マレーシアMH370便の行方と疑義 青山貞一 Teiichi Aoyama March 25 ,2014 Alternative Media E-wave Tokyo 無断転載禁 |
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2014年3月8日、午前0時41分(日本時間同1時41分)にマレーシア航空のボーイング777―200機MH370便は、クアラルンプールを出発した。同機の搭乗者は乗客が227人、乗員が12人の計239人。このうち5人が5歳未満の子どもである。 以下はそれを報ずるANNの映像である。 出典:ANN その後、マレーシア航空の370便は、不可思議な経路をたどることになる。 マレーシアのクアラルンプールから中国の北京に向け飛び立った後、同期は各種の報道によれば当初、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンなど中央アジアか、あるいはインド洋を南下したのではないかとされた。 そして、失踪から4日目の12日以降、マレーシア航空の370便はどうもインド洋を南下している可能性が高くなった。このころから世界各国が軍事衛星や軍隊の航空機などにより捜索に参加をはじめた。 そのあげく、衛星画像からオーストラリア南西、2200から2400kmの海上にマレーシア航空の370便の断片のいちぶとおぼしき破片の衛星画像が各国から公開されるようになり、各国の航空機や船舶が同地域に向かった。以下はそれを報ずるCNN及び中国中央テレビの画面である。 Source:CNN 出典:中国中央テレビ そして3月24日になり、マレーシアの首相は、オーストラリア西岸のパースから南西洋上にNH370が墜落した旨の記者会見を行ったのである。 マレーシア不明機はインド洋に墜落、ナジブ首相が発表 CNN しかし、この時点では、まだ各国の衛星で洋上の漂流物が確認されたり、飛行機、船舶による捜査でもそれらしき物体を確認することはあっても、以前としてMH370と断定するに至っていなかった。 事実、中国政府は、マレーシア首相に、「MH370であるという証拠はあるのか? その情報提供を!」という主旨の談話を出している。
私見では、世界各国が10日以上、全力を挙げ捜索しても、決定打、すなわち洋上の漂流物がMH370のものであるという確認が得られないこと、これ以上際限なく捜索はできないので、「ここに墜落したことにする」というだけなのではないかと感じた。疑義を感じたのである。 ◆私が当初描いた仮説 マレーシア航空機がインド洋上で失踪したのではないかと報道されたとき、私は、ひょっとしたらと思った場所がある。 その場所はマダガスカル島とモザンビークの間の北部、マダガスカル北西部のインド洋上にあるコモロ連合(旧コモロイスラム共和国)である(図1参照)。 そう思った理由だが、マレーシアはイスラム教を国教としている国であり、パイロットが何らかの理由で失踪するとなれば、イスラム共和国への飛行ではなどと考えたのである。さらに以前、アルカイダがコモロイスラム共和国に逃げ込んだという情報もある。
マレーシア航空機失踪については、報道では当初ディエゴガルシア島などの名前が挙げられたが、この島は英国領であり米軍基地があり、イラク戦争時にはここから米軍機が飛んでいる。したがって、政治色がある亡命などであれば、ガルシア島はありえないと思った。
その後もコモロ連合行きが脳裏に浮かんでは消えていたが、マレーシア北部のインドシナ半島からコモロ連合までは6000km〜6400kmもあり、北京行きの民間旅客機ボーイング777の場合、そこまでジェット燃料が持たないのではないかと推測したからだ。 しかし、表1の最大搭載燃料データにあるように、いずれのボーイング777も十分、燃料は持つことが分かった。もちろん、どれだけ燃料を積んでいるかという問題はあるが。 表1 ボーイング777の最大搭載燃料と最大航続距離
ゼネラル・エレクトリック GE90 ターボファンエンジン。 777-200LR型機に搭載のもの 出典:Wikipedia そこで、グーグルアースの距離測定コマンドで、オーストラリア西岸のパースから南西2500km当たりの洋上と信号が途絶えたインドシナ半島からの距離を測定すると、図1にあるように、未確認の洋上漂流物がある場所は、マレーシア北部のインドシナ半島からは6000km〜6400kmあることが判明した。 図1 想定されるマレーシア旅客機MH370、ボーイング777墜落現場 出典:グーグルアースより筆者作成 となると、この6000km〜6400kmという距離は、図1にあるようにコモロ連合との距離とそれほど違わないのである。