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新型インフル大騒ぎは、
自民党の選挙対策か!


日刊ゲンダイ 20 May 2009
独立系メディア「今日のコラム」


「政府からのお知らせです」

 仏頂面の麻生首相がこう呼びかける新型インフルエンザ対策のCMが、19日から流れ始めた。首相が登場する政府広報スポットCMは、愛知万博を宣伝した小泉以来というレアケース。それも解散・総選挙直前のこの時期だ。政府広報というより、まるで自民党の選挙運動である。



 内閣府は、「麻生首相自身、新型インフルエンザ対策本部長を務めており、国民に直接メッセージを発する必要があると考えた」と説明するが、会見で十分だろう。一日中流す必要があるのか。

 費用は政府広報の年間予算(3億円程度)の範囲内でまかなうというが、税金で選挙運動は許されない。不況で民間企業のCM出稿が減っている民放テレビ局にとって、正規料金でCMを出してくれる政府はオイシイ客だ。首相自らのCM出演は、選挙目当てのマスコミ懐柔策じゃないのか、とすら疑いたくなる。

 麻生だけじゃない。舛添厚労相の過剰なパフォーマンスも見ていられない。真夜中の会見で大騒ぎし、水際対策に血道を上げたのに空振り。しかも、海外渡航歴にとらわれ過ぎたために国内での発見が遅れた。

 それで感染者が急拡大すると、「水際作戦は時間稼ぎと申し上げていた」と苦しい弁明だ。

「神戸市で感染濃厚な患者の存在がわかったのは15日深夜なのに、国立感染症研究所で感染が確定して舛添厚労相が会見したのは16日の午後0時45分。もっと早く判明してもよさそうなものなのに、わざわざ会見を民主党代表選にぶつけたかのようでした」(民主党関係者)

 民主党代表選の両院議員総会が始まったのが午後0時半。代表選を生中継していたNHKは、途中でそれを中断し、舛添会見(録画)を放送していた。国民の生命にかかわる重大なテーマを政局に利用した格好だ。

「そもそも日本政府は海外に比べて新型インフル対策で前のめりしすぎ。もう少し長期的展望にならないともたない。麻生首相のCMは論外です。政党の党首でもあるのですから、選挙直前に政府のカネでPRとは、あまりに節度がなさ過ぎます」(政治評論家・森田実氏)

 CMのラスト、麻生は「冷静な対応をお願いします」と言っているが、首相自らの出演は「そんなに深刻なのか」と国民を不安にさせる。逆効果だということが全然わかっていないのだから、本当にうんざりだ。

(日刊ゲンダイ2009年5月20日掲載)


[ 2009年5月23日10時00分 ]