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東京地検特捜部による一方的な違法な情報漏洩を大メディアが連日連夜垂れ流すことで世論を誘導した典型が、3月3日にはじまった小沢前民主党代表第一公設秘書の突然の逮捕に始まった小沢氏への執拗なバッシングではなかろうか。 言うまでもなく、検察側がしたことは、刑事事件に関する捜査情報の故意あるいは意図的な漏洩である。 これは間違いなく国家公務員法、公務員服務規程などに違反する行為である。刑事事件であれば当然のこととして、最終的に有罪・無罪及び量刑が確定するまで逮捕された被疑者は「推定無罪」でなければならない。
にもかかわらず、地検特捜部はじめ検察庁側は、連日連夜、大メディアに対し小沢前代表についてまさに「一方的な情報提供」(=リーク)を繰り返した。 ちなみにこの2009年5月21日からはじまる裁判員制度では、裁判員には罰則付きで公判前整理手続に即して提供される各種の捜査情報、証拠について、厳格な守秘が課せられている。 裁判員制度施行以前の段階でも公判前整理手続で警察・検察から弁護士側に提供される捜査情報や証拠は、マスメディアや第三者に提供することを実質的に厳しく禁じている(以下の解説参照)。以下のWikipedia解説では、慣例となっているが、実際には非公開とされる。 事実私の教え子が不法に逮捕された刑事事件では私にも捜査情報や証拠の提供は公判前整理手続を理由になされなかった。
にもかかわらず、西松建設関連の事件、とりわけ小沢前代表に関して、検察側は何ら説明責任を負うこともなく、違法な「一方的な情報提供」(=リーク)を繰り返したのである。 半世紀ぶりに政権交代が起こる可能性が高い時期に、いきなり野党第一党代表の公設秘書を逮捕すること自体異例中の異例なことである。 しかも、西松建設問題で政治団体からパーティー券で多額のカネを得、事務所借用に関連し多額の便宜を受け、さらに関西新空港、羽田空港拡張などの工事に関連し疑惑をもたれていた二階経産大臣について東京地検特捜部は、情報リークはほとんどしていない。 職務権限を有する自民党の大臣の行状に目をつぶっていたのでは、民主党潰し、政権交代潰しの「国策操作」と言われても仕方ない。 ◆"西松事件"二階立件断念で捜査終結 日刊ゲンダイ 与党で運輸大臣を歴任し、現職の経済産業大臣である二階大臣については、政治資金規正法や公職選挙法との関連はもとより、職務権限との関連においても数倍厳しい捜査があって当然である。にもかかわらず、まさに地検は「お目こぼし」としたのである。 ....... 問題は東京地検など検察側だけでない。 日本の大メディアは、こぞって検察側による「一方的な情報提供」(=リーク)を何一つチェックすることなく、現場に行って独自に取材をすることもないまま、検察側による違法リークを、3月3日以降、そのまま各紙ともに一面に記事として垂れ流しした。 グーグル検索により、記事やテレビニュースの数、字数、時間で定量的に小沢氏と二階氏の大メディア露出を比較してみた。すると日本経済新聞以外は13:1と圧倒的に小沢氏の記事が多い。 もとより大メディアが独自に調査し報道せず、すべて検察側の違法リークをそのまま垂れ流しているのだから、よくて13:1は、そのまま地検側が故意をもって意図的に小沢氏を標的にして一方的に情報を流したことの証左となる。 以下、倍数は、小沢/二階 の関連記事、関連論考数などを示す。
日本経済新聞が二階関連記事の方が小沢関連記事より2倍多いことは注目に値する。事実、日経には二階関連記事、それも現地取材による記事が多かった。 以下は地方紙の場合である。地方紙は全国紙の場合に比べてかなりばらつきがある。 中日、京都など二階氏の事務所に近い地域で二階氏の方が2倍ほど多いが、河北新報が22.2倍、西日本新聞は19.4倍、北海道新聞が18倍、信濃毎日は13.3と全国紙以上に小沢氏が多くなっている。その他は、後述するテレビ並みの2−3倍、中日新聞と京都新聞は二階氏2倍ほど多くなっている。
次にテレビ系メディアについて見てみよう。 全体としての傾向は、小沢氏に比べ二階氏の関連ニュースは少ない(2−3倍)が、新聞記事ほど(日経以外は13倍)の開きはない。 とは言え、NHKは13.3倍と新聞並み、日本テレビに至っては25.1倍と突出して小沢氏関連ニュースが多いことがわかる。きわめて異常な数値である!!
