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福島県浜通りに残された
秀逸な歴史的風景が
危機に瀕しています!

青山貞一 Teiichi Aoyama 11 April 2009

独立系メディア「今日のコラム」

 
 下のすばらしい自然景観は、筆者が昨年12月に福島県南相馬市原町区大甕
(おおみか)で撮影したものだ。

 江戸時代に作られた「ため池」と里山、谷戸田がおりなす農村風景は、希有な原風景を今なお残している。

 ところで、二つめの写真をよく見て欲しい。対岸に「原町共栄クリーン」とある。実は、この地域一帯を産廃業者である共栄クリーンが土地を買い占め、そこに産業廃棄物のさ最終処分場と焼却施設を設置しようとしている。

 私は過去3度、地元住民や弁護士等の依頼で現地を視察してきた。理由は、地元住民がなんとかして、このすばらしい里山とため池を守るために地元住民が起こしている裁判を支援するためである。

 この地域では、何と過去から現在に渡り13の裁判が住民側、業者側から起こされている。中には仙台高裁に行っている裁判もある。司法の機能不全が叫ばれて久しいが、こともあろうか、住民側に損害賠償を認めた初審判決もある。

 現地に行ってみればすぐに分かるが、昔の原ノ町市、現在の南相馬市原町区一帯は、福島県の浜通りに位置し、地形的にはほとんど平坦な地域だ。この原町区大甕(おおみか)地域だけが、起伏に富んだ風光明媚な自然景観を形成している。

 南相馬市は市町村合併でできた基礎自治体、以前は原ノ町市で、仙台まで行ってから常磐線で南下した方が近い福島県北部の太平洋に面した浜通りのまちである。

 福島県は、いわば県の環境資源であり、希有な景勝地にこともあろうか産廃の最終処分場と焼却炉の設置許可を早々に下した。福島県に限らず、私が特別地方公務員で勤務した長野県でも、産業廃棄物の担当部署は産廃業界とツーカー、生活環境部長は退職するとすぐに産廃団体の事務局長となる有様だった。ついこのあいだまで環境行政にいた責任者が退職後、産廃業の中枢に天下るのである。

 私は知人の弁護士からの依頼で何度も意見書を書いてきたが、聞けば13件も起きているこの地域を対象とした裁判で、判事は現地に足を運んでいないらしい。

 もし、一度でも現地に足を運んでいれば、県が安易に下した設置許可がいかに人格権や環境権を踏みにじる暴挙か、がわかるというものである。

 今日、私は4ヶ月かけ、鷹取敦さんと取り組んだ焼却炉から飛散するダイオキシン、重金属、大気汚染の3次元流体シミュレーション結果を含め100頁に及ぶ新たな意見書を仙台高裁宛に送った!
 

撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 2009.12


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 2009.12


グーグルマップの衛星画像で見た南相馬市原町地区
右側は太平洋