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●やはりG8は茶番だった! この論考シリーズの冒頭で、私は「死に体」(=レームダック)化している残り任期わずか4ヶ月のブッシュ大統領と、国民支持率最悪の福田首相がすることは、重要課題の先送りであると述べたが、まさにその通りの結果となった。 日本の新聞、テレビなど大マスコミは、当初、ドイツのG8より一歩前進など福田首相をヨイショしていた。しかし、9日午後、新興国などを含めた通称MEMが開催されるに及び、一体、大山鳴動したG8や主要排出国会議(MEM)の合意内容がいかに抽象的でおよそ一歩前進などではなく、玉虫色のものであるかが明確になるに及び批判的論調が強くなった。 ※MEM:主要排出国会議 以下は、実質的に政府の代弁者(=広報機関)と化している読売新聞の総括記事である。 MEM首脳宣言は、「世界全体で温室効果ガスの排出を半減させるとの長期目標を共有し、(国連で)採択を求める」とした8日のG8(主要8か国)合意を踏まえ、「世界全体の長期目標を採択することが望ましい」と記し、先進国だけでなく、新興国も前向きに取り組む姿勢を示した。MEM参加国が「世界全体での長期目標の共有を支持する」とも明記した。 この時期に及び到底、一歩前進どころか二歩後退でしかない、合意で終わった洞爺湖サミットは、全世界の国民にとって、先進富裕国の茶番劇に写ったに違いない。結局、福田首相の理念のなさ、調整能力のなさなど無能力さが、よりハッキリしてきたことになる。 ●結局、MEMは原発の売り込みの場... 洞爺湖サミットは、温暖化の影響、被害に苦しむアフリカ、アジア、南米、太平洋などの国々とって大山鳴動しネズミ一匹も出てこなかった茶番であっても、G8諸国、とりわけ米国、日本にとってシナリオ通り、原発やEnd of Pipe型の巨大環境技術を中国、インドはじめ新興国などに売り込む官製売り込みの場になったようだ。 そもそも、米国は京都会議から2001年に離脱し、日本は京都会議の宿題(マイナス6%)をまったく果たさず、京都メカニズムなどつじつま合わせ政策に終始してきた国であり、いわば落第生である。 その京都会議の落第生でレームダック化しているブッシュ大統領がG8に参加する大きな動機は「原子力発電所の建設促進」、とりわけGEやウエスティングハウスなど斜陽産業となっている原発関連企業の手先として、各国に二酸化炭素を排出しないエネルギー源として売り込むことだった。 共和党の次期大統領候補であるマケイン氏は、自分が大統領になったら西側諸国で前代未聞の原発事故であるスリーマイルズ島事故以来、建設が停止されてきた原発を米国内だけで50基以上建設すると息巻いている。 周知のようにブッシュ大統領が、温暖化対策で色気をもつのは、エネルギー産業、原発産業などの利害がからむ場合だけと言ってよい。そこには超大国としてのリーダーシップやCO2の超大量排出国としての責任などみじんたりとも感じられないのである。 以下はサミットでブッシュ大統領がインドのシン首相との間で原子力発電所建設協定(2国間協定)を締結するという記事。
●重厚長大型環境技術の売り込みの場にも... 他方、日本はどうか? 京都会議の開催国で米国同様、京都議定書の宿題をまったく果たしていない日本の福田首相もG8やMEMの場を電力、鉄鋼、セメント業界が有するエネルギー効率技術の売り込みの場に使ったのである。 いうまでもなく、電力、鉄鋼などの基幹産業は依然として経団連の中枢を占めている。太陽光発電などの自然エネルギーの活用を含め日本のCO2削減が進まない大きな原因は、それらの業界がこぞって既得権益にこだわっているからである。 日本政府がこの間、国際的な場で執拗にこだわってきた「セクター別排出量積み立て方式」は大口CO2排出事業者である日本の電力、鉄鋼などの意向を強く受けてのことである。福田首相は、G8やMEMの場を各国首脳にそれらを喧伝する格好の場としたのである。 すでに述べたように、これらの戦略、戦術は経団連と旧通産省、現在の経済産業省の合作によってつくられたと言ってよい。霞ヶ関の官僚社会主義と重厚長大企業の合作である。日本が北欧諸国やカリフォルニア州のように太陽光発電、風力発電など自然エネルギーが促進されない大きな原因は、これら霞ヶ関の官僚社会主義と重厚長大企業の合作の結果であると言っても過言ではないだろう! そもそも、極端な少子化を迎える日本がいつまでも、これら重厚長大産業やそれを支援する経済産業省に蹂躙され、ゆがんだ国家モデルしか描けなくなっている現実に我々はもっと着目すべきだ。 それは旧建設省、現在の国土交通省が「現代の関東軍」として、組織保身のために不要不急の道路を延々と造り続け、世界一の土木系公共事業国家としていること相通ずるものがある。それは霞ヶ関の官僚社会主義による亡国である。 結局、小泉、安倍、福田に共通しているのは、一方で民間主導、民営化をいいながら他方で、霞ヶ関の省庁組織、その外郭団体組織を温存させたことにある。 洞爺湖サミットで私たちが見たものは、レームダック化している日米の首脳に共通しているのことは、斜陽産業の利害、利権を温暖化対策技術と称し、各国に官製営業を展開しているサモシイ姿であった。 以下は上記を裏付ける産経新聞2008年7月9日号の日本産業界首脳の談話記事である。
つづく |