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石原都政の検証B

〜とめどない公私混同と
メディア私的利用〜


青山貞一


2007年2月11日


 2007年2月11日(日)のフジテレビ報道2001そしてテレビ朝日サンデープロジェクトに連続出演した石原都知事は、自分はこれだけ重要かつ大きな仕事をしているのだから、交際費や出張旅費が多いなどで文句を言われる筋合いはないとばかりの発言を繰り返した。

 重要かつ大きな仕事として石原都知事があげていたのが横田基地の軍民共用化であった。そのために自分がどれだけ米政府、米経済界に働きかけたか、そのために公にできないカネがかかったかを蕩々と独演していた。

 周知のように、フジテレビ報道2001はまさに政権党の広報機関的存在となっている。テレビ朝日サンデープロジェクトも日増しにそうなっている。メディア、ジャーナリズムがもつべき第一の役割は権力の監視である。しかし、これらの番組は、レトリックを駆使しているものの、結果的に権力迎合さらには権力の広報機関となっていると言っても過言ではないだろう。

 両番組への出演者も自民党とそのシンパ関係者ばかり、それ以外のゲストはせいぜい、刺身のつまである。たとえて言えば主尋問だけで、何ら反対尋問を受けない裁判のようなもので、政権をもっている側が言いたい放題の粗末きわまりない番組であるといってよい。

 そもそもテレビは一方通行的なメディアであって、いくら視聴者が反論したり質問したくとも、通常できない。だからこそ、スタジオにゲストの考えや政策と異なるゲストを呼び、コメントさせるのが最低限必要となるはずだ。ところが最近のテレビ番組では、それがほとんどない。

 その意味で両番組はまったくもって視聴者を愚弄するものであり、世論誘導的な番組そのものと言ってよい。以下の放送法に抵触しないのが不思議なくらいである。

 放送法の第一条には、次の3点が原則として示されている。

  • 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
  • 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。
  • 放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

 この原則の下に、第三条には「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」とあるし、第三条の二には放送番組について

  • 公安及び善良な風俗を害しないこと。
  • 政治的に公平であること。
  • 報道は事実をまげないですること。
  • 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

と定められてもいる。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 この手の番組が小泉政権以降やたら多くなっているが、これも日本の品格や民度を下げ、本来の民主主義や政治のあり方をゆがめる根本原因のひとつとなっていると思える。

 フジテレビ報道2001はもとより、テレビ朝日サンデープロジェクトが、いかに情報操作による世論誘導の先兵となっているか、改めて考えさせられる。

 ちなみに当人らはいずれも固辞しているらしいが、フジテレビ報道2001の黒岩キャスターには安倍新総裁が政権の目玉人事としている内閣広報官、テレビ朝日サンデープロジェクトの田原キャスターにも政府の要職に抜擢を考慮していると報じられている。

「入閣要請されたキャスター」って誰だ  ゲンダイネット 
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 本題に戻そう。

 石原東京都知事の公私混同問題の問題の発端となったガラパゴス豪遊などの公費の超無駄遣いは、横田基地問題とはまったく関係がない。わざわざ公共資源である電波を独占的に使いながら説明責任をまったく果たしていない。もし、石原氏がご自身の教養や感性を磨くために外遊するなら、堂々とご自身の給与から行けばよいのである。

 石原知事的に言えば、石原知事がしていることは森羅万象すべて税金を使って何をしても良いことになりかねない。この人には「李下に冠をたださず」と言う言葉は通用せず、「反省という言葉」もないと言わざるをえない。

 結果として、石原知事の言いたい放題をキャスターが聞いて終わり、何ら国民、都民の立場からの突っ込んだ批判となっていない。

 自治体が諸外国との間での外交をしてはいけないとは言わないが、そもそも石原氏に都民の多くは外交など頼んでいない。横田基地問題も、永年騒音や落下問題で苦しんできた都民にしてみれば、東京都内にある軍用飛行場を全面返還させ、大規模公園なりまちづくりに生かすのが筋であり、石原知事が勝手に軍事飛行場を継続させる軍民共用飛行場とさせることなど望んでいないはずである。

 そもそも、超高額外遊費批判の発端となったガラパゴスはじめ以下に出てくる外遊は、石原氏個人の思想(台湾、シンガポールなど)ないし身内の趣味(ガラパゴス、グランドキャニオン、マンなど)なりでの公費支出であって、いくら居丈高に言い訳を繰り返しても、誰も信用しないだろう。

 この人が本質的に間違っているのは、評価するのは都民であり、第三者であり、政権党、権力にへつらい結果的に石原氏の言動、行状をヨイショするテレビでいくら弁明しても、まったく話にならないことである。

