パソコンの定番修理代が 購入価格の1/3以上!? 青山貞一 2007年12月26日 |
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今朝(2007/12/26)、7:37からのFM放送、J−WAVEでガス化溶融炉の補修費が保証期限後大幅に上昇したニュースに関連し、生放送でコメントしました。この番組はベルリッツがスポンサーで番組名はBerlitz Morning Eye、今日のテーマは Warranty Period だった。 実はこの種の問題は、身近な話しでもたくさんある。 パソコンが製造会社から消費者に直接渡る、すなわちBTO(Build to Order)となることで激安となっていることはご存じの通りだ。 私が大学の研究室で3次元の流体計算用に7台使っているデルのデスクトップパソコンは、CPUの駆動速度(浮動小数点倍精度実数演算速度350Mflops相当)、主記憶(メインメモリー)容量が1GB、ハードディスク容量が80GB、そして19インチの液晶ディスプレー付きで10万円を切っていた。今では何とこの種のパソコンで3次元流体の数値計算ができる。 ※青山貞一・鷹取敦:究極のパソコン活用〜3次元流体計算の可能性と課題〜、 メディアセンタージャーナル、2007年4月、No.8,武蔵工業大学環境情報学部 4年程前に妻用に購入したヒューレットパッカード/コンパックのノートパソコンもかなりの仕様で10万円だった。 そして現在、デルが小規模会社(ソーホー)向けに売り出している最新のノートパソコンは、CPUの駆動速度(浮動小数点倍精度実数演算速度350Mflops相当)、主記憶(メインメモリー)容量が1GB、ハードディスク容量が80GBで実に6万円以下であり、ディスプレーなしのデスクトップパソコンはほぼ上記の同じ仕様で3万円台である。 一昔前なら、CPUの駆動速度(浮動小数点倍精度実数演算速度350Mflops相当)、主記憶(メインメモリー)容量1GB、ハードディスク容量80GBなら、いずれも20万円前後していたことを考えるとすさまじい。 だが、高性能のパソコンがBTOで激安となったのは大歓迎だが、大きな問題がある。それは故障した場合の修理費、補修費である。 たまたま上記のヒューレットパッカード(コンパック)社のビジネス用ノートパソコンが、それほど使っていないのに、起動しなくなった。おそらくWINDOWS XPを立ち上げるドライバーソフトの一部が壊れたか、ハードディスクが破損したのだろう。 前者であれば、リカバリーソフトを入れ直せばよい。後者だとすると、今までのソフトやデータが全滅することを覚悟すれば、専門通販店から2.5インチのハードディスクドライブを購入し、壊れたものと取り替え、XPを入れ直せばよい。アプリケーションソフトも入れ直すので面倒だがこれは仕方ない。 ちなみにもともと入っていたハードディスクは30GBだったので、取り替えるなら80GBは欲しいと思い、鷹取さんに聞いたら、ネットで12,000円程度で売っていることがわかった。おそらくメーカーならその1/2程度で仕入れているはずである。 とりあえず、ヒューレットパッカード社のHPノートブック製品の概算修理料金のご案内を見てみた。もちろん、保証期間以降のものだ。以下が修理内容、交換部品に対応した概算修理料金である。 おどろくことなかれハードディスクドライブの交換は40,000円〜60,000円前後となっている。そもそも新品をヒューレットパッカード社から税込み10万円で買っているのに、たかがハードディスクドライブの交換だけで40,000円〜60,000円前後とは恐れ入った。 ついでに他をみても半端じゃない部品交換+修理費であり、ただただ驚くばかりである。 ヒューレットパッカード社のビジネスノートパソコンの概算の部品交換+修理費
出典:http://h50222.www5.hp.com/support/DU316A/warranty/74384.html いくら通常の保証期間(通常は1年)を過ぎたからと言って、上記の修理で新品購入価格の半分近くとなるのは、いかがなものであろうか? 5年使い続けたあげくのことなら、新製品を購入する手もあるが、 通常の保証期間で購入後、1年数ヶ月で故障した場合、上記の額を請求されたら消費者は頭を抱えるに違いない。 分かったことは、パソコンも大量生産、大量消費、大量廃棄の極みの製品であって、メーカーは修理するより新品を購入した方がリーズナブルですよと、消費者に言っていることになる。 もちろん、BTOタイプのパソコンの修理に対応策がないわけではない。ひとつは、購入時に最低3年間の保証に入ることである。その場合でも、消耗品の交換やグレードアップの場合には上の表ほどではないとしても「実費」をとられるだろう。 以下はデル社の場合の修理サービス、パーツ保証の例
もうひとつの対策は、信頼できるメーカー以外の修理屋に修理を依頼することだ。最低でも半額にはなる。 もっとも故障として多く、かつ数年に一度代えなければならない、すなわち消耗品でもあるハードディスクドライブ(HDD)については、自分で通販やアキバで部品を購入し、取り替えるか、パソコン・オタクの友人に修理を頼むことである。 ただし、新製品を購入しても3年を超えると取り替えられる部品がなくなったり、あっても高額となっていることがある。とくに生産中止だけでなく、市場にも在庫がない場合はどうしようもなくなる。類似品で対応できる場合はよいか、それすらNGとなると真っ青である。 いずれにしてもこの環境優先時代、廃棄物問題で3R,5Rが声高に叫ばれる昨今、なんでこんなことになったのだろうか? いくら安いと言っても粗悪品を売りつけておき、修理より新品購入では困るのだ! もっぱら、英会話でもNOVAの不祥事を見るにつけ、Warranty Period どころかそれが反故にされている。今の時代、すべて安心できない。 |