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進化し続ける
グーグルアース(2)

〜Ver 4.3 βを試用して〜


青山貞一


掲載月日:2008年7月31日



 2年前、私は「独立系メディア」で「進化し続けるグーグルアース」という論考を書いた。

  ※青山貞一:進化し続けるグーグルアース

 言うまでもなく、ITのソフト分野において世界でもっとも急成長そして発展している頭脳企業はグーグル社であるであろう。そのグーグル社は、一方で無償で各種の情報検索、地図情報、新聞記事速報などを世界各国の市民に提供し、他方で独自開発の秀逸な検索エンジンや広告を生み出すことで莫大な収入と利益を得ている。

 これはマイクロソフト社が著作権を元にパソコンOS、ウィンドウズの独占的販売を通じて巨万の富を築き上げたのと非常に対照的である。

 先の論考でも書いたが、グーグル社は、法人、企業など取れるところから広告収入や検索エンジンの著作権使用料をとる一方、最先端のIT技術を惜しげもなく無償で世界の市民に提供している。おそらくグーグルが急成長そして発展しているの背景には、そんなとろにゴーグル社ならではのビジネスモデルとしての大きな特徴があると言ってよいだろう。

 ところで、有償、無償を問わず、グーグル社が提供するソフト、情報システムの最大の目玉といえば、いうまでもなくグーグルアース(Google Earth)であろよう。

 グーグルアースは、インターネットGISそれも3次元のGISのひとつの極限の姿を追求していると言って良い。

 筆者は前の論考でも「グーグルアースは、おそらくいつまでもベーターバージョンが続くことだろう」と述べたが、まさにその通りとなった。

 そのグーグルアースだが、すでにバージョンが4.3まできている。現在、そのベータバージョンが以下でダウンロードできる。

   ※グーグルアース 4.3 βバージョンのダウンロード 

 グーグル社によれば、
Google Earth 4.3 (ベータ) の新機能は、
  • 写真でリアルに描写された世界中の都市の建物
  • サンライト機能による夜明けから夕暮れまでのビュー
  • 宇宙から街路レベルまで、一気に駆け抜けるナビゲーション
ということになる。

 たとえば、サンライト機能だが、これを用いることで景観イメージに太陽と太陽光の効果を表示することができる。手順は次のとおり。

  1. [表示] メニューの [太陽] をオンにするか、太陽ボタン 太陽ボタン アイコン をクリックします。表示している場所の太陽光の現在のレベルが表示されます。時間スライダが表示されます。
  2. 時間帯を変更するには、時間スライダを左右にドラッグします。表示している場所と時期によっては、東の方角に日の出、西の方角に日没を見ることができます。
  3. 景観イメージに太陽光のアニメーションを表示するには、時間スライダの [再生] ボタンをクリックします。
  4. 太陽を非表示にするには、[表示] メニューの [太陽] をオフにするか、太陽ボタン 太陽ボタン アイコン をクリックします。

  この機能により、峡谷や山岳地帯を表示するときに、劇的な効果が得られる。



上図は、操作見本(実際の太陽位置とは異なります)。

 上記の新機能は、インターネットGISとしていずれも確かに画期的なものだ。しかし、4.3では、実際にグーグルアースを使う上で、きめ細かなところで操作性が大幅に向上しており、さらに多くの固有の機能が追加されている。

 鳥瞰した視点の高度もリアルタイムにmで表示されるなど、GISとして必要な機能も大幅に拡充されている。

 さらに地域から地球まで、地球規模から地点までのナビゲーションをシームレスかつスムーズ、そして高速に行えるようになった点も評価できる。

 というのも私は自宅では、かなり古いパソコンにWindows 2000のOSを搭載している(ただし主記憶容量は1GB搭載)。

 にも係わらず、地球規模から地点までのナビゲーションをシームレスかつスムーズそして高速に行える。

 他方、日本語表記が化けるなどバグと思われるカ所もあったが、現時点ではベータバージョンであり、今後に期待したい。

 すでにテレビ各局もグーグルアースを地理情報画像として映像中に使っているが、4.3により地球規模から地点まで、逆に地点から地球規模までをシームレスかつ容易に映像化することが可能となるだろう。

 下の図は、拡大、縮小、各種移動、俯瞰、鳥瞰などに用いる一種のJoy Stickである。従来のものに比べると、工夫のあとが見える。実際使ってみたところ、従来のバージョンのものに使い慣れたせいか、3次元の鳥瞰、俯瞰展開操作が難しかったが、おそらく慣れれば4.3の方が操作性や効率が飛躍的に高くなると思われる。

