要 望 書
私どもは、植草一秀氏の民事事件 (名誉棄損事件) の弁護団 (以下 「名誉棄損事件弁護団」 と言います) の立場から、メディア各位に対して、以下の通り要望致します。
植草一秀氏は、上告中の刑事事件につき、2009年6月25日に、最高裁第三小法廷において上告棄却の決定が下され、異議申立手続の後、原審における懲役4か月の実刑判決が確定しました。名誉棄損事件弁護団は、刑事事件の進行に関し直接関与する立場にありませんが、誠に残念な結果であったと考えております。
私どもは、個人の尊厳は何物にも優るという価値 (憲法13条) に立脚すれば、たとい刑事事件の被疑者・被告人とされた者であっても、事実無根の話を面白おかしく報道する類の、言わば水に落ちた犬は叩けと言わんばかりの 「弱い者いじめ」 的報道は決して許されるものではないとの立場から、雑誌4社テレビ局1社に対する5件の名誉起訴訴訟を提起し、うち4件について勝訴 (慰謝料の支払) ないし勝訴的和解 (和解金の支払、謝罪、またはこれに加えた訂正・謝罪記事の掲載、訂正放送の実施) という結果を獲得して来ました。
名誉棄損事件弁護団としては、今回の刑事事件の有罪確定から実刑判決の執行に至る経過の中で、植草一秀氏に対して、上記各事件と同様の 「弱い者いじめ」 的報道がなされることを懸念しております。もとよりメディア各位におかれても、個人の尊厳の価値について十分に配慮されているところと考えますが、訴訟提起のやむなきに至った従前の事例が存在することから、今後植草一秀氏に対する事実無根の報道や、事実に基づかない誹謗中傷的報道などをなされないよう強く要望する次第です。
なお、植草一秀氏は、そのブログにおいて 「(執行中の) 身の安全を心配して下さる声を多数賜り、大変ありがたく思う。私は自殺しないことをここに宣言する。」 と記しています。名誉棄損事件弁護団としても、植草一秀氏が刑の執行を終了の上、再び充全な言論活動を開始されることを心から期待していることをここに表明いたします。
2009年8月3日
植草一秀氏 名誉棄損事件弁護団
弁 護 士 梓 澤 和 幸
同 飯 田 正 剛
同 坂 井 眞
同 殷 勇 基
同 西 岡 弘 之
同 大 西 啓 文
同 高 橋 右 京