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原発から10km圏にあるEPZ自治体は35自治体、原発から30km圏にあるUPZ自治体は92自治体があるはずである。 ニセコ町は泊原発から30km圏にあり、昨年10月から町民参加による原子力防災計画策定の有識者委員会を設置、今までに4回の委員会を開催してきた。 私が知る限り、ニセコ町の原子力防災計画は、おそらく日本で唯一、全面公開、全面町民参加の計画策定となっているはずだ。 ニセコ町では、日本で最初に情報公開条例や町の基本条例を制定するなど、町民主体のまちづくりを永年すすめてきた経緯もあり、原子力防災計画策定においても、基本計画、待避・避難指針の両方において一から徹底的に議論し、独自の計画策定を進めている。 この4月からは原発から30km圏のUPZ自治体内にもモニタリングポストが設置、され稼働することになる。 これから提供される空間線量率データ(実効線量)をどうニセコ町の事故時の待避、避難に生かすかが重要なものとなる。 同時に、地形を考慮した3次元シミュレーションを原発事故時にどう生かすかも大きな課題である。これについては、第一回目の委員会から町民委員らと徹底的に議論してきた。 巨額をかけた国のSPEEDIが福島第一原発事故時に待避・避難・防災に関してまったく役に立たなかった経緯もある。 ところで、先に紹介した羊蹄山だが、当然のこととして羊蹄山を筆頭に、ニセコ町周辺に多数の山々が存在することにより、北海道電力泊発電所で事故が起きた場合、放射性物質の拡散は大きく影響を受けることになる。 下のコンピュータグラフィックスは、第4回目の原子力防災委員会に提出した泊原発事故時の北風系の放射性物質の3次元流体シミュレーション結果の一部である。 北海道電力泊原子力発電所事故時、 北風系の場合の3次元流体シミュレーション結果 出典:青山貞一、鷹取敦 株式会社環境総合研究所(東京都) 上のシミュレーション図は、昨年10月の第一回目の委員会の前日に行われた町民向けの青山による講演会でパワーポイントでお見せしたものだが、今回はニセコ町に影響が及ぶ北風系の風向となる北北東、北、北北西、北西の場合の原発事故時の放射性物質の3次元拡散シミュレーション図を委員会に提出した。 風向が北風で風速が2m/sの場合、見て分かるように、放射性物質は一旦ニセコアンヌプリの存在によって東に流れ、その後、羊蹄山の存在により二股に分かれ南進する。あたかも羊蹄山がニセコへの放射性物質の移流を防いでくれているようだ。 委員会が終わった3月26日の午後、今回は、ニセコ町から小樽市をまわって鉄道で札幌、空港に向かった。 小樽で昼食をとった。小樽でも雪が降っていたが、海外からの観光客が多数いた。 雪の小樽運河 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 小樽運河を見学する海外(中国か台湾?)からの観光客 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 もっぱら、小樽市は原発30km圏のUPZには入っていないが、泊原発から40km程度の距離にある。万一事故が起き、西風系の場合には、かなりの影響がでる可能性はある。 |