つまり、万一パイロットがコモロ連合をめざしたとしても、物理的、すなわちジェット燃料との関係では、それほどおかしなことにはならないのである。 以上は私の直感的な、いわば妄想である。しかし、決してそれはいい加減な妄想ではない。なぜなら、私は15年ほど前、コモロだけでなく、インド洋の島々をに訪問していたからである。以下は訪問した国々の概要である。 下の写真はボーイング767でシンガポールのチャンギ空港からセーシェル国際空港に到着した際に撮影したものである。 図3 インド洋のセーシェル国際空港にて 筆者 1990年 おそらく日本政府はじめ日本人のほとんどがインド洋にある以下の表2にある島嶼国の実情、実態を知らないはずである! 現地に行ってそれを感じている。 表2 インド洋の島嶼国の概要
図4 インド洋の島嶼国 出典:Google Map 図5 コモロ連合とその周辺諸島 なお、上記の島嶼国のうち、ジェット機が離発着できる滑走路をもっていないのは、マヨット島だけのはずである。 私がインド洋諸国に行ったときは、いずれもシンガポールのチャンギ国際空港経由であり、マヨット島以外は、いずれもボーイング767機で行っている。 ただ、コモロの空港はボーイング767機がやっと離発着できる程度で777機でではおそらく無理なはずである。 マヨット島(仏領)とコモロ連合(旧コモロイスラム共和国)は、ともにフランス領であったが、コモロイスラム共和国が独立し、現在、独立国のコモロ連合と仏領のマヨット島に分かれている。私が訪問したとき、マヨット島にはコモロイスラム共和国から10人乗りのセスナ機で往復した。 ◆通信系の疑義 さらに、不思議なことは、航空機の位置を知らせるいわゆるトランスポンダとよばれる自動信号送受信機のスイッチが切られていることである。 以下はそれを論じるロイターの記事である。
一方、今回の一件で非常に不思議なことは、トランスポンダとは別に航空機と地上との通信、交信がきわめて少ないことである。以下の日経記事にあるように、マレーシア航空はかなり以前から航空機内で携帯電話、スマホの通話が可能となっているはずである。 実際、現在どうなっているのか不明ですが、もし乗客の中に以下の通信サービスができる人がいた場合には、何らかの情報が地上にもたらされたと思える。たた、携帯電話サービスは巡航中のみ使用可能で、離着陸時や所定の高度を下回った場合は使用不可となる、とあるので、低空飛行に入ってからの交信はできなかった可能性もある。
◆さらに深まる疑惑 米国最新鋭レーダー探知 これは日本のマスコミが報じていないことだが、オーストラリアの西端にあるパース(Perth)から南西2500kmのインド洋上に24mほどの大きさの漂流物が衛星から見つかったとして,その後、各国の軍機が上空から捜索し、さらに船舶の捜索も行われている。 だが、インド洋のあの海域は、民間旅客機そして軍用機もめったに飛行しない海域である。実は、衛星よりはるか以前に、MH370とおぼしき物体を察知していたのではないかという情報が飛び交っている。 それは、オーストラリアのパースにある米国の最新鋭レーダーと聴音装置である。これらの設備はいずれも米軍の極秘装置であるようだ。在オーストラリア米軍基地は、3月8日の未明からインド洋上を南に向かう飛行物体がMH370であると最新鋭レーダー装置で察知、その後も継続的に探査している。 そして米政府は、行方不明のMH370が3月12日に、マレーシア政府に“オーストラリアのパースの西を飛行していた可能性があったことを伝え、それを受けた各国が当該地域に探索機を飛ばしたというのが事実であるらしい。 理由は簡単である。 今回のMH370捜索は衛星であれ、なんであれ、いずれも軍事技術の性能品評会のような側面がある。日本政府が特定秘密保護方法であらかじめ特定秘密とするとしていたのが、衛星データであった。データにより軍事衛星の性能が分かってしまうからである。 おそらく米国がオーストラリアのパースに設置している最新鋭レーダーなどの装置も、まさに軍事機器の性能に関わるものであり、米露、米中などの軍事機器競争のなかで、米国は早期段階から情報を公開することはせず、ある程度、MH370である確証を得た8日から4日後の12日にマレーシア政府に飛行経路を含め情報提供したのではないかと思われる。 マレーシアの首相が今回、破片の回収が実現していない段階でインド洋に墜落したと会見したのは、おそらく上記の情報提供が背後にあってのことである。 その意味では、3月12日以前に、米政府(米軍)がMH370とおぼしき経路情報を世界に公開していれば、もっと早期段階にMH370の消息がつかめたのかも知れない。
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