同一製品が3〜10倍
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日本のデジタル家電業界について言えば、製品の部品の圧倒的多くはすでにアジア諸国で生産しているか、生産されているものを輸入している。 しかも、日本の一流企業は、中国、台湾などの中小企業を下請け化し、安い賃金などの原価で製造させ、それに自社のブランドを付け、日本国内で信じられない高額で、純正品として販売している。 大マスコミはこの実態をほとんど報道しないが、その実態を知ると仰天する。 いくつか紹介すると、1080p60フレームに対応した本格的なデジタルハイビジョンカメラは、付属品を含め日本メーカーは、3万円前後で販売している。この種の製品はパナソニック、ソニー、ビクターも4万円−5万円で販売しているので、多くの人は3万円前後なら安いと思うだろう! 本格的なデジタルハイビジョンカメラは付属品を含め 日本メーカー品は3万円前後で販売 ところがどっこい、上記のデジタルハイビジョンカメラを製造しているのは台湾のDXG Technology Corp.という企業である。 なんと、日本のブランド名をはずしたこのカメラのノーブランド製品は、新品箱入りで8000円以下で売られていた。つい最近まで10000円前後で売られていた。 以下は以前、独立系メディアに書いた当該製品の概要である。 そして現在はと言えば、台湾のDXG Technology Corp.のSDHCビデオカメラ、DVH-A81を使っている。下に仕様を示す。ハイビジョン仕様で主さは約292g(バッテリーを含まず)である。動画の最大解像度は1080i / 60fpsで ,形式は、MOV(Quick TIme)、H.264であり、 静止画の最大解像度:12Mで形式はJPEG DCFである。 本格的なデジタルハイビジョンカメラは付属品を含め 中国メーカー品は1万円前後で販売 DVH-A81 デジタル家電の詳細仕様 種類 DVカメラ ・ 1/2.3”CMOSセンサー 1.00MegaPixel ・ レンズ Wide:F3.5〜F32 f=6.8mm ,Tele:F3.7〜F33.8 f=34mm ・ フォーカス Wide:10cm〜∞ ,Tele:1m〜∞ ,Macro Wide:2〜80cm ・ 光学ズーム:5倍 ,デジタルズーム:10倍 ・ 動画 最大解像度:1080i / 60fps ,形式:H.264 ・ 静止画 最大解像度:12M ,形式:JPEG DCF ・ 3.0インチ 16:9 TFT液晶(960×240)搭載 ・ 128MB FlashMemory + SDHC(〜16GB) ・ I/F:USB2.0 ,AV出力:NTSC/PAL HDMI ・ 電源:Li-ionバッテリーNP120 ・ サイズ:57(W)×70(H)×129(D)mm ,重量:約292g 以下は私が使ってきたデジタルビデオカメラである。 左3つはビクター製、一番左は1台、ディスカウントでも35万円もした。一番右が台湾のDXG Technology Corp.製のデジタルハイビジョンカメラである。価格は1万円しない。 左からGR−HD1、GZ−MG40−S、GZ−MG505そしてDVH-A81 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8 私はあえて日本製と台湾製の両方のデジタルハイビジョンビデオカメラを買い所有しているが、間違いなく両製品は同じものである。 つまり、日本の一流デジタル家電メーカーは、台湾の会社に製造を下請けさせ、信じられない安さで製品を逆輸入し、日本の市場でその2〜3倍の価格で販売しているのである。それでも日本では最もリーズナブルな製品となっているのだから、なにおかいわんやである。 次の例は、これがもっと露骨に示される。 先に紹介した超小型軽量のデジタルハイビジョンカメラは、NP120という規格化された電池をつかっている。 日本のメーカーは、各社それぞれがカメラごとに違うバッテリーをつかっており、それを純正品としてバカ高く市販している。上記の台湾製ビデオカメラは、NP120という国際規格の電池を使用しているので、その意味では立派である。 一昨年、独立系メディアの動画を本格的に開始し、上記のビデオカメラの使用頻度が高くなり、野外撮影では一度に一個のバッテリーでは間に合わず、バッテリーを2,3個持つ必要がでてきた。 そこでNP120を別途数個買うことにし、価格コムで調べた。するとNP120は一個3000円近くで売られていた。高い店では一個5000円もしている。カシオの場合も純正は3000円〜4500円もしている。 NP120の中国製品 電池や付属品がついたデジタルハイビジョンカメラ一式を8000円程度で量販店で買ったが、予備の電池が5000円もするなんて、いったいなんだこりゃーということになる。 そこで価格コム以外で調べたら中国製のNP120が一個500円〜600円で売られていたので、2個注文し、この2年使っているが、まったく問題なく使えている。 ごく最近、ここ4年間、海外現地調査はじめ国内現地調査などで酷使しているニコンのデジカメ、Coolpix S8のリチウムイオン電池がへたってきた。そこでEN-EL8という型番のニコンの電池を購入することにした。 まず価格コムでEN-EL8の価格を調べた。 すると純正品は、NP120同様、1個3,000円から4,500円、純正品の正価は5,250円もしている。2万円ほどで買ったデジカメの電池が1個4,500円するのはどうみても異常である。 EN−EL8の互換製品 こう見てくると、日本の一流メーカーのモラル、商道徳は一体どうなっているのかと疑わざるを得なくなる。一言でいえば、日本企業は中国(人)を徹底的に搾取し、中国でこれでもかと安く作らせた部品や製品をもとに、ケース、筐体に日本製品のブランドを付け、数倍〜10倍で国内で販売しているのである。 いずれにしてもデジカメ本体が2万円〜3万円の製品の電池が5,250円すること自体、どうみても異常としか言いようがない。 インターネットの時代、すこしでも賢い消費者は、吟味しながら部品や製品、付属品を通販で買っている。収入が減っている国民の防御策でもある。 いくら企業に巨額の金を貸し付けても、最終的に売れなければ成長戦略もへちまもないだろう。日本経済が抱える本質的問題はおそらくそこにはないはずだ。 日本の家電企業は、デジタル家電だけでなく白物家電でも韓国、台湾などアジア諸国の企業の後塵を拝しており、いまや経営難から倒産に移行しつつある。これは時代の趨勢であり、いくら民主党政権、自民党政権が経団連などの言い分を聞き、あれこれ小手先の手を打っても、どうにかなる問題ではない。 まして、金融資本主義下で仕手筋などの株価操作でシャープの株が一時、暴騰したとしても、実体経済が構造的に悪化すれば、早晩、倒産は免れないだろう。これはサンヨー、シャープだけの話ではなく、パナソニック、NEC、東芝、日立などについても妥当するだろう。 |