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小型ドローンの操縦実験

(詳細ブログ編)

青山貞一・池田こみち・鷹取敦

掲載日:2015年7月25日
独立系メディア E-wave Tokyo


 国、自治体でドローン飛行の規制、禁止が進んでいますが、そのほとんどが現在国内外で市販されている小型ドローンの実態を知ることなく、「危ない物」などと決めつけています。

 ドローンは、インターネット同様、当初、軍事目的で研究開発され、その後、学術、民生用として世界的に広まったシステムです。インターネットが多くの犯罪に利用され、個人から国家までの情報を取得していることは間違いがないところです。さりとて、インターネットをやたら規制、禁止していないのは、市民社会に定着し、市民社会に多くのメリットをもたらしているからに他なりません。

ドローン (drone)

 ドローンは英語で雄のハチ(英語:Drone)を指す語句で転じて不活発な活動体や、(半ば)自律制御される無人の飛行体や車両(ロボット)、ハチの発するような音などを指すようになっています。

 これが転じて、命令を受けて自律飛行する飛行物体という意味合いで使用されるようになりました。ドローンは現在、無人機全般を表す語として使用されています。

 無人航空機 (UAV) や無人車両 (UGV) 、無人船舶 (USV) など、遠隔操縦機または自律式な移動機械全般を指す。

 さらに、前述の命令を受けて自律飛行する飛行物体という意味から転じ、やや狭義に、遠隔操縦または自律式のクワッドコプター、マルチコプターを表す言葉として、近年(2010年代以降)メディア等で多用されるようになっています。

出典:Wikipedia

 ドローンは学術、災害捜索、報道などの分野で早く民生分野で活用されてきましたが、中国製の廉価な小型システムが市場に出回るまでは一般市民が手にすることはなかったと言えます。この小型システムがドローンと言えるかどうかは別ですが、本稿で対象とするのは、以下に示す小型ドローンとします。


◆小型ドローン本体

 以下はその写真です。

 この小型ドローンは正式には、200万画素カメラ 日本語説明書つき ラジコン 2.4GHz 4CH 6軸ジャイロ 360°回りでき SDカード2Gがつき ドローン マルチコプターです。日本での購入価格は2015年5月の時点で約11000円でした。

 小型ドローンの大きさは40cm×40cm程度、厚さは6cm程度、システムには4つのプロペラ(モーター)がついています。重量はモーター回転用蓄電池、録画用SDカードを含めわずか約110gと軽量です。

 本小型ドローンの場合、飛行範囲は操縦者を中心に半径約70m、直径で約140mとなります。飛行時間は10分前後です。なお、本システムには類似の下位、上位システムがあり飛行時間、飛行範囲が異なります!

 写真で分かるように、4つのプロペラの周辺にはプロペラを囲うように軟プラスチックがあります。これは落下時あるいは衝突時に、人体、器物に危害を加えないようにするとともに、プロペラの破損を防ぎます。


小型ドローンの上面
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8
 
 下は机の上に置いた小型ドローンです。手のひらより少し大きい程度のものです。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 下は一つのプロペラを拡大した写真です。小型ドローンにはこのプロペラが4つあります。

 黒色の小さなモータ(箱)から出た軸に小さな歯車が付いています。さらにその小さな歯車にプロペラに直結した大きな歯車が付いており、飛行に対応した回転数を得ています。

 四つのプロペラは黒いプラスチックのパイプで中央に接続されています。パイプの中にはモーターを回す電気のケーブルが入っています。

 小型ドローンの機構、構造はきわめてシンプルです。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 下の写真は、小型ドローンの中心部を下側から見ています。

 この中心部分には、操縦システムから送られる電波の受信装置、それを四つのプロペラ用のモーターに伝える制御装置、それに小型充電池、カメラ/ビデオ撮影用のSDカード収納部があります。

 また受信アンテナは無指向性で小型ドローンの黒色の筐体内に張り巡らされています。なお、小型ドローン本体には搭載電池用のスイッチがないので、右側のコードと電池のコードをつなぎます。つなぐとすぐに小型ドローン全体にたくさんのLEDランプが付きスタンバイ状態になります。

