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民主党は2009年9月に国民に示した政権マニフェストを政権交代後、とりわけ鳩山由起夫首相、小沢一郎幹事長が辞任してこの方、ことごとく公約を反故にしてきた。 「国民の生活が第一」という一大キャッチフレーズのもと、国民に堂々と掲げた公約を次々に反故、破棄し、およそ国民が選択した民主党政権とは似ても似つかないトンデモ政権となっている! このざまは何なんだろうか? 国民はこんな「詐欺師集団」を許せるわけがない! しかも、その民主党政権は、公約をことごとく反故にするだけにとどまらず、公約になかった消費税増税など東日本大震災・津波そして原発巨大事故後に疲弊しきった国民や中小事業者などの社会経済的弱者に対し、ことさら社会経済的な負担を強いる政策、施策を強行しようとしている。 2010年の初夏、普天間基地代替施設の辺野古移転問題でつまずいた鳩山政権を、このときとばかり足蹴し、ちゃっかり破廉恥にも首相に就任したのは菅直人だった。これほど破廉恥な政治家はそういないだろう。 普天間代替施設の名護市辺野古移転を県外、海外へと行ってきた民主党の中枢の一人が、県外、海外移転が半年ちょっとでうまく行かないからと言って、日米合意に基づき辺野古に移設すると明言し、民主党代表となり首相につくこの人間の気が知れない! いうまでもなく、民主党自身の最大の課題は、参議院で過半数を取れなかったことだ。 菅直人は自分が副総理時代から財務官僚らに洗脳されていた増税を参議院選挙の公約に掲げた。そしてあり得ない「消費税増税による雇用確保」という選挙戦を展開したのだ。当然のことながら結果は、選挙前より大幅に参議院の議員数を減らしてしまった。いくら衆院で過半数を大きく超える議席をとっても、参議院で過半数をとっていなければ、立法、予算、政策で大変なことになる。これは小沢一郎議員がさんざん党員に話していたことだ。 私は菅直人ほどアホでKYの政治家、それも首相は見たことがない。自民党にも多くのアホでKYの政治家がいたが、それを上回るのが菅直人だ。 当然のことながら、民主党が政権交代時に掲げた公約を実現するためには、まさに政治主導のもと、徹底した行政改革、独立行政法人はじめ省庁の外郭団体の整理縮小、公務員給与の大幅削減などが不可欠だ。 そのためにも、是が非でも参議院で過半数が必要だったのに、勝手にこともあろうか増税を掲げ選挙に敗退したのだ! その後の民主党は、見るも無惨な政治、政策的敗退につぐ敗退を重ねることになる。一方、自民党の民主党攻撃は、国会中継を聞いている私たちが呆れるほど激しく、えげつないものとなっていった。とりわけ参議院予算委員会での自民党議員の攻撃は聞くに堪えないものであった。 政権交代に酔いしれていた民主党議員の多くは、参議院選挙での敗退がもたらす帰結をまざまざと見せつけられたに違いない。 その後、東日本大震災、津波、原発事故という歴史的大惨事が起きた。 そして、ただただ周辺を怒鳴り散らし、思いつきであれこれ「個人的思い」を述べ自壊した菅直人首相の後誕生したのが野田政権だ。 もとより、野田政権は松下政経塾生政権と言えるほど、政権交代時のスローガン、マニフェストからほど遠い、第二自民党的政権となった。 松下政経塾出身の政治家の多くは、選挙区の都合で自民党から出馬できないことで、民主党から出馬している。前原、野田といえば、最終的に永田衆議院議員を自殺に追い込んだいわば上司ではないか。その反省もないまま、政治家を続けていること自体、おこがましい。 野田首相も菅首相同様、財務大臣経験中から、なぜか民主党本来の政権公約をすべて忘れ去り、増税路線、TPP、防衛増強、武器輸出解除など国民が頼みもしない路線をひた走っている。 しかも、消費税増税関連法が民主党単独で参議院を通過させることが不可能と見るや自民党にすり寄った。こんなこと2009年秋に民主党に投票した国民は誰一人頼んでいないのだ。 2012年3月、野田首相、岡田副総理は自民党の谷垣総裁に大連立を仕掛け一蹴されている。自民党がヨタヨタの民主党と増税政策だけで一緒になっても、もともと自民党自身も同じ穴の狢、国民から大きな反発を買うからである。