石原都政の検証A 〜新銀行東京の融資内容疑惑〜 青山貞一 2007年2月9日 |
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石原都政8年間を振り返ったとき、中小零細企業への優先融資などを目的とした新銀行東京の設立がその後どうなったかが気になる。 まず、フリー百科事典『ウィキペディア』から新銀行東京とは何かについて、見てみよう。
新銀行東京は、フリー百科事典『ウィキペディア』によれば、千代田区大手町の本店と2005年5月13日に新宿出張所と蒲田出張所、2005年7月1日に立川出張所と上野出張所、錦糸町出張所をオープンさせている、 2006年度以降、順次計9店舗を都内に設置する。具体的には、2006年9月までに開業したのは、池袋出張所、渋谷出張所が5月、新橋出張所が9月に開店、また融資専門の拠点として立川出張所八王子融資推進室が8月に開設している。 成立の経緯から株式の84%を東京都が保有、民間企業数社も出資している。 ところで、鳴り物入りで設立された新銀行東京だが、その後、同行の経営がどうなっているのかが問題である。以下にここ1年の新銀行東京の実態をフリー百科事典『ウィキペディア』などをもとに示す。 「2006年6月1日、開業初年度だった2006年3月期の単独決算を発表しが、経常損益は209億円の赤字であり、最終赤字も同じく209億円となっていた。 2006年11月30日には同年9月中間期の最終損益が154億円の赤字(前年同期は95億円の赤字)になったと発表した。中小企業向け融資が相次いで回収不能になったため、不良債権処理に伴う損失が予想を上回り、計画より赤字幅が54億円拡大した。 この結果、累積赤字は456億円に膨らみ、投資された1000億円もの都税の半分近くがすでに消滅している。このまま赤字が改善されないと、あと数年で資本を食いつぶしてしまう計算になり、経営状態の悪化が懸念されている。 新銀行東京は2007年3月末までに536億円の累積赤字に達すると自らを予想しているが、2006年度中間期が計画よりも大幅な赤字だったことから不確実性を指摘されている。 本来、中小企業を救済するはずだったが中小企業向け融資は12255億円で貸出金全体の約52%にとどまっているなど資金繰りに苦しむ中小企業の支援という設立目的も揺らいでおり、主に石原慎太郎都知事の三男、石原宏高の地盤の品川区と大田区の企業に融資していたことから身内の選挙対策ではないかと批判されている。」 出典:フリー百科事典『ウィキペディア』 そんななか、2007年2月8日、日刊ゲンダイに以下の記事が掲載された。
上の記事を読むと、開業1年4カ月で純損失は約350億円に膨らみ、当初資本約1200億円の3分の1が吹っ飛んだことになる、とあり、新銀行東京設立の目的である中小零細企業相手の健全な貸し出しと言う大義名分もけっしてうまく行っていないとしか思えない。 その結果、新銀行東京の6991億円に及ぶ総資産のうち、貸し出しは2891億円しかなく、そのうち中小企業向けはわずか1695億円にすぎず当初目標を大きく下回っている。 しかも、残りの融資がどういう分野に貸し出されているかについて同銀行は情報を公開していない。これでは貸し出し額の何割が不良債権となっているか、また零細中小企業以外への貸出額など重要なデータが分からない。 当初目標から大きく逸脱しているため、実態を公表すると最大の出資者である東京都さらには石原慎太郎都知事に批判が集中することから黙りを決め込んでいるのではないか。 また記事にあるように、無理矢理貸し出し額を増やすため、大企業向け融資や他行の債権を買ったりしているのであれば、本末転倒であり、何のために新銀行東京を設置したのか分からなくなる。 いずれにしても、巨額海外旅行同様、知事にとって都合の悪い情報、データは開示しないでは、企業の社会的責任(CSR)上許されないことだ。 さらに、フリー百科事典『ウィキペディア』の最新情報にあるように、石原慎太郎都知事の三男、石原宏高の地盤の品川区と大田区の企業に融資していたことから身内の選挙対策ではないかと批判されていることが事実なら、これまたウルトラ公私混同となる。 巨額旅費問題、三男、四男問題が明らかになったのはここ数ヶ月であることを考えると、石原一族の選挙地盤である品川区、大田区の企業に優先して融資していると言う情報は、精査する必要があるだろう。 もし、三男、四男との政治活動との関連で特定地域、特定企業への優先融資を新銀行東京がしていたとすれば、あにはからんやである! ぜひとも、新銀行東京、石原都知事、東京都実質、都民の税金等によって設置された公立銀行であることからも融資の全容を都民の前に開示すべきである。 つづく |