周知のように、東京地検特捜部は2009年3月4日に小沢代表の第一公設秘書をいきなり逮捕する「挙」にでたが、元東京地検特捜部の検事、郷原信郎教授は政治資金規正法との関係においてすら東京地検は公判を維持できないほどの「暴挙」だと言明している。
なによりもこの問題は2006年時点の問題をこともあろうか麻生内閣支持率が10%前後に落ちた政権交代前夜に東京地検特捜部が行ったことだ。しかも、東京地検がリークする情報をNHK、民放、新聞を問わず、ことさら針小棒大に垂れ流し、あたかも小沢代表が個別具体の公共事業案件との間での賄賂・贈賄であるかの印象を国民に与えた。
巷では、多くの識者らが東京地検特捜部がこの間行ったことは、小沢代表や民主党を標的にして、政権交代を阻止するための「国策捜査」ではないのか、との批判が数多くなされた。それを裏付けるかのように、もと警察庁長官だった漆間巌官房長官補が「東京地検の捜査は自民党に及ばない」という趣旨の発言を記者との懇談の場で発言した。
かくして約一ヶ月、大マスコミはただ東京地検特捜部がリークする一方的な情報を識者のコメントすら付けず垂れ流した結果、政府・自民党が抱える膨大な問題はそのままで麻生内閣の支持率は20%台と大幅に上昇し、自民党支持率も大幅に増加することになった。
ところで西松建設から表(政治資金収支報告書に記載されているカネ)、裏(政治資金収支報告書に記載されていないカネ)を問わず政治家に渡ったカネで件数で圧倒的に多いのは、自民党及び自民党系の政治家、知事である。
他方、表の金額が多いということでいきなり秘書が逮捕された小沢代表ら民主党は、2名に過ぎない。しかも小沢代表が繰り返し述べているように、小沢代表に政治団体から分かったカネは政治資金規正法に基づく表からのものである。
自民党の政治家の中で表で一番多かったのは、二階経済産業大臣だ。それ以外にも、自民党には総理経験者、大臣経験者、要職経験者がいた。またすでに辞意を表明している石川静岡県知事や東京地検特捜部に任意で取り調べを受けた直後側近が視察した村井静岡県知事らもいる。
なかでも、現職の大臣である二階経済産業大臣については、早い段階から東京地検は小沢代表公設秘書をこともあろうかいきなり逮捕し、徹底的にあることないこと情報を一方的にリークしながら、表の件数で圧倒的に多い自民党代議士、とくに二階大臣を捜査しないのは不公平、不公正ではないのかという批判が巻き起こっていた。
「国策捜査」と揶揄される今回の一件では、大マスコミは東京地検がリークする情報に圧倒的多くを依存し、自ら調査し報道することがなかったため、東京地検が年度末となり捜査態勢が代わり、人事異動が起きると、西松関連の政治家に係わる記事が著しく減少した。
他方、知人の横田一氏(フリージャーナリスト)が3月中旬以降、和歌山県や大阪大阪府の現地に入り、二階経産大臣の周辺を独自に調査したところ、次々に状況証拠がでてきた。どうしようもない思考停止の大マスコミの一部は、横田氏の記事を受け追跡取材してゆくと、次々に疑惑がでてきた。
それは西松から表でパーティ券を大量に購入してもらっている問題だけでなく、二階事務所の経費を西松に永年肩代わりさせてきた問題、すなわち他人名義の寄付や虚偽記載を禁じた政治資金規正法違反の疑い、さらに1999年以降、関空や羽田空港など大規模公共事業の受注を西松が二階大臣に働きかけていたことなどが判明してきた。
言うまでもなく二階氏は、現在は経済産業大臣だが以前は運輸大臣もしている。すくなくとも小沢代表は野党代表であっても何ら職務権限がないが、二階氏はこの間、政府の中核を占める大臣を歴任してきた。
下は最近の二階大臣を巡る西松建設疑惑の一部であるが、これだけ多くの疑惑がある二階大臣であるにもかかわらず、東京地検特捜部は小沢代表のときのように格段の捜査をしていないせいか、またリーク批判が巻き起こっているせいか、小沢氏のときのような連日連夜のリークはないようで、新聞、テレビもほとんど報道していない。
