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中国はオリンピック開催を
延期し震災復興に全力を!



青山貞一

掲載月日:2008年5月20日


 私がいる大学、学部、青山研究室には、中国から多くの留学生が来ており、四川省に身内がいる、いないにかかわらず、今回の四川省で起こった大震災に心を痛めている。今日も学内で義捐金をどう集めるかについて対応を協議した。またミャンマーからも留学生が来ており、同様に対応を協議した。

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 中国四川省で現地時間2008年5月12日14時28分に起こった仮称、四川大地震は、今まで情報が断絶していた被災地と連絡が取れるようになるたびに、死者など被害が格段に大きくなっている。

 これは直近のミャンマーにおけるサイクロン被害、数年前のスリランカ、インドネシアの津波でも同様であり、当初発表された死亡者数はその後、指数関数的に増えている。四川大地震の現時点での死亡者数は4万人とされているが、おそらく今後、相当増えると思われる。

 周知のように我が国における過去の地震による被害としては、1923年(大正12年)9月1日午前11時58分に、神奈川県相模湾北西沖80kmを震源として発生した海溝型の大地震(関東地震)による災害が最大規模であり、以下に示すように14万人超が犠牲となっている。

  ◆関東大震災
   死者・行方不明者 : 14万2800人
   負傷者  : 10万3733人
   避難人数 : 190万人以上
   住家全壊 : 12万8266戸
   住家半壊 : 12万6233戸
   住家焼失 : 44万7128戸(全半壊後の焼失を含む)

 現地点で死亡者数こそ、関東大震災より少ないが、避難者数は中国当局の発表でも、すでに500万人を超えており、阪神淡路大震災より遙かに甚大な被害となっていることは想像に難くない。

  ◆阪神淡路大震災
    死者:6,437名 行方不明者:3名
    負傷者:43,792名
    避難人数 : 30万名以上
    住家被害 : 全壊104,906棟、半壊144,274棟、
    全半壊合計約25万棟(約46万世帯)、一部損壊390,506棟
    火災被害 : 住家全焼6,148棟、
    全焼損(非住家・住家共)合計7,483棟、罹災世帯9,017世帯

 ちなみに阪神淡路大震災の損害総額は推定で10兆円を超えており、復興には膨大な歳月がかかっている。

 ところで、今年の夏に中国北京でオリンピックが開催されることになっており、すでに聖火リレーも進んでいる。

 この中国北京におけるオリンピックの開催は2001年7月13日にモスクワで開かれた第112回IOC総会での投票により、イスタンブル(トルコ)、大阪(日本)、パリ(フランス)、トロント(カナダ)の4都市との間で競争に打ち勝ち開催地に内定しており。

 第1回投票では北京、トロント、パリ、イスタンブールが残り、第2回投票での獲得票数は北京56票、トロント22票、パリ18票、イスタンブール9票で北京に決まった。サマランチ会長率いるIOCは、このところ常態化している「商業的観点」から、世界一の人口を持ち経済成長が著しい中国でオリンピック開催を実現させることに特に意欲的であったとされている。

 北京オリンピックの開催を競技場との関連で見ると、北京市内に37会場が設置され、そのうち新設会場は22会場となる。全体の44%の施設が市北部に建設されるオリンピック公園に集中する。

 競技場とは別に、道路はじめ各種インフラ建設、ホテルなど観光客対応などで北京を中心に中国はかつての東京オリンピック開催をはるかに超える経済開発ブームとなっている。

 そのなかで四川大地震が起こった。地震以前にも、チベット自治権をめぐる大騒動があり、北京周辺の工場からの酷い大気汚染の問題もあるが、今回の四川大地震はそれらの紛争、問題以上に、中国国民にとって緊急を要する問題であると思われる。

 ちなみに、下の地図にあるように、何の因縁か「四川省」は「チベット自治区」のすぐ隣りにある。

赤い部分が四川省
赤い部分がチベット自治区
地図の出典はWikipedia

 そこで提案だが、この際、北京オリンピックを最低1年、できれば2年その開催を延期したらどうか? もちろん、そのためにはIOC総会での特例措置が不可欠だが、このまま北京オリンピックを強行すれば、間違いなく四川大震災への物理的、経済的、社会的な対応が遅れる。

 いくら今の中国経済が堅調であると言っても、損害額は日本円で数10兆円に及ぶであろう。水道、電気、道路、下水などのインフラ再建、現状で1000以上の教室が壊滅している小中学校の教育の再建など、どれをとっても膨大な費用と時間がかかるものばかりである。

 私の提案は決して開催を中止しろと言っているのではなく、特例的に1,2年延期し、北京で開催することにある。