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原子力防災・影響想定のための

地形を考慮した3次元流体

大気拡散シミュレーション


〜脱原発首長会議勉強会〜


青山貞一、鷹取敦
環境総合研究所(東京都目黒区)

掲載日:2014年5月25日
独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁



 2014年5月24日、京都市で脱原発首長会議の勉強会があり、UPZ内外の基礎自治体首長のあいさつの後、青山貞一が講演し、鷹取敦がシステムを実演した。


全体司会の上原公子さん(元国立市長

 タイトルは「原子力防災・影響被害想定のための地形を考慮した3次元流体大気拡散シミュレーション」である。 当日は、関西、近畿地方のUPZ内外の首長6名はじめ約100名が参加され熱心に聞かれた。

 講演では、青山が北海道ニセコ町が策定した原子力防災計画において地形を考慮した3次元シミュレーションをどう活用したか、シミュレーションの前提条件、シミュレーションモデルの構造などについて実例をもとに話し、鷹取が環境総合研究所が研究開発した3次元流体シミュレーションシステム(Super Air 3D/NPP)を使って全国各地にある原発が福島第一原発並みの事故を起こした場合のシミュレーションを紹介した。

 シミュレーションでは、先に福井県大飯原発3,4号機運転差し止め訴訟で原告(住民側)が勝訴した直後と言うこともあり、若狭湾に並ぶ関西電力などの13機の原発が南海トラフ地震と津波により事故を起こした場合を想定したシミュレーションも紹介した。

 この事例紹介では、2014年1月末から2月上旬の実際の気象データを用い、1日単位の重合シミュレーションを1週間分紹介した。重合シミュレーション結果を見ると、関西、近畿地帯全体に放射性物質が拡散すること、関西の水瓶である琵琶湖も高濃度に汚染される可能性があることが示された。
 
 さらに鹿児島県薩摩川内市にある九州電力の川内原発事故時の詳細シミュレーションによる幼稚園・小中学校・高齢者施設・病院などへの具体的影響の予測も行った。

 以下に実際に使用したパワーポイント120枚のうち数枚と当日撮影した写真数枚を紹介する。


講演で使用したパワーポイント   出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


講演で使用したパワーポイン


講演で使用したパワーポイント
  出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


講演で使用したパワーポイント
  出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


講演で使用したパワーポイント
  出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


講演で使用したパワーポイント
左が地形を考慮を考慮した3次元流体シミュレーション
  出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


原子力防災の仕組み   出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


市民参加によるニセコ町原子力防災計画策定委員会



市民参加によるニセコ町原子力防災計画避難編
 第10章 地域特性の考慮


講演で使用したパワーポイント  出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


講演で使用したパワーポイント    出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


原子力防災のための3次元流体シミュレーションを紹介する新聞記事


原子力防災のための3次元流体シミュレーションを紹介する新聞記事


講演する青山貞一   


実演する鷹取敦


熱心に聞き入る参加者


Super Air 3D/NPPシステム 初期画面


講演で使用したパワーポイント
  出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


講演で使用したパワーポイント  川内原発事故時シミュレーション
  出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


川内原発事故時の川内市内への外部被曝、内部被曝の推定シミュレーション例
  出典:環境総合研究所(東京都目黒区)

◆滋賀)「30キロ圏外も避難態勢を」 脱原発首長会議
2014年5月25日03時00分 朝日新聞

全国の95市町村長が参加する「脱原発をめざす首長会議」が24日、原発事故時の避難計画に関する勉強会を京都市で開いた。平尾道雄・米原市長ら4市長らが各地の状況を報告。平尾市長は「福島の現実を見れば、原発から30キロ圏内か圏外か、立地自治体か周辺自治体かというような、原子力の被害に垣根をつくる今の制度やルールで防災を考えること自体に無理がある」と訴えた。

 会議では関西の3市と愛媛県伊方町の伊方原発から30キロ圏内の地域を抱える同県西予市、宇和島市の市長や防災担当者が出席。平尾市長は昨年、県と高島・長浜両市が実施した訓練にオブザーバー参加した経験にふれ、「30キロ圏内の避難がまず優先という仕組みの中で、県や両市からの錯綜(さくそう)した情報をもとに、独自に対応を判断するのは非常に難しく、不安が残った」と述べ、「そもそも避難計画を持たなければならないような発電のシステムを見直さないといけない」と訴えた。

 この後、民間シンクタンク「環境総合研究所」の青山貞一・東京都市大名誉教授
が原発事故時の放射性物質拡散シミュレーションの結果を示し、「放射性物質の拡
散は風向きや風速で大きく変わる。少なくとも80キロ圏内の地域は避難態勢づく
りが必要」と述べた。


◆原発の複合災害への対応は困難 避難計画でシンポ
 デーリー東北新聞社  2014 年 6 月 1 日

 原発事故発生時の自治体の避難計画をテーマにしたシンポジウムが24日、京都市下京区で開かれた。脱原発を目指す滋賀、京都、愛媛の3府県の市長や研究者が参加し、「地震や津波と原発事故が同時に起きた場合、車が流され避難の手段がなくなる」などと、複合災害に対応する難しさを指摘する声が相次いだ。

 シンポは「脱原発をめざす首長会議」などの共催。四国電力伊方原発の30キロ圏内にある愛媛県西予市の三好幹二市長は、南海トラフ大地震と原発事故が同時に起こる可能性に触れ、「複合災害のときにどうなるかは、市の計画に入っていない。避難の時に大混乱を起こす可能性がある」と訴えた。

 滋賀県米原市の平尾道雄市長は、避難計画の必要性を認めつつも「そもそも、避難計画を持たなければならない原発という発電システムを見直さないとだめではないか」とエネルギー政策に疑問を呈した。

 避難計画の前提となる放射能拡散シミュレーションについて、環境総合研究所の青山貞一さんは、多くが地形を反映しないまま、作られていると指摘。地形を考慮する重要性を訴えた。