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今回の作品 「クラーク・ランディング」も第一作の「カーソン・ショア」、第二作の「ルイス・ランディング」同様、地形は複雑そのものである。電気はすべて充電装置付きの風力発電と太陽光発電でまかなっている。 「クラーク・ランディング」は複雑で特異な地形を「観光」にも活かそうと考えたまちづくりである。まだまちづくり途上なので観光客は少ないが、他のまち同様、個性あるまちなのでできあがれば観光都市化は都市経営にもプラスになるだろう。 「クラーク・ランディング」では、観光と教育を重視している。初等教育だけでなくわずか7000規模のまちにコミュニティカレッジを2校開設している。おそらく周辺の小さな自治体からも学生がコミュニティ交流バスでくるだろう。 ここでは、 「クラーク・ランディング」を具体的に紹介する前に過去青山が3地域で開設した自治体の経過、実績について概説するとともに、シムシティにおける経営収支の概要、それに社会、経済、環境に関連する36種類の指標の概要と実例を紹介したい! シムシティではすべてが時々刻々変化する。以下は2014年6月8日午前の数字である。 「クラーク・ランディング」は人口規模の割に収支がよいので、環境、観光に加え教育投資を行う。以下は教育投資を行う前の数字である。そんなこともあり、 「クラーク・ランディング」にはいつも他の自治体の首長が視察に来ている。
シムシティにおける収支における収入と支出は以下の通りである。 シムシティは、完全に自治体となっており、日本のように国や県が集めた税金などを自治体に補助したり交付する制度はない。ただし、地方債など起債の発行は認められている。全体として株式会社のような存在である。一方、自治体相互でのさまざまな協力、サービス、資源の融通があるのがよい。その意味で、シムシティはオンライン、マルチプレイでないと面白くない。 <都市の主な収入項目> ●税金は、RCI(住宅地、商業地、工業地)などから徴収できる。 住民税、固定資産税、法人事業所税などである。 ●税率は下記の段階を経て細かく設定できる。 ・都市開発を始めた直後は税率を変更できない(初期状態では一律9%になっている)。 ・町役場を設置すると、全建築物一律で税率を設定できるようになる。 ・町役場を市庁舎にアップグレードすると、RCIごとに税率を設定できるようになる。 ・市庁舎に財務局を追加すると、RCIごとの区分けに加えて、所得ごとにも税率を 設定できるようになり最終的には、9カテゴリーの税率設定が可能になる) ●税金以外の収入 ・住民のお願いを聞いたお礼 ・近隣都市公共サービス提供の見返り ・貿易による収入 ・カジノなどから得られる事業収入 ・債権(≒借金)...いわゆる起債 ・ある種のチャレンジ達成 <都市の主な支出項目> ・公共サービスの維持費 (行政職員の給与、電力、上水、下水、ゴミ処理、消防、警察、 教育、交通、公園管理など) ・各種施設の維持費 ・近隣都市からの公共サービス提供に対する謝礼 ・市債の返済 以下は青山が設置し運営してきた上記3つの自治体の主要データの詳細である。 ◆第一作「カーソン・ショア」 市長 青山貞一 都市像 小さくてもきらりと光る複雑地形のまち 人口 2014年6月6日夕方 2,0064人 (圧倒的大部分が都市の住民者) (住民の所得者が低所得者) 収支 589,161 シム貨幣単位 予算支出で多いのは教育費 すべての種類の起債なし、住民税などの率は10% 視察中の他都市の首長数 なし ◆第二作「ルイス・ランディング」 市長 青山貞一 人口 22632 人 都市像 小さくてもきらりと光る複雑地形の環境都市 (調査日の訪問者が352人いたことが示されている) 収支 668125 シム貨幣単位 (圧倒的大部分が都市の住民者) (住民の所得者が低所得者) 視察中の他都市の首長数 4首長 ◆第三作「クラーク・ランディング」 市長 青山貞一 都市像 小さくてもきらりと光る複雑地形の環境と観光のまち 人口 7199人 (大部分が都市の住民で低所得者であるが、一部、 中間所得層もある) 調査日の訪問者が352人いたことが示されている。 