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ウクライナ政府、
サボリージア原発事故を認める
ロシアの声
掲載月日:2014年12月5日  
独立系メディア E−wave Tokyo


 ウクライナ政府は、同国のザポリージャ原子力発電所で事故が発生したことを認めた。

 危険な状態になったのは11月28日のことだが、現地のマスコミには、事故について報道しないように指示が出された。今後ウクライナでは、ジャーナリストたちの一言一言が情報政策省によって監視されるようになる。同省の創設は、ウクライナの新政権形成の際に承認された。

 ウクライナのザポリージャ原発3号機で、変圧器が故障した。ザポリージャ原発は、欧州最大の原発。出力は6000メガワット。なお、1986年に全世界を震撼させる事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所の出力は4000メガワット。


欧州最大の原発、ウクライナのサボ-ジア原発


欧州最大の原発、ウクライナのサボ-ジア原発

原子炉[1] 原子炉形式 正味発電量 総発電量 建設 送電網同期 商業運転 停止
1号機 (Tschernobyl-1) RBMK-1000 740MW 800MW 1970年3月1日 1977年9月26日 1978年5月27日 1996年11月30日
2号機 (Tschernobyl-2) RBMK-1000 925MW 1.000MW 1973年2月1日 1978年12月21日 1979年5月28日 1991年10月11日
3号機 (Tschernobyl-3) RBMK-1000 925MW 1.000MW 1976年3月1日 1981年12月3日 1982年6月8日 2000年12月15日
4号機 (Tschernobyl-4) RBMK-1000 925MW 1.000MW 1979年4月1日 1983年12月22日 1984年3月26日 1986年4月26日 (事故による喪失)
5号機 (Tschernobyl-5)[2] RBMK-1000 950MW 1.000MW 1981年12月1日 - - (1988年に建設中止)
6号機 (Tschernobyl-6)[3] RBMK-1000 950MW 1.000MW 1983年12月1日 - - (1988年に建設中止)
欧州最大の原発、ウクライナのサボ-ジア原発


 チェルノブイリ原発事故の後、他の国に被害が及ぶ恐れのある原子力施設におけるあらゆる事故について国際原子力機関(IAEA)へ通報することを義務付ける国際条約が採択された。しかしウクライナは、ザポリージャ原発での事故について沈黙することを決めた。

 電力の生産が停止したことで、ウクライナの様々な地域で暖房が止まり、停電が発生し、数百万人に影響が出た。しかしマスコミはこれについて報じなかった。ウクライナのマスメディアには、事故について一切報じてはならないという指示が出された。

 ウクライナが原子力発電所で緊急事態が発生したのを認めたのは、放射線物質の放出が確認されなかったことを確信し、外国のマスコミに大規模な停電に関する情報が漏れたあとだった。ウクライナ政府は、マスコミにどのようなニュース、どのような意見が伝わったのかを今後心配しないために、新政権の下に情報政策省を創設する決定を承認した。

 発表によると、情報政策省にはウクライナのイメージ形成、国内の情報空間への外部からの影響防止に関する課題が与えられた。ロシア下院(国家会議)情報政策通信委員会のセルゲイ・ジェレズニャク委員は、ジャーナリストたちはすでに新たな機関である「真理省」に呼ばれたと指摘し、次のように語っている。

 「ウクライナ政府は、野蛮な政策を実施し、ドネツクおよびルガンスク両人民共和国の住民の大量虐殺を行っている。しかし、大量虐殺を隠すために、情報を秘密にして歪曲するための特別な措置を必要としている。そこでウクライナ政府は、専門的な省を創設する必要があると考えたようだ。」

 ウクライナ政府はずいぶん前からこの方向で進んでいる。ウクライナでは、2月のクーデターの後、ロシアのテレビ局の放送が禁止された。またウクライナで人気のあるロシア人の俳優や歌手たちのウクライナへの入国も禁止された。

 名称に「ロシア」が入っている新聞や雑誌のライセンスも剥奪された。ウクライナではロシアの映画も上映されていない。ウクライナ政府は、慎重に選んだ言葉や画像で情報不足を補い、国民に影響を与える方針だ。政治情報センターのアレクセイ・ムヒン所長は、そのために情報政策省が創設されているとの見方を表し、次のように語っている。
 
 「情報政策省は、言論の自由を制限し、現政府の意のままに現実を大きく歪曲することを優先するある種の情報秩序を構築するだろう。ウクライナの現政府が近いうちに国民の社会・経済問題を解決できることは恐らくない。しかし、幸福のイメージは必ずつくりだすだろう。これらの措置は全て、ウクライナが欧州の価値観や自由および民主主義の希求を宣言する一方で、全く正反対の状態にあることを示している。」

 新たに形成されたウクライナ最高会議の議員たちは、共産党、共産党的なイデオロギー、その特性を禁止する法案を提出した。軍人たちが鉤十字の付いた制服を誇らしげに着用している国では、赤旗やレーニンに関する書籍が禁止されている。だがウクライナのマスコミでは、これが民主主義の現象として報じられるだろう。そうでなければ、「真実の省」の検閲を通ることはできないからだ。