミッショナー」制度について、審議会委員はもちろん、官僚以外の公的機関幹部を公募の上、第三者が選考に関与すると解説。「独立性を確保できるし、天下り防止にもつながる」と述べ、日本でも導入するよう提起した。
このほか「制度改革を下から支える市民の動きが大事」「審議会はそもそも不要だ。国会が行政に丸投げしているのが問題」といった意見が出た。
主催した「コミュニケーションの権利を考えるメディアネットワーク」(コムライツ)は今後、まず通信や放送の規制権限を総務省から独立行政委員会に移し、透明性の高い方法で委員を選ぶよう訴えていく方針だ。
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