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<速報>
航空燃料サーチャージ
新価格



青山貞一

掲載月日:2008年7月9日


 6月20日掲載の拙稿「急騰する航空運賃の燃料サーチャージ!」で2008年7月より、航空各社が新たな航空運賃の燃料サーチャージを発表すると述べた。

 実際に新料金が適用されるのは、航空会社によって若干異なるが7月14日以降に申し込んだ分からとなる。

 以下に主な航空会社の新燃料サーチャージの額を速報として示す。

 航空会社、距離などによって増加額がことなるが、おおむね従来の燃料サーチャージに比べ40%から80%高くなることが分かった

 以下の新価格はいずれも片道の料金であるから、往復では以下の2倍の燃料サーチャージがかかることになる。

 たとえばデルタ航空で成田-ロスを往復する場合、従来の燃料サーチャージ額だと33,000円であったが、7月15日発券分からはそれが55,000円となる。成田-ロス間には超廉価の往復航空券(たとえば20,000円)の航空券が売り出されているが、新価格では、諸税を含め実際の支払額は、84,000円となる。

 新料金から航空券を発券する代理店は、従来のように航空券のみの料金(上の例では20,000円)を表示するのではなく、総額(上の例では84,000円)を表示することを義務づけられることになる。2万円の航空運賃が実際には8万4千円となるのだが、この問題は従来からあったわけで、消費者からの相当クレームがあったようだ。

 周知のようにWTIの原油先物価格は現在1バレル当たり145ドルまで急騰しているが、今後さらに1バレル当たり200ドル超まで急騰する可能性がある。したがって以下はあくまで当面の新価格であり、秋口からさらに急騰する可能性もある。

 また複数の航空会社が行っていない路線では、燃料サーチャージのつり上げが行われる可能性もある。逆にもともと採算が合いにくかった路線では就航の中止が起こる可能性もある。

 いずれにせよ今後、燃料価格がさらに高騰すると、世界規模で観光など不要不急の国際航空旅客数が大幅に減少する可能性もあり、もともと経営が脆弱で過当競争を繰り返してきた旅行代理店の多くが廃業に追い込まれる可能性も否定できない。

 なお、以下のリストにはないが、日本航空、全日空など日本の航空会社の燃料サーチャージはもともと世界一高額であったこともあり、今後、従来にも増して経営努力を行わないと外国系航空会社料金との差が大きくなることが予想され、一段と厳しい経営を迫られる可能性がある。

<アメリカ系>
●デルタ航空 7/15発券分より
太平洋線                            \16,500→\27,500

●ユナイテッド航空 8/1〜発券分より
日本-アメリカ本土(メキシコ・カリブ)※カナダ除く    \20,000→\28,000
日本-ハワイ                          \14,000→\20,000
日本-バンコク・シンガポール                \14,000→\17,000
日本-ソウル                           \2,500→\3,500

<アジア系>
●大韓航空 7/15発券分より
日本-韓国                            \2,500→\3,500
福岡-釜山                            \1,000→\1,500
日本-中国・香港・台湾・モンゴル              \6,000→\8,500
日本-ベトナム・フィリピン・グアム・カンボジア       \8,000→\10,500
日本-その他アジア                      \13,000→\17,000
日本-アメリカ・ヨーロッパ・オセアニアetc         \20,000→\24,000
日本-南米                           \23,000→\28,000

●シンガポール航空 7/30発券分より
日本-シンガポール・バンコク・ロサンゼルス        \8,060→\11,820
シンガポール以遠東南アジア                 \2,800→\4,300

●タイ国際航空 7/21発券分より
日本-バンコク                          \5,910→\10,750
日本-マニラ                            \4,840→\86,00

<ヨーロッパ系>
ブリティッシュエアウェイズ 7/15発券分より
日本-ロンドン                         \18,000→\26,000

ルフトハンザ航空 7/16発券分より
日本-ドイツ                          \15,040→\20,410

スイスエアラインズ 7/15発券分より
日本-スイス                          \14,380→\20,200
ヨーロッパ国内                          \2,150→\2,690

以上


 以下は6月20日に執筆したコラム。 

 これは昨年前半から気になっていたことだが、懸念が現実のものとなってきた。航空運賃に占めるいわゆる燃料サーチャージだ。

 数年前まで、とくに燃料サーチャージは欧州線、北米線ともにそれほど目立っていなかったが、昨年秋頃から顕著になってきた。たとえばこの春、私はイタリアのローマに2月に行き、帰国後、米国のサンフランシスコに3月に行った。

 前者の航空運賃はドイツのルフトハンザ航空の格安便で47,800円、後者の運賃は米国のユナイテッド航空の格安便で  円だった。

 しかし、これらの料金は空港利用料(ジェット機離発着料)及び超過燃料費(サーチャージ料)を含まない料金である。

 実際の料金は、次のようになる。

1.成田−ローマ(イタリア)往復の場合
  (2月、独ルフトハンザ、代理店はHIS)


 商品名    単価    数量   小計     備考
----------------------------------------------------------
 航空券   47,800    1    
 TAX     33,720    1    航空保険料・燃料サーチャージ等
 TAX      7,130    1    ベンチ出入国税
 TAX      2,040    1    成田空港施設利用料
--------------------------------------------------------
 合計     90,690円

 旅行代理店の広告に掲載されていた航空運賃は、確かに47,800円であったが、最終的に請求されたのは90,690円である。旅行代理店はHISである。

 このうち現地出入国税等は7,130円、成田空港施設利用料が2,040円で残りの33,720円が航空保険料・燃料サーチャージ等となっている。

 結局、当初の47,800円の2倍近くの航空運賃となっている!!

