第45回目の衆院選は2009年8月30日に投開票され、8月31日未明、全議席が確定した。
結果は、事前の予想通り、民主党が300議席を超す308議席を獲得して地滑り的な圧勝、実質半世紀以上続いてきた自民党政権が終わり、政権交代が確定した。
今回の衆院選では、308議席を獲得した民主党の得票数は小選挙区、比例代表ともこれまでの最多記録を塗り替えている。
小選挙区では5割の得票率で7割の議席を獲得した。これは得票率の差以上に議席数に開きが出る<小選挙区制の特徴>が顕著に表れた結果である。
●政党別獲得議席数:
以下は、第45回衆院選の確定結果を示している。
第45回 衆院選の確定結果
|
今回 |
小選挙区 |
比例区 |
選挙前 |
自民 |
119 |
64 |
55 |
300 |
公明 |
21 |
0 |
21 |
31 |
改革 |
0 |
0 |
0 |
1 |
無所属 |
0 |
0 |
- |
0 |
民主 |
308 |
221 |
87 |
115 |
社民 |
7 |
3 |
4 |
7 |
国民 |
3 |
3 |
0 |
4 |
大地 |
1 |
- |
1 |
1 |
日本 |
1 |
1 |
0 |
0 |
無所属 |
2 |
2 |
- |
0 |
共産 |
9 |
0 |
9 |
9 |
みんな |
5 |
2 |
3 |
4 |
諸派 |
0 |
0 |
0 |
0 |
無所属 |
4 |
4 |
- |
6 |
計(定数) |
480(480) |
300(300) |
180(180) |
478 |
作成:独立系メディア
第45回 衆院選の確定結果(政党別各獲得議席数)
凡例:上表の今回(合計)部分をグラフ化したもの
第44回 衆院選の確定結果(政党別各獲得議席数)
凡例:上表の前回(合計)部分をグラフ化したもの
野党第1党が選挙で過半数を取り政権を奪取するのは戦後初めてのことであり、同時に一党が総選挙で308議席を取得したのも戦後初めてである。
一方、自民党は選挙前の300議席から一気に119議席に落ち込んだ。多くの閣僚経験者が小選挙区で落選するなど、歴史的な惨敗となった。これは自民党が1955年に結党されて以来初めてのことである。
民主党では、小沢代表代行の選挙戦術が的中した。小選挙区で10名立てた女性候補はいずれも大接戦となり、結果は5勝5敗、僅差で敗れた候補はいずれも比例代表で復活している。
●投票率:
推計で69・34%と、前回の67・51%を2ポイント弱上回った。
各党の獲得議席は、次の通り。
●小選挙区:
民主党は小選挙区で、小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降最多の221議席を獲得した。
一方、自民党は2003年の168議席にも遠く及ばない64議席と惨敗した。
小選挙区の定数は300だが、その定数に占める獲得議席数の割合(議席占有率)について見てみると、民主党が73.7%、自民党が21.3%で、その差が3.5倍となっている。
これを得票率で見てみると、民主党は47.4%、自民党は38.7%であり、両者の差は1.2倍でしかなかった。
1票でも多い候補が当選する小選挙区選挙では、有効投票数の半分以上が「死に票」となることが分かる。これは、郵政民営化選挙で大勝した自民党と同じ形になっている。
内訳は、小選挙区が民主221、自民64、社民3、国民新3、みんな2、日本1、無所属6。
民主党は選挙前の54議席から167増やした。逆に自民党は226議席から162減らした。公明党は小選挙区に立候補したで太田昭宏代表、北側一雄幹事長ら8人全員が落選し、選挙前の31議席から10減らした。
共産党(選挙前9議席)と社民党(同7)は同議席で横ばい。国民新党(同4)は1議席減、みんなの党(同4)は1議席増、改革クラブ(同1)は議席を失った。新党日本(同0)は小選挙区で初の1議席を得た。
●比例代表:
比例代表の内訳は、民主87、自民55、公明21、共産9、社民4、みんな3、新党大地1。
なお、民主党は岩手、新潟、愛知など8県で議席を独占し小選挙区で221議席と自民党を圧倒した。比例でも87議席を獲得したが、近畿ブロックでは候補者が足りなくなり、2議席が他党に回っている。
他方、自民党は岩手、秋田、新潟、長野、愛知、大分などの13県で全敗。小選挙区は64議席にとどまった。また比例は55議席と伸び悩んだ。
公明党は、8小選挙区全部で廃退し、東京12区では太田昭宏代表、大阪16区では北側一雄幹事長が落選し、結党以来最大の打撃を受けた。
結果を受け麻生太郎首相は退陣、党総裁の辞任を表明した。
鳩山由起夫代表は会見で「勇気をもって政権交代を選んでいただいたことに心から感謝する」と勝利宣言した。今後、9月中旬に予定される特別国会で鳩山由紀夫代表が首相に選出される。同時に社民、国民新両党との連立内閣が発足することになる。
今回の選挙で民主党は衆参両院で過半数を占めるため、「ねじれ」は解消する。民主党は自民党の官僚丸投げを徹底的に批判し、立法による行政のコントロール、官僚主導の打破を掲げてきたことから、戦後長い間つづけられてきた実質自民党独裁の日本の政治が終焉し、政権交代が具体化する。
今回の衆院選挙の勝利のかなりの部分は、地に足が着いた現場主義の小沢代表代行の底力が見逃せない。民主主義の根底をなす政権交代に小沢氏はひとかたならぬパッションを燃やしてきた。
来年には参議院議員選挙がある。一昨年同様、ここでも小沢代表代行による選挙戦術がいかんなく発揮されるだろう。
いずれにせよ、実質半世紀にわたり虐げられてきた国民、有権者の怒りが政権交代への大きなうねりとなり、今回の結果となったことは間違いないところだ。