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周知のように、民主党はもともと鳩山由起夫氏と菅直人氏が創設した政党だ。 その民主党はあと一歩まで自公政権を追い込みながら、いつもここ一歩でドジをこき、自民政権を延命させてきた。 そんな民主党に活を入れ、若手を育て、寄り合い所帯に磁場を与えてきたのは、いうまでもない、代表となった小沢氏であった。事実、一昨年の参議院議員選挙で小沢氏は、未熟な民主党を参院第一党に導いた。 その後、小泉首相の後を継いだ安倍、福田そして麻生内閣は、猫の目政権で、一度も総選挙の洗礼がない、すなわち単に正当性がない内閣であっただけでなく、知性も見識も責任感もなく、およそまともな政権運営はできないヘナチョコ内閣であった。対外的にも、G7諸国、さらにはG20諸国のなかで、これほどお粗末な政権はなかったのではないか。 忍耐強い日本国民も、郵政民営化問題というシングルイッシューで300議席を獲得した小泉政権が、規制緩和と市場原理主義によって結果的に弱肉強食の格差社会をつくってしまったことに怒りを隠すことはなかった。 2009年1~2月、世襲トリオの鳥をつとめたアホウならぬ麻生政権の内閣支持率が10%台と最低なり、これでやっと日本でも政権交代が起こると国民が思った途端、トンデモなことが起きた。 3月3日KYの東京地検特捜部が突如、小沢一郎代表の公設第一秘書を公職選挙法違反の容疑で突然逮捕したのである。 そしてこの3月以降、自民公明両党はもとより、東京地検、大マスコミが一体となり、徹底的な小沢一郎代表への総攻撃と中傷がはじまった。 小沢氏に係わる公職選挙法容疑での逮捕については、元東京地検特捜部に在籍した郷原教授がその異常な手法を徹底批判した。しかし、東京地検の連日連夜の作為的リークを大マスコミが鵜呑みにして連日紙面トップで報道するに及び、小沢一郎氏の名誉、信頼は毀損された。さらに悪者イメージが徹底して植え付けられることになる。 さらに4月後半には自公政権、東京地検特捜部、大メディアの総攻撃の甲斐があってか、アホウならぬ麻生内閣の支持率が10%台から何と30%台まで盛り返したのである。しかし、注目すべきは、小沢一郎氏への総攻撃にもかかわらず、国民の民主党への支持はそれほどさがらなかった。 その後、郷原教授の批判だけでなく、一部識者による東京地検特捜部に対する「国策捜査」批判が出るに及んで国民、有権者の目にも、東京地検特捜部の捜査のあり方への批判が強まった。そのひとつの理由は、東京地検は政権与党にいて職務権限をもつ二階大臣の疑惑にはまったく追求するそぶりがなかったからである。 おそらく一部識者だけでなく、国民、有権者が東京地検特捜部の捜査のあり方に大きな疑問を感じたのは、二階問題にあったと思う。 その後、官房副長官に就任している漆間氏がまさに「国策捜査」と思われても仕方ない発言をするに及び、自公政権、東京地検特捜部、大メディアの総攻撃の背景が見えてきたのである。 それが何かと言えば、小沢一郎氏が半世紀以上続いてきた利権にまみれた実質独裁政権である自民党政治を本気で命を賭け「政権奪取」し「政権交代」を実現させることへの恐怖であり、怯えであったと思える。 永年、現状を追認し、単なる金銭だけでなくポストを含め既得権益、利権をむさぼってきたのは、何も「政」「官」「業」だけではなかった。「政」「官」「業」のトライアングルのおこぼれをもらう「報」、すなわち「大メディア」も自民党政権下で甘い汁をたんまりすってきたのである。 4月以降、人事異動後の東京地検特捜部は一端静かになったものの、自公政権と大メディアは、西松建設問題での身内の問題にはまったく触れず、他方、小沢攻撃の手を緩めることはなかった。 この後、小沢氏を民主党の代表の座から引きずり下ろす異常な挙にでる。このときの大メディアの対応は異常そのものだ。二階大臣や自民党大物の疑惑はそっちのけで、一極集中的に小沢代表を責め立てた。それも東京地検特捜部の一方的なリーク情報をもとに。 5月になり小沢氏は、断腸の思いで自ら代表を降りることを宣言する。 そして民主党は鳩山由紀夫を代表に選ぶことになるが、この代表戦に際しても、自公政権と大メディアはまたしても異常な挙にでたのでる。それは、鳩山由起夫氏を小沢氏の傀儡として批判、攻撃し、徹底して岡田克也氏を代表にすべきと誘導したのである。まさに公党の代表選挙に選挙妨害をしたと言ってよいだろう。 しかし、民主党の代表選では、鳩山由紀夫氏が選ばれ、鳩山代表は岡田克也氏)を幹事長に指名し、さらに選挙担当の代表代行に小沢一郎を指名した。 自公政権の幹部と大マスコミは、こともあろうか鳩山代表を一方的に小沢代表代行の傀儡として徹底的に攻撃を再開したのである。 結果として大マスコミは、小沢代表の秘書が逮捕されてから小沢氏の代表続投はおかしいと繰り返し小沢代表を辞任に追い込んだ。小沢代表が辞任し鳩山新代表が選ばれると、今度は一転して「傀儡だ」「院政だ」と攻撃したのである。 自公政権幹部ならまだしも、大マスコミのこのような攻撃論調は、小沢批判、鳩山批判に名を借り、その実、民主党による政権奪取、すなわち政権交代を断固としてさせないことにあるとさえ思えた。 しかしどうだろう。そこまで自公政権、東京地検特捜部、大マスコミがタッグを組んで阻止をもくろんだ、政権交代阻止は挫折する。半世紀以上続いた権力亡者、自民政権は、その傲慢、驕りの故に自壊したのである。 選挙対応の代表代行となった小沢氏は、小沢氏、鳩山氏、それに民主党への選挙妨害とさえ思える自公政権や大メディアの総攻撃と誹謗中傷にもめげず、8月30日投開票の衆議院選挙で、308議席という地滑り的、歴史的な勝利をあげたのである。 興味深いのは、慢心しやすい若手議員が多い民主党を束ね、同時に全国各地で人材を発掘し、140名もの新人議員を当選させたのは、いうまでもなく小沢一郎氏であった。 いちから人材を発掘し、政権与党の自公や東京地検、大マスコミの総攻撃の中、ひたすら民主党を勝利に導いたのは、いうまでもなく小沢一郎氏である。それはまさに剛腕・小沢が選挙など地道な実務を仕切り、多士済々の若手の可能性がある有能な政治家が集まる民主党をがチェンジすることだ。 にもかかわらず、壊滅的に負けた自民公明両党だけでなく、大マスコミは、負け惜しみ、犬の遠吠えだろうが、依然として308議席という地滑り的、歴史的な勝利に導いたと言える。 そして、大メディアは、またしても鳩山代表そして小沢代表代行への執拗な攻撃を開始した。いわく「かいらい政権」だとか、「二重権力」だなど、これはまさにためにする攻撃、批判、ネガティブキャンペーンだ。
そんな中、音無の構えだった東京地検特捜部でも不穏な動きが出ているようだ。
それにしても、今回の総選挙結果から分かったことは、次のことである。 |