石原慎太郎東京都知事の超高額な海外旅行が告発を受けて以来、このところ、東京都議会、全国知事会、都知事会見などで大きな話題となっている。
その折りも折り、石原都知事の四男が都職員らと一緒にドイツ、フランスなど欧州を訪れた際、費用の合計55万円を都が全額公費負担していたことが分かった。
石原知事の四男、公費で海外出張 都「問題ない」
|
地方公務員法に言う一般の地方公務員及び知事、副知事、出納長、教育庁などの特別職の常勤の公務員には海外出張について細かい規程がある。
一般公務員、特別公務員のいずれもでもない、しかも地方自治法にいう審議会委員でもない「外部委員」が、わずか一ヶ月だけ都の事業の外部委員がこの種の海外出張することは異例中の異例である。この期間では非常勤とも言えないし、帰国後、四男は委員職を辞めていると言う。
東京都が外部業者に一般競争入札等で発注する事業のなかで専門家等に海外調査を依頼するケースはないことはないが、そのようなケースでも自治体業務の場合、ほとんどない。
また地方議会の議員の海外出張の圧倒的多くは、まさに「観光旅行」に類するものであり、まともな帰国報告書(調査報告書)すらなく、それらの多くは全国市民オンブズマンらによって住民監査請求、住民訴訟(公金の不正・不当支出)を受けている。
そもそも、四男の外部委員就任そのものが条例や要綱などで根拠づけられているのかどうか、四男は正規の任命書(委嘱状)を知事から受けているのかどうか。
また外部委員の旅費規程はあるのか、議会はそれを承認しているのかなど、出張命令権者は誰なのか、出張報告書があるのか、など単なる手続論を超え課題は多い。
通常、地方自治法の条例に基づく各種審議会や主旨を明確にしたうえで知事が要綱を制定、設置した場合の委員就任であっても、現在の自治体の財政状況のなかでは海外出張などほとんどない。
このような場合は、前年度から予算的措置をしなければならず、県議会の承認を得なければならない。これはそれほど容易なものではない。
すでに告発を受けている石原都知事が行った過去19回の海外旅行だが、「自治体本来の役割を目的としたものはほとんどなく、観光的なもの、個人的関心に近いものが多い」、というのが告発の重要な主旨である。
しかも、1回当たりの公費負担は平均で2000万円も極めて異常なものだ。通常、知事自身が「これは必要だ」と言えば、役人はそれに従わざるを得ない。
●青山貞一:都知事の公費海外旅行〜1回平均2000万円!?
そんななかでの、四男の問題発覚である。
公費で東京都の若手芸術家の支援事業「トーキョーワンダーサイト」に助言、意見をする芸術家として、1ヶ月委員となり、そのうちの1週間、欧州に55万円の公費で海外出張すると言うのが四男の問題だが、はいかがなものであろうか?
通常、この種の問題は、地方議会がしっかり監視していてその段階でクレームが付くはずだ。私が特別職、非常勤で勤務していた長野県の場合、あらかじめ特別職や顧問としての報酬について予算が議会に提出された段階で厳しいチェックが行われ、全額削除となる場合こともあった。
もっぱら、その長野県議会では、観光まがいの議員による高額な海外旅行が市民によりすっぱ抜かれ、当分の間、公費による海外出張そのものが差し止められて来た経緯もある。
いずれにしても、石原知事が言うような「トップダウン」だから良い、問題ないと言うことにはまったくならない。
もしトップダウンで、議会、司法のチェックが無く、この種の「お手盛り」と言っても過言でない海外出張が知事の身内に対し行われるとなれば、アジアのどこかの国同様、まさに「独裁行政」となってしまう。すでに、石原知事は自身の問題で刑事告発を受けている。全国知事会で上田埼玉県知事や増田岩手県知事がテレビ局のインタビューに応えていたように、知事は本件に関し、十分説明責任を果たさねばならないだろう。
そもそも、四男の件は3年前、また自身の件はエクアドルのガラパゴス諸島への出張から数えても5年以上経過している。
この間、都議会はこの件で何をしていたのか、と首をかしげたくなる。もっぱら、記者会見ひとつをみても、記者に恫喝まがいの逆質問などをしている石原都知事のこと、議員とは別に、大メディアの記者らも「萎縮して満足な質問ができていないのかも知れない」(某記者)。
以下は、今日(2006年11月24日午後5時ちょっとまえ)のテレビ朝日スーパーJチャンネルの石原都知事四男公費海外出張問題への小生のコメントである。