 石原氏の公金を使った外遊や交遊、身内への優遇などは、いずれも言ってみれば品性に欠けるものであって、言い訳をすればするほど、見苦しいだけのものである。

 交際費問題では参加請求後の住民訴訟で敗訴したが、石原氏はすぐさま控訴しており、まったく反省の兆しが見えない。今になって東京都のWEBの知事のページに、今後交際費の透明化をはかると言っているが、時代錯誤もはなはだしい。


石原知事に“違法会食”の判決
スポニチ 2007年01月31日

 東京都の石原慎太郎知事らが私的な飲食に知事交際費計約1190万円を支出したとして、葛飾区議らが返還を求めた訴訟の判決で、東京地裁は30日、一部支出を違法とし、知事ら3人に計約40万円の賠償責任を認めた。

 その上で地方自治法に基づき、知事に自身を含む3人に支払いを請求するよう命じた。4月の知事選に出馬を表明している石原知事にとっては“痛い判決”となった。

 判決が違法と認定したのは、区議側が不正支出と指摘した78件のうち2件。(1)03年2月に東京・銀座の飲食店であった都提供テレビ番組のプロデューサーとの会食費約5万8000円(都側出席者は知事ら2人)と、(2)同年5月に築地の料亭で開かれた航空関係者5人との会食費約34万1000円(都側出席者は知事ら3人)について。

 都側は「プロデューサーと広報について、航空関係者とは羽田空港国際化について、それぞれ意見交換した」などとして適法性を主張したが、鶴岡稔彦裁判長が「プロデューサーは接待される立場になく、必要性に疑問が残る」と指摘。

 また、航空関係者5人との会食には、当該部署の担当者はおらず、知事ら3人だけが出席。支払いが1人あたり4万円超という飲食にも「相手の名前も明らかにしていない。社会通念を逸脱した高額で、単なる接待と疑われてもやむを得ない」と判断した。

 78件のうち67件は提訴前に必要な監査請求が期限内になかったことから請求を却下。残る9件は「社会通念の範囲内」と認定した。

 石原知事はこの日、記者団に「事務の透明度があまりよくなかった」と渋い表情で対応。さらに「一部について主張が認められず、この点については遺憾。控訴するつもりだ」とのコメントを発表した。一方、区議側代理人の三宅弘弁護士は「2件でも違法と認定したことは評価できる。敗訴部分は控訴する」と徹底して争う姿勢を示した。

 石原知事は四男で画家の延啓(のぶひろ)氏を公費で渡航させたことなどが問題になっている中での判決。今後の都政運営にも影響しそうだ。

 以下は昨年11月中旬に都知事の公費海外旅行の愚を報じた独立系メディアの第一報。


都知事の公費海外旅行
〜1回平均2000万円!?〜

青山貞一

2006年11月16日

 石原慎太郎東京都知事の公費による海外旅行については、以前から問題になっていたが、日本共産党の東京都議団が2006年11月15日に石原都知事を刑事告発したことで、とうとうその実態が明るみに出た。

 以下、共産党のホームページから主な部分を抜粋してみた。

 石原知事が行った過去19回の海外旅行のうち、自治体本来の役割を目的としたものはほとんどなく、観光的なもの、個人的関心に近いものが多く、1回当たりの費用は平均で2000万円とのことだ。

 具体例として示されているのは、エクアドル領ガラパゴス諸島への旅行。知事らはエクアドル政府主催の昼食会などに出席した後、2001年6月13日にガラパゴス諸島に入り、翌14日から18日まで4泊5日で小型クルーザーと「ホテル並みの施設」(旅行会社ホームページ)を備える大型クルーズ船「サンタクルス」号で、ガラパゴス諸島を周回したと言う。

 クルーズ船の宿泊料は、バルコニー付きの最高級の部屋に宿泊した知事が52万4千円、特別秘書2人で87万2千円。このクルーズを含めた宿泊費総額は、知事は都条例で規定された額の2倍以上の82万円を使っていたという。

 2001年9月8日〜14日の米国出張では、8人で2061万円を支出。滞在中の11日に起きた米同時多発テロで、日程の後半に予定していた会談や講演をキャンセルして帰国したが、知事は条例の規定額の3倍の宿泊費を支出している。

 2004年6月23日〜7月2日のグランドキャニオンやレッドウッド国立公園、ロサンゼルスなどへの出張は、自然資源保護のしくみなどの調査を名目とし、夫人を伴うなど総勢11人によるもので、総額は2136万円となっている。

