米軍基地と公共工事 のまち、沖縄県C 〜嘉手納基地〜 青山貞一、宇都宮朗、坪根将太 武蔵工業大学環境情報学部青山研究室 2007年2月18日、2009年1月31日拡充 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◆2007年2月13日(2日目)午後 キャンプシュワブ視察後、私たちは県道329号線で金武町まで行き、キャンプハンセンを県道104号で縦断し東シナ海側にでた。 その後、恩納村、読谷村経由で嘉手納基地に向かった。読谷村では残波米軍通信施設を視察したが、写真32の残波米軍通信施設はすでに撤収した後であった。 写真32 米軍通信施設があった場所(読谷村) 読谷村では残波岬に立ち寄った。残波岬には、写真33のようなうつくしい灯台があった。 写真33 残波岬灯台 この灯台は現在、東シナ海を航行する船舶にとってきわめて重要な航路案内役を果たしているらしいが、永年、米国管理下にあった残波地域が沖縄本土復帰後の1974年3月にやっと建設されたそうだ。 残波岬は下の写真34にあるように地形、地質的にも特異なものがある。海までせせり出た絶壁がそこかしこにあり、地形、景観的には見るべきものがある。 写真34 残波岬の特異な地形 写真35 残波岬の特異な地形。 テーブルマウンテンとなっている 残波岬の後、読谷村と嘉手納町との間にある米軍施設楚辺通信施設を視察した。 沖縄県にはこの種の通信施設がたくさんある。長波から短波通信用のアンテナは広大な敷地を必要とすること、周辺に雑音源がないことが立地の条件となっていることから通信所も全体としてかなりの面積を専有していると言える。 あとで分かったのだが、この残波岬の付け根には安定型処分場が多数あり、安定型5品目以外の産廃も処分されている可能性が高く、地元住民が私が所長を務める環境総合研究所に分析を依頼している。 ◆嘉手納基地 周知のように現地、米軍は世界規模での基地の再編を進めている。 日本にも再編の波が押し寄せており東アジア太平洋地域の司令部を神奈川県座間に置くと言う計画もあり、地元自治体が反対を表明している。 米軍の世界的再編で沖縄県の米軍基地がどうなるのかはきわめて重要なことだ。 残波岬から米軍施設トリイステーションを右手に見ながら南下し国道58号線に戻にフェンス沿い74号線を行くとに米空軍嘉手納基地(空港)に到着した。 この空港は4000m級の滑走路をもち羽田空港の2倍の面積を持つ日本最大の空港である。 図11 嘉手納基地周辺地図 嘉手納基地の内部がよく見える写真36の「道の駅かでな」の4階にエレベータに上り、大学から持参したデジタル騒音計でジェット戦闘機の騒音計測を行った。 写真36 道の駅かでな。ここから基地内がよく見える。 マスコミが嘉手納基地内のジェット機などの状況を映像で流しているが、それらはすべてこの道の駅の4階から撮影したものである。私たちが道の駅で撮影、計測している最中も多数のマスメディアが望遠レンズをつけたカメラやテレビカメラで取材をしていた。 写真37 道の駅の4階から嘉手納基地の全貌がよく見える。 報道関係者らもここに超望遠レンズをつけたカメラ で取材していた。 写真38 嘉手納基地内 以下は嘉手納町の嘉手納基地関連Webである。何と嘉手納町の80%が嘉手納基地で占められていることが分かる。 基地1(56Kbps130kb) 基地2(56Kbps108kb) 写真39 嘉手納基地内 写真40 嘉手納基地内の格納庫 地元の住民や継続的に取材している地元メディアのひとに聞くと、嘉手納基地のジェット機騒音が以前にも増して激しくなっているという。 大学院生と騒音を測定し始め20数分後、嘉手納基地から4機のジェット戦闘機が次々に発進した。騒音レベルの最高値は何と95.6デシベルに達した。これにはびっくりだ。90デシベルを超すとそばで話す人の声もよく聞き取れないが、96デシベルとなると、まさに耳をつんざく爆音である。 写真41 ジェット機の騒音を計測する宇都宮さんと坪根さん 写真42 ジェット機の騒音を計測する宇都宮さんと坪根さん 私たちが道の駅にいた1時間30分のうち、90デシベルを超す爆音は一回だったが、一日に20回を超える日もあるとのことだ。 米国内以外は沖縄県だけという最新鋭ジェット機(F22)が配備されるなど緊張が高まっている。地元のテレビなどメディアは12日、この問題を報じていた。 2月15日も嘉手納基地に立ち寄ったが、残念ながらF22は到着していなかった。もし、F22が到着していれば、航空機騒音が計測できたので残念である。 その後、東京に帰った翌日の2月16日、米軍嘉手納基地に最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターが到着したことが全国に配信された。
なお、以下の写真は嘉手納基地で使用される戦闘機、輸送機、哨戒機、偵察機、戦略爆撃機等のリストである。以下にリストされているもの以外にヘリコプターが数種類ある。いずれも軍用機なので騒音レベルは高い。
Source:U.S.Air Force なんと言っても嘉手納空港は市街地のど真ん中にある。 以下は嘉手納町のHPにある写真。嘉手納の中心市街地は嘉手納空港にぴったり隣接してある。左側(西側)は、すぐに海(東シナ海)である。私は世界中の民間空港、軍事空港を多数見てきたが、これほど巨大な軍事空港が市街地と隣接しているのは見たことがない。 また神奈川県の厚木基地、東京都の横田基地におけるNLP(夜間離発着訓練)もデジタル騒音計で計測してきたが、嘉手納空港を離陸するジェット戦闘機の騒音レベルはNLPの最高値に近いものがある。 写真44 嘉手納基地と嘉手納町 出典:嘉手納町 今回の測定期間中の最高値は約96ホンであったが、嘉手納町など行政が過去測定してきた騒音には100ホンを超えることが多々ある。
嘉手納基地で調査を終えた後、泡瀬干潟開発の現場に向かった。 |