収支 773269 シム貨幣単位 予算支出で多いのは教育費 すべての種類の起債なし、住民税などの率は10% 視察中の他都市の首長数 なし視察中の他都市の首長数 なし <シムシティにおける評価指標> シムシティでの36に及ぶ社会、経済、環境指標の状態が常時、画面上でワンクリックで見られる。以下が36指標マップのアイコンである。ワンクリックで即座に3次元GIS(地理情報システム)上で状態が確認できる。 シムシティでは36に及ぶ社会、経済、環境指標のアイコン <全データマップの概要> 以下は、36指標の主なもの30指標についての概説である。 黄色く塗った指標が環境問題、エネルギー問題に関係した指標である。シムシティがいかにまちづくりの上で環境問題、エネルギー問題に関心を持っているかがよく分かる。 (1)人口マップ 在宅中のシム(市民)、買い物客、労働者、学生、観光客、ホームレスなどがどこに分布しているかを調べる。屋内にいる場合は建物が、屋外にいる場合は、人型や車型のオブジェクトが見える。観光客の移動範囲と、ホームレスの所在確認をする際に有用だ。全体で何人ぐらいいるか正確に知りたい場合は、データマップではなく人口パネルを使用する。 (2)満足度マップ 家屋にどれぐらい満足しているのかを知るためのマップ。満足度が低いと、建物がダウングレードしたり、廃墟になる可能性が高い。公園やランドマークを設置する時の参考になる。なお、公園を設置すると比較的高所得の人々が住居をかまえる。 (3)建物密度マップ 建物の密度と、密度アップグレードまでの進捗を見るマップ。建物密度は見ればわかるし、アップグレードまでの進捗は、ほぼ「≒満足度」なのであまり使いどころはない。 (4)住宅マップ 家屋や市民の満足度と所得を同時に見るマップ。 (5)商業マップ 家屋についての商業的な要素(商品、土産、お金)と、買い物客・観光客(どちらも商業施設でお金を消費する市民ら)の所在を見るマップ。 (6)工業マップ 工業施設から出る貨物とお金の状態を見るマップ。 (7)地価マップ 現状の地価と、その地価に影響を与えている建物の情報を見る。RCIの所得を調整する為に参照する場合が多い。 (8)工業技術マップ 家屋や人の、現状の技術レベルとテクノロジーアップグレードまでの進行状況を見る。 (9)電力マップ 電気が届いているか、届いていないかを見るマップ。電力が途切れるとポップアップが出るので、通常あまり使わない。 (10)地下水マップ 地下水量と汚染の有無を表示するマップ。濃色になるほど水量が多く、淡色になるほど少ない。 (11)下水マップ 家屋にどれぐらいの下水が貯まっているか、土壌がどれだけ汚染されているかを見るマップ。土壌汚染と地下水の汚染は違うので注意。 (12)廃棄物処理マップ ゴミがどこにあるかを見るマップだが、ゴミの収集は自動処理なので、あまり使いどころはないか。ゴミが中々回収されない場所の道路を整備する時に使うぐらい。ゴミ処理施設を設置した直後にこのレイヤーを開くと、ゴミが取り除かれていく様子がわかって面白い。 (13)火災危険度マップ 発災の危険度がわかる。消防署を建てる時の参考に。 (14)健康マップ 細菌の発生場所や、各種健康関係イベントがわかるマップ。病院を設置する際に使用する。病人・怪我人の救助は自動なので、それ以外のシチュエーションではほとんど使わない。