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30年ぶりに
カナダの友人(Ken Beck Lee)と
東京で再会
青山貞一・池田こみち
掲載月日:2011年6月20日
独立系メディア E−wave


 6月19日、青山、池田共通の友人、韓国系カナダ人、ケン・ベック・リーさん(Ken Beck Lee)に東京の新宿でお会いし、美々卯(うどんすきのレストラン)で食事しながら2時間ほど英語で歓談した。


30年ぶりに東京で再開した左から青山貞一、池田こみち、Ken Beck Lee
青山は南イタリアの炎天下に無防備で10日間いたため真っ黒ですみません!
東京新宿の美々卯の入り口にて

 前回東京でお会いしたのは、ちょうど1983年なので、何と30年ぶりになる。実は、当時、青山、池田、リーと共通の友人に中華民国(台湾)の黄光輝さんがいたが、青山、リー、黄はいずれも1946年生まれ、今年で66歳になる。ちなみに黄光輝さんは、東京都立大学、
筑波大学大学院、大阪大学で博士号取得など根っからの日本通である。

 リーさんと最初にあったのは、カナダ大使館から環境総合研究所の前身である在京テレビ局系シンクタンクに電話があり、カナダからコンサルタントのリーさんという人が日本に来ており、ぜひ一度あって話して欲しいということからはじまった。そこで友人を集め、リーさんにカナダにおける都市、環境政策それにコンサルタントの社会的役割などについてお話をしてもらい、その後、質疑応答をした。突然の申し出だったが、私達が正面から対応したこともあり、リーさんはすごく喜ばれた。

 それがきっかけとなり、リーさんがカナダで開催される環境問題の国際会議に青山、池田を招聘してくれたり、国際会議の存在を連絡してくれ、幾度となくカナダを訪問することになった。当時は地球環境問題が大きくなりかけた時代、バンクーバーで開催されたGLOBE’90や1987年に開催された国際大気汚染防止協会主催の国際会議などにでかけ、日本の環境政策の実態を発表したりした。

 その後、私達がカナダのノバスコシア州、ハリファックス市、ルナバーグなどのゼロウエイスト政策に関連し、何度もハリファックスやケープブレトン、セント・ジョーンズなどにでかけたり、カナダのオンタリオ州にある化学物質分析会社と業務提携を結ぶなど、何かとカナダと連携してきた背景には、30年前に東京で出会ったことがあるかも知れない。


環境弁護士等30名を連れてカナダノバスコシア州
ハリファックスのゼロウエイスト政策の現場視察


 リーさんが何でカナダの分析会社を環境総合研究所のアウトソーシングに使っているのかと聞かれたので、池田が、1998年当時、日本の分析会社はダイオキシン分析などで実質「談合」状態にあり、分析費用が欧米の3−5倍も高く、また住民、NGOなどが分析をひとつ依頼しても、なかなか引き受けてもらえない状態にあったこと、また分析については第三者性が重要である。第三者性をを得るために、敢えてカナダの分析会社にアウトソーシングした経緯を詳しく話した。さらに日本の分析会社からは、それこそ結果の数字が紙一枚で来るが、カナダの分析機関からは、精度管理データ、精度保証データなどを含め結果が来るので、国際学会に論文発表する大学などの研究者からの私達の研究所への依頼が多く来るようになったと話した。

 ※環境総合研究所/カナダ・マクサム社の化学物質分析サービス


環境総合研究所が技術業務提携しているオンタリオ州にあるマクサム社の分析研究所

 カナダの分析機関との技術、業務提携が縁となり、カナダ大使館で開催されるカナダの環境大臣を交えての夕食会や各種催し物に青山、池田が招待されるようになり、その場で大臣に日本の実態について話したりしていた。

 最初にカナダを訪問したのは、アルバータ州カルガリーで開催された国際大気汚染防止協会(学会)である。私達はリーさんに呼ばれ彼のバンクーバーの自宅でニ泊し、サリーというバンクーバー近くのすばらしい都市環境計画のものにつくられた緑と水がゆたかなまちを訪れた。

 リーさんは父親が北朝鮮、母親が韓国と分断されていて、若くしてカナダに家族ともども移住し、市民権、国籍を取り、現在、韓国系カナダ人として環境、土木などの分野の国際コンサルタントとして大活躍している。両親はそれぞれ北朝鮮、韓国で他界されている。

 30年前最初にあったときもリーさんは、もともとソウル大学卒業後、カナダのブリティッシュコロンビア大学大学院を卒業、その後オタワ大学の準教授、サリー市の都市計画担当の特別公務員、さらに専門の土木工学分野で自宅に置いた会社で下水道計画、洪水制御関連などのソフトウェアの開発もおこなっていた。現在何をしているかと思ったら、大学以外にカナダ環境省(Environment Canada連邦政府)関連のコンサルタント、気候変動政策(CDM)の国際ファシリテーターに加え、一昨年は国会議員(連邦議会議員)にも立候補したとのことである。

 落選はしたものの、再来年、再度国会議員に挑戦すると言明していた。これには少々おどろいた。というのも、青山は昨年大学、研究所を定年し、池田も研究所を定年したが、リーさんはこれから国会議員に立候補しようというのだからおそれいる。

 以下は、グーグルで検索したリーさんの経歴である。

Current
 Owner at New East Consulting Services Ltd.

