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え〜!
科学技術振興予算を増額?
〜パソコンでSPEEDIは可能B〜
青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学大学院教授
環境総合研究所所長
掲載月日:2011年11月15日
独立系メディア E−wave
 無断転載禁


◆11月3日の日弁連福島公会堂シンポジウムで結果報告

 図6は、11月3日、日弁連主催の福島市公会堂でのシンポジウムで、青山が発表した環境総合研究所によるシミュレーション結果である。

日弁連・福島シンポジウム第1部 You Tube


図6 11月3日の日弁連福島公会堂シンポジウムで結果報告


図7 11月3日の日弁連福島公会堂シンポジウムで結果報告

 図8は2011年3月15日に福島第一原発事故で排出された放射性物質が東京や横浜までどう移流、拡散するかをシミュレーションした様子を示している。発表しているのは私(青山貞一)である。実は3月21日にも同じような風向きがあり、しかも降雨があった。

 そもそもSPEEDIでは原発から250Kmも離れた東京や横浜までのシミュレーションは WSPEEDIとして別途行われ一部が記者発表されたようではあるが、SPEEDIと同様な形での公表はされていない。SPEEDIの結果公表サイトへの掲載もない。こんなものに巨額の国費を投入してなんになるのであろうか?


図8 原発から250Kmも離れた東京や横浜までのシミュレーション
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 
図9は3月15日における別の時間の放射性物質の移流、拡散シミュレーションの一部である。なぜ、飯舘村、福島市の放射線量が高いかがよくわかる!


図9 3月15日、午後の気象データと汚染の流れ


図10 3月15日の飯舘村、福島市への移流拡散シミュレーション
出典:青山貞一、日弁連、福島公会堂 講演PPT


図11 3月15日の飯舘村、福島市への移流拡散シミュレーション
    拡大シミュレーション図
出典:青山貞一、日弁連、福島公会堂 講演PPT

 図12は千葉県の柏市、松戸市などの放射線量が高い原因をなした3月21日の放射性物質の時間を追っての移流、拡散シミュレーションの一部。


図12  3月21日の茨城、千葉、埼玉、東京への移流拡散シミュレーション
出典:青山貞一、日弁連、福島公会堂 講演PPT

 図11からは柏・松戸の放射線量がなぜ高いかがわかる。それは気象的(風向、降雨)および地形的要因によるものである。21日の大部分の時間、降雨があったこともその後、当該地域の汚染レベルが高い大きな要因である!


図13 3月21日の茨城、千葉、埼玉、東京への移流拡散シミュレーション
出典:青山貞一、日弁連、福島公会堂 講演PPT


図14 3月21日の茨城、千葉、埼玉、東京への移流拡散シミュレーション
出典:青山貞一、日弁連、福島公会堂 講演PPT

 次の課題は、技術の問題ではなく政治の問題である。これについて、原発事故や自然エネルギー政策に詳しい飯田哲也環境エネルギー政策研究所所長は、私もパネリストとして参加した11月3日、日本弁護士連合会が福島市公会堂で開催した「脱原発シンポ」第二部で、SPEEDIは稼働したが政治的な理由で公表されたなかったと述べている。

日弁連・福島シンポジウム第2部 You Tube

 真意のほどは確かめようもないが、推察するに、センターは原発事故直後にリアルタイムシミュレーションを技術的に実施していたが、政治的な理由でシミュレーション結果が公表されたなったということだ。

 もちろん、この8ヶ月の政治や行政の実態をみるにつけ、その可能性も大と思える。


今や要はハードではなく頭脳(ソフト)である!

 いずれにせよ、問題はもともと金食い虫で、無駄遣いの文部科学省が、この時期に科学技術振興予算を増加させていることである。

 最低限、ことは福島原発問題において全面的に反省すること、またスパコンに関しては河野太郎議員が暗に先のブログで述べているように、「その際、スカラー、ベクターが必要だという当初の主張はどうなったのか。誰がどういう理由でスカラー型、ベクター型の混合型を主張していたのか、なぜ、それがスカラー型一本になったのか、なぜ、NECと日立が撤退した時に再度、議論が行われなかったのか」など、文科省はこの時期、自らしていること、たとえば特定メーカーのために財政出動することの理由について、経過を含め透明性高く説明しなければならないだろう!

 永年この世界にいる者としていえることは、今やハードウェアよりいかに頭を使ったソフトウェアを構築するかが大きな課題であることだ! ましてSPEEDIのように本来、社会的に大きな意味を持つシステムの研究開発に関しては、頭が勝負となることは言うまでもない!