 このJoy Stickについも、数週間前のバージョンでは、真ん中にあるスティックがなかったようなので、かなり頻繁に試行錯誤が繰り返されているようだ。

4.3の新たな操作バー
(Joy Stick)
 従来(4.2)の操作バー
(Joy Stick)

 以下は4.3におけるジョイスティックの操作説明概要。

  ・外観ジョイスティック (コントロールの上部) を動かして、1 点から
   周囲の景色を見渡せます。
  ・移動ジョイスティック (コントロールの中心) を動かして、上下左右
   にビューが移動できます。
  ・ズームの調整スライダを上下に動かすと、ズームインまたはズーム
   アウトします ([+] がズームイン、[-] がズームアウト)。
  ・ナビゲーション リングをクリックしたまま外観ジョイスティックの周囲
   をドラッグすると、その方向に合わせてビューが回転します。


 以下は4.3ジョイスティックのもう少し詳しい操作説明。
  • [真北] ボタンをクリックすると、北が画面の真上になるように回転します。リングをクリックしたまま車のハンドルをきるように回すと、その方向に合わせてビューが回転します。
  • 見回しジョイスティックを使用すると、首を回しているかのようにお気に入りの場所から周辺を見回すことができます。方向矢印をクリックするとその方向にビューが少し回転し、マウス ボタンを押し続けるとビューも回転を続けます。途中でマウス ボタンを押したままジョイスティックの周りを任意の方向へドラッグすると、移動方向を変えることができます。
  • 移動ジョイスティックを使用すると、ある場所から別の場所に移動することができます。方向矢印をクリックするとその方向にビューが少し移動し、マウス ボタンを押し続けるとビューも移動を続けます。途中でマウスのボタンを押したままジョイスティックの周りを任意の方向へドラッグすると、移動方向を変えることができます。
  • ズームの調整スライダを上下に動かすか、スライダの両端にあるアイコンをクリックすると、ズームインまたはズームアウトします ([+] がズームイン、[-] がズームアウト)。地表に近づくと、表示角度が地表と平行になるように傾きます。この自動傾斜を無効にするには、[ツール] > [オプション] > [ナビゲーション] タブの順にクリックし、[ナビゲーション コントロール] でチェックボックスをオフにします (Mac では、[Google Earth] > [環境設定] > [ナビゲーション] > [ナビゲーション コントロール])。
 さらなるジョイスティックの3次元操作の詳細

 4.3では、また以下のアイコンに示される機能も追加されている。興味深いのは、サンライト機能による夜明けから夕暮れまでのビューが一瞬にして行えること、また宇宙から街路レベルまで、一気に駆け抜けるナビゲーションが行えることである。さらに印字や前述した地形にそった距離計測が2点をマウスで指示することで瞬時に行えるのも頼もしい。


4.3の新機能のアイコン

 なお、グーグルアースプラスを搭載した場合には、GPSとの連動も可能とされているが、これについては、筆者はまだ使っていない。

 これは4.2にもある機能だが、ある地点(起点)から他の地点(終点)まで、地図上の地形にそった距離を画面中で示する。とともにその距離がmあるいはマイル単位で数字で表示される。プロバージョンでは、またポリゴンを指定すれば、地形を考慮したその範囲の面積も表示する。

 下図は、この7月20日に登山した黒斑山の頂上から浅間山の頂上まで登山する場合の距離を計測してみたところである。地形にそって距離が計測されることが分かる。

 図では距離が2.21kmと計測されている。また3D画面を添付メールとして送ったり、3D画面を高画質で印字する昨日などもついた。

 おそらく上記の機能の多くは、相当高額なGISにもなかったものではないか、とさえ思わされる。

 上の図は、浅間山の3次元地形を構築した後、黒斑山山頂から浅間山山頂までの地形にそった距離を実際に計測しているときの画面である。

 さらに4.2にもあったが、GISに必須なオーバーレー機能も拡充している。


拡充したオーバーレイ機能

 以下はユーザーガイドにあるイメージオーバーレイの見本。


地形をオフとした状態のオーバーレイ機能
出典:グーグルアース、ユーザーガイド


地形をオンとした状態のオーバーレイ機能
出典:グーグルアース、ユーザーガイド

 Joy Stickは従来同様、右端にあるが、従来に比べ大きさが半分程度と小型化しており、数秒で透明化し見えなくなるのは従来通りである。

 私にとって、4.3バージョンの本格的使用はこれからだが、4.3で付加された機能の多くは、自然景観を大学や研究所で研究する私たちにとって、この上なく有用なものであり、グーグル社の研究開発チームにこの場を借りて感謝の意を表したい。

 青山貞一(あおやま・ていいち) 武蔵工業大学環境情報学部教授
 GIS学会、環境科学会、環境アセスメント学会、
 大気環境学会、計画行政学会、自治体学会等の会員