Past
 BC Regional Manager at UMA Environmental
 National Director of Computer Applications at UMA Engineering Ltd.
 BC Regional Director of Computer Applications at UMA Engineering
 Planning and Research Engineer at District of Surrey, BC

Education
 The University of British Columbia
 McMaster University
 Seoul National University

 以下のような立候補時の写真もあった。



 経歴紹介の最後に、以下があった。リーさんが言われたように、新ウエストミンスターというリベラル政党から国会議員候補として立候補していた。

 Mr. Lee is currently the candidate for the Liberal Party of Canada for New Westminster - Coquitlam.

 Ken Beck Lee is the Principal of New East Consulting Services Ltd. and has over 30 years of diversified experience in a wide range of civil engineering fields (including both consulting and local government). He has applied his knowledge and skills in solving various engineering problems related to hydrology, drainage, stormwater management, combined sewer overflow, inflow/infiltration to sanitary sewers, water supply and distribution, solid waste management, transportation planning, fiscal modeling, and geographical information systems (GIS).

 He has also carried out computer programming, numerous systems analyses and designs, and hardware/software evaluations. Four worldwide copyrights on computer programs have been registered under his name.

 His recent initiative is to assist government agencies and businesses in developing countries in undertaking Clean Development Mechanism (CDM) projects under the Kyoto Protocol of UN Framework Convention on Climate Change (UNFCCC). Recently, he has been appointed as a member of the CDM Assessment Team appointed by the UNFCCC CDM Executive Board.

 何とリーさん関連のグーグルの検索数は1100万件もあった。そこで、リーさんにカナダの連邦の立法、行政関係者でリーさんにことを知らない人はいないのではないかと、質問すると、最低でも半分のひとは知っているはずと答えられた。

 ところでカナダでは、大学、行政、民間の間での人的交流が非常に盛んであり、リーさんはそれを地で行っている。実は青山が田中康夫氏に依頼され2003年に長野県に特別公務員で赴任したのも、大学で政策を教える人間が行政の現場、実務を知らずしてどうする、という考えがあったからだ。また議員に立候補こそしていないが、今でも青山、池田は某国会議員の実質政策支援をしている。


30年ぶりに東京で再開した左から青山貞一、池田こみち、Ken Beck Lee
東京新宿の美々卯の入り口にて

 リーさんが行かれた世界各国、地域についてはなしていたら、28の少数民族がいるラオス・中国国境にある雲南省昆明市石林の母系家族の話になった。その延長で女性の社会参加そして議会における女性議員の割合に話が移った。

 なぜ、雲南省昆明市石林に行ったの? と聞くと、近くにある湖沼の水質改善のコンサルティングだそうだ。帰宅後調べたら、下の地図にあるように、確かに雲南省昆明石林近くには、大きな湖があった。


中国雲南省昆明市石林

 カナダの連邦議会では現在33%が女性議員とのことだ。日本はどうかと聞かれたので、すかざす青山が11%と応え、さらに世界で125位の酷さであると伝えると、リーさんも、日本の女性差別は最悪だと言い出した。女性差別は、英語でDiscrimination against womenというが、日本は先進諸国で最悪であると3人で認識が一致した。

 リーさんは、カナダ政府関連コンサルタントとして、何度も気候変動枠組条約締結国会議など国際会議に参加しているが、日本政府の代表団には数10人いても女性は一人もいないと言っていた。

 彼が国会議員候補となったときの政党は、カナダのリベラル系の政党だそうだが、その政党はアジェンダ(公約)で男女平等やホモセクシャルなど、ジェンダーも大きなテーマとなっているそうだ。いずれにしても、日本の政治家による従軍慰安婦問題発言が、さもなくても野蛮な国、女性差別の国と思われている日本の品格をとどめなく落としていることは間違いない。

 ところで帰り間際、リーさんが今まで行った国は70カ国、その中には北極もあるという話となったので、そのなかでも滞在して最も良かった国、好きな国はどこかと青山が聞くと、何とイタリアという返事がすぐに帰ってきた。イタリアには5回行っていると。

 グーグル検索で以下の情報もでてきた。先進国だけでなく、多くのアジア、アフリカ、インド洋などの途上国にも行かれており、最近では南米や中国、ブラジル、ロシア、インドなどBrics諸国にもよくでかけている。

 Is the Principal of New East Consulting Services Ltd. During his diversified career of over 30 years, he has worked for a number of consulting firms, local government, and three research/academia institutes. He also has substantial international consulting experience in many countries including Korea, Thailand, Indonesia, Malaysia, Singapore, Philippines, Brunai, Maldives, and Tanzania. In addition, he owns four worldwide copyrights on computer software and his expertise includes computer modeling and analysis of financial and engineering systems, value engineering, policy and business strategy development for government and private sectors, solid waste management, storm water management, and environmental impact assessment.

 そこで私も66歳になるまで、アフリカを含め60カ国近くでかけているが、滞在して最も良かった国、好きな国はイタリアである。

 この6月中旬まで南イタリアにでかけたが、その行き先、ソレント半島、アマルフィ海岸には、今回で3度も行っている、などと言って意気投合した。ちなみに、リーさんが行っていたアフリカの国の中にインド洋のセーシェル島があったが、青山はインド洋に関しては、趣味を含めセーシェル、レニュニオン、モリシャス、コモロイスラム共和国、マヨットなどがある。

 以前、リーさんが東京に来られたとき東京のホテルで寿司を食べ請求書を見たら万単位となっており、日本のあらゆる物価の高さにびっくりしたという話があるが、今回は日本のホテルが一流の名前がつくホテルでもあまりにも部屋狭いことに閉口するとおっしゃっていた。まさにその通りである。日本の常識世界の非常識、悪い意味でのガラパゴス化の典型例であろう。

 ぜひ、近いうちにバンクーバーでお会いしましょうと言ってお別れした。