では、新聞記事以外のインターネットブログ、Webはどうか? それについては、以下の通り、小沢:二階は2:1に過ぎない。 すなわち、大メディア以外は二階氏の疑惑に大いに注目しているということである。もちろん、インターネット系には、いわゆる事実報道記事以外の論評が多く含まれる。論評において二階氏が問題となったと言うことである。
では、読売、朝日、毎日など大手以外の地方紙に記事を配信する共同通信と時事通信はどうか? 結果は共同通信がインターネットとほぼ同じ2.2倍、時事通信はマイナス2.1倍、すなわち二階氏関連記事の方が日経新聞同様2倍多いことがわかった。
さらにおまけとしてロイター、CNNの日本語版についても調査してみた。
上記の調査結果を総括すれば、以下の通りとなる。 (1)日本テレビ(25)、河北新報(22)、西日本新聞(19)、北海道新聞(18)、神戸新聞(15)が15〜25倍と小沢氏関連が二階氏より突出している、 (2)日本経済新聞以外の読売新聞、朝日新聞、毎日新聞の大新聞と信濃毎日新聞、それにNHKが12〜13倍、CNNは7.6倍であった (3)それ以外の地方紙、テレビ局、共同通信、ロイターはおおよそ2〜3倍であった、 (4)さらに大手メディアの日本経済新聞、地方紙の中日新聞、京都新聞、通信社の時事通信がマイナス2前後と、逆に二階氏関連が小沢氏関連より2倍である ことが分かった。 上記から判明したことは、日本テレビと一部地方紙は別(論外)としても、大メディアほどは東京地検特捜部のみならず、高検、最高検、警察庁などの幹部からの「一方的な情報提供」(=リーク)を、そのまま垂れ流し的に記事にしているのである。逆に大手新聞社でも日本経済新聞、共同、時事の通信2社、他の地方紙、他のテレビ局は比較的メディアとしてのバランス感覚をもっているといえる。 ........ ところで独自調査報道をしない大メディアの二階関連記事が圧倒的に少なかったのは、検察側の二階に関連する捜査情報のリークがほとんど無かったからに他ならない。 政府や司法当局は否定するが、今回の異例、異常な小沢前代表公設第一秘書の突然の逮捕劇が「国策操作」であることを裏付けたのは、いうまでもなく、漆間官房副長官の言説である。 女性スキャンダルで辞任した鴻池官房副長官同様、官邸の中核にいる漆間巌官房副長官(前警察庁長官)が、大メディアの記者との懇談の場でオフレコとしながら「操作は自民党に及ばない」と述べたのである。これを「国策捜査」と言わずして何というのであろうか? ちなみに、東京地検特捜部 国策捜査 の2つのキーワードを使いグーグルで検索すると35,600件ヒットする。それだけ多くの識者が疑義を呈しているわけだ。 西松事件で公に発言している元東京地検特捜部の検事、郷原信夫名城大教授は、検察側からメディアにもれる捜査情報の多くは、地検から高検、最高検など上層部に情報がもちあげられるときであると言明している。 となれば、3月3日以降の大洪水的な小沢バッシングの情報漏洩は、漆間官房副長官の発言からも見てとれるように、東京地検特捜部だけでなく、上層部から法務省や官邸側に流れていた可能性も高い。 ◆東京地検特捜部OB対決<堀田vs郷原> Videnews.com
図1 「民度を計る」ための8段階の階段
原典:シェリー・アーンシュタイン(米国の社会学者)、青山修正版 上記をシェリー・アーンシュタインの図との関連で見れば、
がなされることになる。 ここでの大きな課題は、(1)から(4)のプロセスで、第三者による適正手続やチェックが入り込む余地がないことである。すなわち、捜査当局による情報リークはたえず匿名で行われ、それを報道するメディアは何ら読者からのチェックを受けず、投書をしても圧倒的大部分は無視されるからだ。 西松事件では、元東京地検特捜部の検事、郷原信夫名城大教授が要所で(1)についてきわめて貴重な発言をされたこと、また(1)から(4)のプロセス全体でインターネットのブログやWebで多くの識者から本質的な批判がなされたことがせめてもの救いであったが、大メディアが政府や司法当局の広報機関と成り下がっている現実は見過ごせない。 つづく |