 なお、小型ドローンには高画質200万画素の空撮用カメラがついています。SDカードをら挿入しますが、私達が購入したシステムにはSDカードは付属していなかったので、自分たちで数GBのカードを用意し装着しました。。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


◆小型ドローン用充電池(バッテリー)

 下が充電池です。

 右側に出ている赤、黒の線の先にあるコネクタを小型ドローンに接続し、電池は格納用の穴に入れます。

 非常に小型のリチウムイオン電池で、USB接続により約1時間で完全充電が可能です。私達が購入した際には予備用バッテリーが1個付いていました。電圧と容量は3.7V 500mAhであり、通常のスマホなどに比べると少ないはずです。

 飛行時間は飛ばし方にもよりますが、電池は10分〜12分に対応します。

 予備があっても、野外飛行では電池がなくなった後は、パソコンやスマホ充電バッテリーに接続するためのUSB接続ケーブルが付属しているので、ノートパソコン、スマホ、自動車バッテリー接続のUSBなどから充電することになります。


小型のリチウムイオン電池


◆操縦システム


 次に操縦システムに移ります。

 操縦には大別して

 @目視で小型ドローンを飛ばすタイプ、
 Aドローンが撮影した映像をGHz単位の電波で操縦システムに送り、
   それを見ながらドローンを遠隔操作するタイプ、
 BGPSによりあらかじめ行く先などを指定するタイプ

などさまざまあります。当然、@よりはAのシステムの方が操縦者から数km先、目では見えない先まで小型ドローンを飛ばすのに向いています。さらにBはあらかじめ飛ばす目的地をGPSで指定することが可能なので、災害の捜索や噴火する火山の火口近くなどをGPSで指定すれば確実に写真や動画が撮影できます。

 しかし、@、A、Bともに、途中に大きな立ち木、ビルなどがある場合には、衝突して落下する可能性があります。最近のモデルでは、障害物を避けて目的地に到達するものもでていますが、通常は自分でそれらの傷害を回避し飛ばすこととなります。

 販売される額でみると、@は数1000円〜数万円の廉価システム、A、Bは15万円〜100円など、高額システムです。

 私達が今回実験したのは、@の目視で小型ドローンを飛ばす廉価なシステムです。

 下はその操縦システムの写真です。

 操縦システムは小型ドローンに操縦、制御のための信号を電波で送るためのシステムです。小型ドローンが受信機とすれば、操縦システムは送信機と言えます。ただし、実際には小型ドローンから送られてくる映像を見ながら操縦するA、Bのシステムでは小型ドローン、操縦システムいずれもが送受信機(トランシーバ)となっています。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 下は操縦システムの主な機能です。

 以下は操縦の概要です。下に掲載しました操縦システムの写真とあわせてご覧下さい。なお、操縦を始める前、小型ドローン本体の4枚の羽のうち赤色2枚を進行方向に向けます。

電源SW        操縦システムのスイッチ(オン・オフ)

              ※電源SWをオンにしたとき、小型ドローン本体がスタンバイ
                状態にあると、操縦システムと本体が通信し、2回ピー、
                ピーとなります。この後、操縦が可能となります。


左操縦スティック   上に向け上昇(テイクオフ) 
             下に向け下降(ランディング) 
             右側に向け旋回
             左側に向け旋回

             ※地面に小型ドローン本体を置いて始める場合は、
                左操縦スティックのゆっくりと上側に持ち上げることで
               小型ドローンは上昇をはじめます。


右操縦スティック    上側が前進
             下側が後退
             右側が右折
             左側が左折

ワンタッチリターンSW  飛んでいったドローンがこれを押すと自分のところに
             戻ってきます

アクション・プログラムSW ワンクリックで飛行中の小型ドローンがひっくり返ります、

撮影SW       写真や動画のシャッター、撮影オン・オフ 


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


目視による簡単操縦システム

 以下は今回購入したシステムとは別の操縦システムですが、スティック操作レバー、カメラSW、宙返SWなどは同じです。


目視による簡単操縦システム

 他の重要な機能としては、飛行範囲をあらかじめ設定する<トリム>、初期設定をディフォルトに戻すSW、キャリブレーション用SWなど、多数のSWが付いています。

 トリム指定をすることにより、あらかじめ定めたコントロール可能な位置を超えて飛行することがなくなり、小型ドローンが操縦不可能となり思わぬ所に墜落したり、見失うことが防げます。