ただし、死にそうなシムを観察したい時には重宝する(怪我人は救急車が来ないと、自力で病院に辿り着けず死ぬ)。 (15)犯罪マップ 警察力の範囲、犯罪発生率、過去の犯罪イベントを調べるのに仕様。警察を設置する時に使う。 (16)教育マップ 各建屋に住むシムの教育レベルを調べる。または、スクールバスの使用率を調べるのに使用。 (17)細菌マップ 細菌の発生状況と、発生原因を調べる。各公害マップのまとめ的なマップ。大気汚染で菌が発生するか! などという突っ込みは野暮。 (18)大気汚染マップ 大気汚染の発生源と、実際の汚染状況を調べるマップ。隣接都市からの流入もあるので、都市内に発生源がなくても汚染される場合がある。火力には石炭火力、石油火力発電があるのでその影響を見ることが出来る。 (19)土壌汚染マップ 土壌汚染の発生源と、実際の汚染状況を調べるマップ。下水マップの土壌汚染よりも高感度で表示される。 (20)風マップ 風向きと大体の風速を調べるマップ。全体の概略を調べるときに使用する。ただし、風力発電所をマップ上でドラッグした方が正確な風速がわかるので、あまり使い道はない。 (21)放射能マップ 「放射能に汚染された建物を表示するマップ。原子力発電所がメルトダウンした時ぐらいしか使わない。科学的に正確に記述するなら「放射能に汚染された建物」ではなくて「放射性物質に汚染された建物」。 (22)バスマップ バスの所在と、バス待ちの人を表示するマップ。使いどころ不明。 (23)路面電車マップ 路面電車の所在と路面電車待ちの人を表示するマップ。 (24)列車マップ 列車の所在と、列車待ちの人を表示するマップ。 ( 25)船舶マップ 船舶の所在と、船舶待ちの人を表示するマップ。 (26)石炭マップ 石炭の埋蔵場所などを確認できる。都市内の総量は、地域マップから都市情報を見た方が正確。 (27)鉱石マップ 鉱石の埋蔵場所などを確認できる。都市内の総量は、地域マップから都市情報を見た方が正確。 (28)石油マップ 石炭の埋蔵場所などを確認できる。都市内の総量は、地域マップから都市情報を見た方が正確。 (29)貿易マップ 地上に出ている資源の所在が確認できる。使いどころがわからないマップNo.1。 (30)観光マップ 観光関連の情報が見られるマップ。 <データマップの実例> 以下、クラーク・ランディング自治体を例にいくつかの実例を示そう。 ●人口マップ 以下は人口マップである。住民の属性別に緑(在宅中住民)、青(買い物客)、水(労働者)、紫(学生)、黄(観光客)、オレンジ色(ホームレス)として棒グラフが3次元地図上にたつ。 人口マップ凡例 ●地下水マップ 下は地下水マップである。地下水マップでは、現在の地下水の汚染状況が、3次元地理情報システム上に色で示される。 地下水マップ凡例 地下水マップ ●放射能マップ 下は放射能汚染マップである。シムシティでは原子力発電所を電力供給とすることが可能である。放射能では、現在の地域の放射能汚染状況が、3次元地理情報システム上できれい〜激しく汚染されているの間をグラデーションで示している。青山が市長の3つのまちは、すべて更新可能エネルギーをつかっているのでまったく汚染はないが、少し離れたまちの韓国人(韓国語を使っている)の町長が原発を立地していたので、それが事故を起こすと風向きにより汚染される可能性がある。 放射能マップ凡例 放射能マップ ●教育マップ 下は教育マップである。シムシティでは小学校、中学校、高等学校、コミュニティカレッジ、大学、さらに研究学園施設を設置できる。市町村では、せいぜいコミュニティカレッジまでだが、マップでは教育を受けていない、入学した、入学していない、教育を受けたなどが3次元地図上に棒グラフでしめされる。下図のクラーク・ランディングで棒グラフが立っているところは教育関連施設である。 教育マップ凡例 教育マップ つづく |