 2006年5月28日から6月3日には、ロンドンとマン島を視察。オリンピック招致の方策、マン島の観光施策が調査目的とされたが、掛かった費用は実に3574万円であった。

 石原知事のこれら海外出張費は他府県と比べきわめめて高額である。

 知事就任後の海外出張は19回あるが資料を入手した15回分の海外出張総経費は2億4400万円、1回あたり1600万円にのぼる。招待による相手側一部負担の4回を除くと、1回あたり約2000万円となる。最高額の経費は2006年5月〜6月のロンドン、マン島への出張で、3574万円である。

 他県の場合は、たとえば神奈川県、千葉県、埼玉県知事の海外出張は1回200万〜800万円である。

 自治体職員の旅費は条例で定められている。たとえば埼玉県知事はホテル代を条例の範囲内となっているが、都知事はどの出張でも条例の規定の2倍〜3倍、最高6.6倍の高額なホテル代を支払っていることがわかった。

 以下は、石原東京都知事の海外出張先とそれに要した費用の一覧である。

 ちなみに今の大学では国立、私立を問わず、経常研究費からの航空券を含む海外出張支出費は1人1回当たり15万円までときまっている。残りは自己負担となっている。ただし、補助金、助成金等の場合はこの限りではない。しかし、その場合でも30万円前後である。

<関連記事>

朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/1115/TKY200611150466.html

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20061116/lcl_____tko_____003.shtml

表

表

とうとう全面バクロされた石原都知事“金満”外遊癖(総額2億4000万円)

日刊ゲンダイ 2006年11月17日号

◆ 夫人同伴非常識豪華2100万円ツアーも ◆

 石原慎太郎都知事(74)が「視察」と称して海外で豪遊し、公費をベラボーにムダ遣いしていたことが共産党都議団の調査で分かった。夫人の旅費まで公費で賄っていたからメチャクチャだ。

◆ 一族が議員 いくら税金を使う気なのか ◆

 石原知事の海外豪遊は99年の就任以来19回。神奈川や埼玉、千葉の知事の出張費が1回200万〜800万円なのに対し、石原知事は980万〜3570万円と破格の経費がかかっていた。バカ高い経費になるのも当然。その豪華さにはア然とさせられる。以下、代表例を見てみよう。

●ガラパゴス諸島(11日間、01年6月)

「エコ・ツーリズム」などを名目に、38万円の小型クルーザーを1日借り切ってのクルージング。さらに、206万円もかけてホテル並みの設備を備えた大型クルーザーで4日間の遊覧を楽しんだ。バルコニー付きの最高級の部屋の宿泊費は52万4000円ナリ。

以下は独立系メディアにおけるアーカイブ

石原都知事の傲慢と公私混同
石原都知事に関する「きっこの音楽日記」きっこの日記
ボロボロでてくる石原疑惑(2)〜税金での巨額飲み食い〜日刊ゲンダイ
ボロボロでてくる石原疑惑(1)〜4男出張に日当と支度料〜 日刊ゲンダイ
暴言しんちゃん絶体絶命!1〜5 きっこの日記
<東京都>1億円不適正補助 石原知事四男登用の事業に 毎日新聞
東京都、中止のTWS「能オペラ」に2400万円支出 朝日新聞
都、知事四男に報酬 27万円、受領後返還 東京新聞
石原都知事、四男関与の事業脚本料を実は予算化 読売新聞 
石原知事脚本料に予算100万円 スポーツニッポン 
都知事:身内懇談に交際費 四男友人の参与と計6回毎日新聞
慎太郎親子への“ウラ献金”水谷建設元会長も認めた 日刊ゲンダイ
石原 三男・宏高議員秘書なぞの辞職 日刊ゲンダイ
〈水谷建設〉選挙前にも石原宏高衆院議員に裏金疑惑 日刊ゲンダイ
石原都知事 水谷建設元会長と会食 三男も 日本テレビ
石原都知事 3選グラリ ゲンダイネット 
石原親子と水谷建設 料亭祝宴の写真が出てきた日刊ゲンダイ
石原慎太郎 家臣団が食い漁らす都民の税金 アエラ(PDF)
石原都知事の四男、ダボス会議にも公費同行 朝日新聞
青山貞一:石原都知事四男の公費海外出張問題(続報)
石原知事の四男、公費で海外出張 朝日新聞
長過ぎる権力は必ず腐敗す〜都知事はどうなのか日刊ゲンダイ
新疑惑発覚 3選出馬断念か 石原慎太郎また公私混同 日刊ゲンダイ
青山貞一:都知事の公費海外旅行〜1回平均2000万円!?〜

 つづく