 なお、操縦システム用の電池は市販の単4電池を5本使います。


◆操縦実験の場所

 2015年春、大阪市長、東京都知事が突然、都市公園内での小型ドローンの飛行を禁止したため、大都市内での飛行はもとより操縦実験すらできなくなりました。

 というのも、小型ドローンといえど、最低でも100m×100m、できれば150m×150m程度の空間がないと、操縦実験(訓練)は出来ません。しかも、樹木などがあると、その途中に引っかかると回収が困難となります。池などがあり、そこに落下すると電子部品で成り立っている小型ドローンが壊れてしまいます。

 そこでいろいろ考えた結果、群馬県と長野県の県境にある毛無峠か別荘がある群馬県北軽井沢から車で20分程度の距離にある嬬恋村のスキー場の駐車場しか、上記の要件を満たす場所はないのでは、ということになりました。

 下は毛無峠の写真です。

 毛無峠は昔からラジコンによる模型飛行機を飛ばすマニアの垂涎の場所ですが、冬や春はまだしも夏は写真のように樹木がおいしげっており、谷戸も結構深く、そこに落ちると探し出すのが大変です。


群馬県と長野県の県境にある毛無峠
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8


群馬県と長野県の県境にある毛無峠
撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10

 一方、下は嬬恋村にある標高1450mにある大きなスキー場用の駐車場です。背後にある建物はパルコール・リゾートというホテルです。いずれも使用は冬のスキー最盛時に限られており、最大で300m×200mもある広大な駐車場は、春から秋まで無人で平坦な空間になります。


撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8   2015年5月GW

 下は上空から見た駐車場です。駐車場は左右に二つあります。左側が幅約200m、右側が約100mです。さらに奥行きは100mあります。

 上述のようにスキー時期以外は、ほとんど自動車もひともいないこともあり、小型ドローンの操縦実験の場としてうってつけです。


出典:グーグルアース

 下は操縦実験前の池田こみちです。池田は、右手に小型ドローン、左手に操縦システムを持っています。


撮影:鷹取敦


◆操縦実験

 2015年7月下旬、北軽井沢の別荘に保養に行った際、青山貞一、池田こみち、鷹取敦の3人で嬬恋村のパルコールリゾートスキー場の標高1450mにあります広大な駐車場で小型ドローンの操縦実験を行いました。

 操縦実験では、離陸(テイクオフ)から50〜80m程度に高度を上げ、その後、高度を下げ着陸(ランディング)する実験を中心に、離陸後、右旋回、左旋回後に着陸する実験、さらに離陸し上空を飛行した後、ワンタッチリターンスイッチにより、自分の所にリターンさせる実験などを行いました。

 いずれも、最も基礎的な実験ですが、初日は風が強く、離陸後、風下側に小型ドローンが流されるなど、小型で軽量であることで風の影響を大きく受けるなかでの実験となりました。風で飛ばされ制御不能となり林の中に落下したときはLEDランプが点灯しているので探しやすかったですが、それでも落下位置が分からない場合は、一旦オフにした操縦システムをオンにすることでモーターの回転音が聞こえるので、場所を特定しやすくなりました。

 数日後に行った2回目の実験は、好天、無風の絶好の日和であったこともあり、旋回実験、かなりの高度を取っての飛行実験、さらにワンタッチリターンスイッチにより、自分の所にリターンさせる実験などを行いました。

 初日の実験は動画にしていますので、以下をご覧ください。

 なお、上述のように小型ドローンは風の影響を強く受けますので、実験や使用はなるべく無風に近い状態で行うこと、また基礎的な操縦練習をしっかり行ってから撮影などの本格操縦を行うことが肝心です。



◆青山貞一・池田こみち・鷹取敦:小型ドローンの操縦実験 You Tube