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ニセコ町と有島武郎
青山貞一 池田こみち 
掲載月日:2012年10月5日
 独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁


 2012年10月3日の原子力防災計画策定会議終了後、私達は有島武郎記念館を再度訪問し、加藤課長や学芸員から説明を受けました。


撮影:青山貞一 Nicon Coolpix S8   2012.10.3

 これは記念館入り口。有島武郎に関連するたくさんの写真がモザイク状に組み合わせてあります。何でも、この記念館の建物自体が、北海道の形を表しているそうです。


撮影:青山貞一 Nicon Coolpix S8   2012.10.3

 有島武郎は長野県軽井沢にも縁が深いそうです。

 このところ、文学との接点がなかった私達ですが、ひさびさ文学の香りを満喫しました。札幌農学校に学び農民に思いを寄せた有島の生き方は、岩手の宮沢賢治を思わせます。花巻の宮沢賢治記念館には、昨年、被災地現地調査で岩手県を訪れたときに寄りました。


有島武郎
撮影:青山貞一 Nicon Coolpix S8   2012.10.3


出典:chocolacafe715

有島 武郎(1878年(明治11年)3月4日 - 1923年(大正12年)6月9日)は、

 日本の小説家。学習院中等科卒業後、農学者を志して札幌農学校に進学、キリスト教の洗礼を受ける。 内村鑑三や森本厚吉の影響などもあり、1901年にキリスト教に入信する。農業学校卒業後に軍隊生活を送り、その後渡米。


撮影:青山貞一 Nicon Coolpix S8   2012.10.3

 ハバフォード大学大学院、さらにハーバード大学で学び、社会主義に傾倒、ホイットマンやイプセンらの西欧文学、ベルクソン、ニーチェなどの西洋哲学の影響を受ける。

 さらにヨーロッパにも渡り、1907年帰国。このころ信仰への疑問を持ち、キリスト教から離れる。 アナーキストの巨星であった大杉栄が海外に遠征した際に、黒百合会を主宰していた有島武郎は同志としてカンパをしたが、実はそれまでに大杉とは数回しか会った事がなかった。

 帰国後はふたたび予備見習士官や東北帝国大学農科大学の英語講師として過ごしていたが、弟の生馬を通じて志賀直哉、武者小路実篤らと出会い同人誌『白樺』に参加。

 『かんかん虫』『お末の死』などを発表し、白樺派の中心人物の一人として小説や評論で活躍した。1916年に妻と父を亡くすと、本格的に作家生活に入り、『カインの末裔』『生まれ出づる悩み』『迷路』を書き、1919年には『或る女』を発表した。

 1923年、軽井沢の別荘(浄月荘)で波多野秋子と心中した。代表作に『カインの末裔』『或る女』や、評論『惜みなく愛は奪ふ』がある。

出典:Wikipedia

 以下は、記念館の公式Webからニセコ町と有島武郎についての紹介です。

<有島武郎記念館の概要>


・目 的
有島記念館は、大正11年、ニセコの地で画期的な農場解放を実践した有島武郎に謝恩の意味を込め、また文学をはじめ、その多彩な業績を広く紹介するため、昭和53年、農場事務所跡地近くに開館されました。

館内では、写真、書簡、書、絵画、初版本などを展示し、有島武郎の生涯と文学、農場の解放にいたる軌跡を紹介しています。

・記念館の沿革
 有島記念館の前身―農場事務所での有島記念館及び火災後の有島記念館
 有島武郎による農場解放の後、設立された狩太共生農団では、団員の合議制により、相互扶助の思想のもと経営されてきましたが、戦後の農地改革で解団されるにあたり、故農場主有島武郎の遺徳を偲び、その思想を後世に伝えるべく、有島謝恩会を結成して農場事務所の一部を有島記念館とし、その維持管理に当たりました。この記念館は不幸にも焼失しましたが、有島謝恩会が中心となり、昭和38年、有島記念会館として開館しました。

・ニセコ町による現在の有島記念館
 その後、建物の老朽化、農業を巡る状況の悪化等々の事情から、有島武郎生誕100年に当たる昭和53年、ニセコ町により、現在の有島記念館が建設され、謝恩会から引き継いだ資料をもとに展示、開館されました。農民が創設し、ニセコ町の町民が継承したこの記念館によって、有島武郎の明澄な思想、文字の一端に触れていただければ幸せです。


有島武郎記念館 これは記念館に飾ってあった写真から
撮影:青山貞一 Nicon Coolpix S8   2012.10.3


撮影:青山貞一 Nicon Coolpix S8   2012.10.3

 なお、ニセコ町の東側には約1800mの羊蹄山があります。これは富士山にしたシンメトリーのすばらしい山ですが、有島武郎記念館からは、この羊蹄山がよく見えます。


有島武郎記念館にて
撮影:Nicon Coolpix S8   2012.10.3


撮影:青山貞一 Nicon Coolpix S8   2012.10.3

 ということで、片山町長はじめニセコ町のみなさまには大変お世話になりました。本来の意味での自治体、また、有島武郎が残した相互扶助を町民参加に生かしている町、ニセコ町が今後とも、日本の基礎自治体にさまざまな規範となることを期待しています。


ニセコから見た羊蹄山
撮影:青山貞一 Nicon Coolpix S8   2012.10.3

有島武郎作品リスト

或る女  
An Incident 
生まれいずる悩み
運命と人
描かれた花  
遠友夜学校校歌
惜みなく愛は奪う 
溺れかけた兄妹 
親子
カインの末裔  
火事とポチ 
潮霧 
狩太農場の解放
かんかん虫 
クララの出家
幻想  
碁石を呑んだ八っちゃん  
小作人への告別  
自然と人
私有農場から共産農団へ 
星座 
聖書の権威 
宣言一つ  
想片 
小さき者へ 
燕と王子
ドモ又の死  
農場開放顛末 
農民文化といふこと  
卑怯者
一房の葡萄 
広津氏に答う 
二つの道
片信 
僕の帽子のお話
北海道に就いての印象  
骨 
真夏の夢 
水野仙子氏の作品について
私の父と母