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宇都宮大学教育学部
「環境教育」集中講義を終えて

青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学環境情報学部

23 August 2009 無断転載禁
初出:独立系メディア「今日のコラム」


 2009年8月11日〜12日の夏休みの真っ最中、宇都宮大学教育学部で環境教育各論の集中講義を行った。

 私がいろいろな大学で非常勤講義をしてきたが、教育学部でも集中講義や非常勤講義をしてきた。一番長かったのは、早稲田大学の教育学部だ。当時、早稲田大学教育学部には広末涼子さんが在籍していた。北海道教育大学や岩手大学、福島大学でも行った。なぜか東京より北にある大学が多い!

 教育学部の場合、日本固有の文系、理系という分け方がなく、文系、理系を超えた講義や演習、ゼミができるので、おそらく学生にとっても環境問題を理解する上で分かりやすいだろう。

 下が2日間にわたって行った環境教育各論Cの内容である。

 
 一日目は、環境問題の歴史と法、二日目は、問題解決、政策提言のための基礎知識、環境に配慮したまちづくりの具体的事例である。

 原則として一本1時間から1時間30分の講義とし、それぞれの講義のなかで、質疑を受け、また一本終了後、簡単なリポートを出してもらった。単位は一単位。評点は月末を期限とするリポートで行うことにした。

 東京都市大学では一講義、200〜420名の学生を相手に行ってきたこの種の講義を学部で15人程度を相手に行ったのだが、やはり少人数の方が学生の顔を見ながら出来るのでよいと感じた。

 学生からも以下のようなメールが来た。うれしい。

> 先生の講義は分かりやすく勉強になりました。
> ありがとうございました。

 あのマンモス大学の早稲田大学の教育学部でも抽選で上限を125名などに限定していたが、200〜420名の学生を一度に相手にするのは難しい。

 下の写真は終了後、撮影したもの。前列左から2人目が教育学部の真下先生、3人目が青山です。



下は青山が撮影したもの。


 ところで大学がある宇都宮市には、その昔、宇都宮市の清原工業団地に大規模なRDF発電所が計画されたとき、地元の市民団体から呼ばれ講演したとき、それに宇都宮駅南部の茂原地区に宇都宮市が中心となって建設した一般廃棄物の焼却炉とリサイクルセンター問題や松葉ダイオキシン調査で住民団体からの依頼で講演に来たくらいで、あまり土地勘もない。

 たまたま日本計画行政学会の編集委員会で知り合った岡田さんが宇都宮市が設置したシンクタンクに勤務していたので、事前に連絡した。岡田さんから11日の夜に宇都宮市内で会おうということになり、青山、真下先生とシンクタンク(うつのみや市政研究センター)の面々と、餃子を食べながら宇都宮市のまちづくり談義を数時間行った。

 下は餃子屋の前で撮影した写真。



 宇都宮と言えば餃子だが、私たちが入った餃子屋さんは、ひとつの店で宇都宮のさまざまなブランド餃子が賞味できるのでおもしろい。たくさんの餃子を食べた。

 ところで宇都宮市は現在50万人規模の大都市となっているが、公共交通はバスしかない。実際、駅前広場にはたくさんの直噴ディーゼル車が次から次と離発着し、喘息患者の私からすると、どうみても大気汚染が悪い。

 以前からLRT計画が模索されてきた。市政研究センターの所長尾さんは、LRTの推進者ということで、諸外国の都市との対比などいろいろ楽しい議論ができた。この場を借りて感謝したい。


<参考>

 現実の環境教育の多くは、持続可能な開発のための教育(ESD)やその解釈などリアリティのない「論」が幅をきかしている。

 ESDとは、持続可能性に向けた現実的な社会転換の達成に向けて、知識や技能の獲得だけでなく価値観の醸成や態度の変容にまで焦点を当てた教育だが、環境教育には、以下に列記するように、非常に多様なものが含まれるはずである。

 私の講義では、以下を考慮したものとしている。
 

環境教育の分野・範疇
●環境倫理学
  自然の権利、世代間倫理、地球全体主義などを扱う分野。
●環境と法
  環境問題を解決するための法制度的な枠組みを扱う分野。
●環境と政策
  環境問題を解決するための筋道を扱う分野。
●環境史
  森林破壊、公害、異常気象の問題を歴史的な視点から
  考える分野。
●民族と文化
  自然環境によってもたらされた、地球上の各民族における社会、
  日常生活、行動様式などの違いを考察する分野。
●都市環境
  持続可能な社会、循環型社会、環境と共生する都市のあり方。
●生活環境
  生きがい、ストレス、人間関係などと生活環境の関係を扱う分野。
●社会環境
  産業革命以降の近代化と環境の関係、公害問題、科学技術
  の発展、個と集団の関わりなどを扱う分野。
●ボランティア論
  ボランティア活動による社会参加と環境の関係を扱う分野
●環境ジャーナリズム論
  マスメディア、地域社会、インターネットと環境問題の関係、
  消費者問題、食農教育など
●環境調査法
  環境を認識するための調査方法、およびその実践を行う分野
●環境教育論
  環境リテラシー、環境保全教育、指導者の養成、生涯教育、
  自然や歴史文化などの意味を解説し、伝えることなど。