 ルフトハンザの成田−ローマ往復エコノミー航空券が47,800円で手に入ったと喜んでいたら、その実、10万円だったなんてことになるのである。


2.成田−サンフランシスコ(米国)往復の場合
  (2008年3月、米ユナイテッド、代理店はオールウェーズ)

 では米国系はどうか?

 下は旅行代理店オールウェーズから来た領収書である。

 商品名    単価    数量   小計     備考
----------------------------------------------------------
 航空券   46,000    1    
 TAX       360     1    米国民間航空保安税
 TAX      2,040    1     成田空港施設利用料
 TAX      6,500    1    ベンチ出入国税
 TAX     34,000    1    燃料特別付加運賃
----------------------------------------------------------
 合計     88,890円

 旅行代理店の広告に掲載されていた航空運賃は、確かに46,000円であったが、最終的に請求されたのは88,890円である。旅行代理店は東京都渋谷区恵比寿にあるオールウェーズである。

 このうち現地民間航空保安税が360円、現地出入国税等は6,500円、成田空港施設利用料が2,040円で残りの34,000円が航空保険料・燃料サーチャージ等となっている。

 結局、ローマ同様、当初の46,000円の2倍近くの航空運賃となっている!!


●今年の7月以降、燃料サーチャージは2倍に!

 上記はいずれも、今年(2008年)春までの料金だが、これが燃料費急騰後の現在以降、とくに値上がりが予告されている7月以降だとどうなるのだろうか? 

 ひょっとすると以下の日刊ゲンダイの記事にあるように、燃料サーチャージが従来の2倍近くになる可能性がある。となると、仮に航空運賃を同額とした場合、上記の成田ーローマ往復、成田−サンフランシスコ往復ともに、12〜13万円(従来は9万円前後)となる。

 旅行代理店の広告が4〜5万円であっても、実際は12〜13万円請求され、「エー!!」と言うことになりかねない。

 過当競争が激しい航空運賃の代理店では、従来、各種税、利用料、燃料サーチャージを含めない単価だけを広告に掲載している場合が圧倒的である。

 なお、従来の航空会社別片道の燃料サーチャージは以下で確認できる。ご自身が購入された航空運賃の内訳と対比して欲しい。万一、便乗値上げや燃料サーチャージを余計徴収されている場合もないとは言えない。代理店に文句を言おう!

 国土交通省は今後、サーチャージなどを含めた価格を表示するよう代理店に通達するとのことだが、予約、購入前に必ずご自身で確かめたい!

 ●従来の航空会社別片道の燃料サーチャージ
 http://fs.tour.ne.jp/information/oil_charge.html

 私は大学で学生を連れカナダのノバスコシア州ハリファックス(日本から北半球で最も遠い都市のひとつ)に、ゼロウエイスト政策(循環型社会構築)の現地体験をしてきた。

 この体験学習は、毎年8月下旬から9月上旬に行ってきたが、数年前までは航空運賃は実費で11万円前後だった。

 それが昨年から航空運賃だけで14万円前後に跳ね上がり、今後、2008年7月以降、17万円前後と急騰することが予想される。ホテルなどの滞在費、現地のバス調達もある。現地ではチャーターしたバスを使い1週間で500km以上走行していたが、これも燃料費が高騰している。

 その結果、到底、学生では負担しきれない額となり、断念せざるを得ない。教育の場への思わぬ影響である!

燃料サーチャージはどこまで上がるか
成田―NY往復5.6万円、成田―北京往復1.7万円
日刊ゲンダイ 2008年6月16日 掲載

 もう気軽に海外旅行に出られない。航空運賃がべらぼうに高くなっているのだ。
 通常の運賃とは別に支払う燃料サーチャージが、7月からまた値上がりする。成田―NYで往復5万6000円、成田―北京で往復1万7000円が必要になる。
 ことに分かりにくいのが旅行会社のパッケージツアーだ。一部の旅行会社が燃料サーチャージ込みの料金を採用し始めたが、多くは燃料サーチャージを含まない金額を表示している。

 10万円ちょっとで済むと思っていたNYへのパック旅行なのに、燃料サーチャージが5万6000円かかり、結局、16万円を超える出費。国土交通省は「燃料サーチャージ込み料金」を表示するよう旅行各社に通達する方針だ。原油高はとどまるところを知らない。当然、燃料サーチャージもグングンと上がっていく。

「航空燃料は、シンガポールケロシン市況に連動しています。3カ月の平均価格がいくらだったかで、燃料サーチャージも決まってきます」(JAL関係者)

 7月から、最も高い日本―ブラジルは往復6万4000円。ハワイで4万円、韓国が7000円。もし原油が200ドル突破なんて事態になると、ブラジルは10万円を超え、NY9万6000円、ハワイ7万円、韓国でも1万2000円あたり(現状の適用額から試算)。

 こうなると旅行代金そのものより、燃料サーチャージが高くなる地域も続々だ。家族4人でハワイに行ったら28万円も余計にかかる計算。やってられない。