今回の東京地検特捜部の恣意的、意図的なリークに加担し、一方で権力の座にる巨悪を放置し、他方で政権交代の芽を潰している大メディアは、自壊の道を歩むであろう!そうなっていないのは、日本国民が情報操作に弱く、ノー天気であるからである。
東京地検と大メディア合作による政権交代潰しと言われないためにも、今後、二階大臣はじめ政権にいる政治家の疑惑を徹底的に捜査し、立件しなければならない。また「権力の犬」「権力者のポチ」と化している大メディアも、権力、権限がある政治家らを自らの足を使い調査し、スクープを連発しなければならない。
西松建設献金事件:
|
西松建設提供の賃貸事務所、二階氏側が物件指定西松建設側が二階俊博経済産業相の関連政治団体の事務所費を補てんしたとされる問題で、二階氏の実弟が具体的な物件名を挙げ、事務所として提供するよう西松建設に要求していたことが3日、同社関係者などの話で分かった。当初同社が提供した物件は希望に沿わないとして、あらためて指定してきたという。 西松側が、個人献金を装い、家賃相当額を二階氏側に提供していたことがすでに判明。東京地検特捜部は3日、他人名義の寄付や虚偽記載を禁じた政治資金規正法違反の疑いがあるとみて西松側からの事情聴取を再開。二階氏側への献金の流れについて本格捜査に乗り出したもよう。最高検などと協議し、立件の可否などを最終判断するとみられる。 同社関係者などによると、二階氏の実弟は1999年ごろ、自分が実質的に運営する政治団体「関西新風会」に事務所を提供するよう西松建設関西支店に要求。西松建設本社の総務部が了承し、同支店が物件を用意。二階氏側がいったんこれを拒否し、改めて希望するマンションを指定してきたという。(07:00) |
西松疑惑「関西新風会」の届け出“住所”に二階派議員の親族企業会計責任者も献金も提供二階俊博経済産業相側に準大手ゼネコン「西松建設」が、同氏関連政治団体の事務所マンションを無償提供した疑惑で、同政治団体が自民党二階派の矢野隆司衆院議員(比例近畿)のファミリー企業と、人脈でも資金面でも密接な関係にあることが二日、本紙の調べでわかりました。 西松側から事務所の無償提供を受けたとされるのは「関西新風会」。同会は大阪府選管に、大阪市北区梅田にあるオフィスビル二十七階の「矢野興産内」を「主たる事務所」所在地として届け出ています。 しかし、この住所に行ってみると、「関西新風会」の存在を示す表示はまったくありません。ビルのフロアの大半は、水道・ガス管製造整備大手の大成機工(矢野裕史社長、資本金約一億円)のオフィスが占め、フロアの一角に同社関連企業の矢野興産があります。 矢野議員は、大成機工の元副会長で、現社長は親族です。同氏は矢野興産でも取締役でした。 新風会が府選管に提出した資料などによると、同会の会計責任者には一九九〇年から大成機工の役員が就任しています。現在の会計責任者も同社元役員。大阪営業部長だった〇四年当時に新風会の会計責任者になっています。資金の出入りを管理する会計責任者は、政治団体の要職であり、同社と二階氏の関係の深さを示しています。 大成機工は、二階氏が支部長の「自民党和歌山県第三選挙区支部」に〇七年に二十万円を献金。矢野興産も〇四―〇七年に毎年十二万円ずつ計四十八万円を提供しています。〇五―〇七年に行われた二階派のパーティー券も両社で計二百十万円分を購入していました。 矢野興産の担当者は「(関西新風会の)事務所の住所が、この場所にあることは知らなかった。関西新風会が活動しているのを見たことはない」としています。 「関西新風会」の実際の活動は、大阪市西区にあるマンションの一室で行われていたとみられます。西松建設は、関連設計会社に四千万円を同マンション購入費用として融資。設計会社が関西新風会と年間約二百八十万円の賃貸契約を結んだといいます。 西松建設は、和歌山県第三選挙区支部に個人献金を装い年間三百万円を献金し、家賃を補てんする形で事務所を無償提供していたと指摘されています。 しんぶん赤旗 2009年4月3日 |