次回総選挙をやれば、民主党が間違いなく大幅に議席を減らすことが自明である。 もちろん、1000兆円になんなんとする日本国の累積債務を放置して良いわけはない。また、いわゆるプライマリーバランスを達成することも重要だ。 だが、日本はEUのギリシア、イタリア、スペインなどの場合と状況は全く異なることは専門家ならずとも自明である。ことさらEUなどを引き合いに出し、危機を煽り、しかもその穴埋めを消費税でと言う財務官僚的発想を真に受けている松下政経塾系政治家は、さっさと民主党を出て自民党に合流しろと言いたい。 現下の日本の経済社会状況を考慮すれば、今なぜ、ここで公約にもない消費税など増税路線を無理矢理押し通そうとするのか、到底理解に苦しむ! .... ところで、民主党が国民の期待の風を受け2009年秋、政権交代を実現したのは、半世紀以上に及ぶ自民党の対米追随や土建利権の古い体質の政治に反旗を翻したからだ。 いうまでもなく、元民主党代表で政権交代の最大の立役者でもある小沢一郎氏は単に選挙に精通しているだけではない。 その背後には、本来の意味での政治主導、すなわち立法府が立法を通じて行政府をコントロールし、行政や官僚の暴走を押さえることをを標榜してきた小沢一郎元代表の存在があったからに他ならない。 しかし、日本の官僚は、以下に示す田中宇氏の論考にもあるように、世界に類例を見ない官僚独裁体制を構築、増殖し、その体制を壊そうとする小沢一郎などの政治勢力に対しては、あらゆる手段で潰しにかかり今日に至っている。
ところでその小沢一郎氏は、2012年3月15日、ロイターのインタビューに答え次のように述べている。以下はその概要である。
小沢一郎氏は、ロイターのインタビューのなかで、消費税、政局問題以外に、実は重要な論点を述べている。以下だ。 小沢一郎氏談; 「中央集権体制から地方分権への抜本改革は全くやっていない。衆議院の定数削減は枝葉末節な話だ。定数を減らしただけで、国民が幸せになるのなら、国会議員は皆、辞めたほうがよい。身を切ることは大事なことだ。それがいけないと言っているわけではない。しかし、それは政治の本質ではない。チェンジ、WE MUST CHANGEこそ、最重要課題だ」 さすが日本の思考停止のアホマスコミと違い、海外のメディアは肝心なことを聞き出す! もっぱら、日本の大メディアは東京地検特捜部の手先となって、小沢一郎氏を座敷牢に蟄居させている張本人と言える! 野田政権は消費税法案を通すために、衆院の定数削減、公務員給与の削減などを付け足しに言い出しているが、民主党が本来やるべき重要な政治制度改革は、いうまでもなく日本国を中央集権体制から地方分権体制へ変革することだ。 日本をドイツ、カナダ、アメリカのような地方分権の連邦国家に抜本的に改革することである。 ロイターの記者は、冒頭、「小泉首相以降ほぼ毎年首相が交代して野田首相で6人目、民主党政権で3人目。政策は進まず、政治が機能していない。根本原因と解決策は」と述べているように、日本の国は、まさに政治が機能不全となっているのである。 民主党政権のもとでも、土建利権(八ッ場ダム、新幹線、外環高速道路事業など)、原発利権(再稼働、除染事業、がれき広域処理、復旧土木工事など)が全国各地で無節操に跋扈している。ガバナンスなき民主党のなせる技である。 東北3県の津波被災地では今なお、多くの人々が寒さや寂しさ、苦しさに耐えながら職を探し、生きながらえようとしているにも拘わらず元請けのゼネコンや関連業者はウハウハとなっている。 ...... 私の友人で現在、政策研究大学院大学の教授をしている福井秀夫氏は、かつて私にこういったことがある。 「中央省庁の官僚が霞ヶ関で何をしているかと言えば、少なくても6割が都道府県や市町村に地方交付税交付金や補助金に関わるさまつな手続に関わっている。もし、地方分権がまともに機能すれば、これら中央省庁やその出先で働く官僚の60%は不要となる」と。さらに「残り4割についても、立法府がしっかりと本来の立法、政省令改正などをすれば、中央省庁のキャリアー官僚はごく一部でよく、他の業務の多くは、東大法学部などを出た役人がする必要がなくなる」と。 至言である。地方分権により税源、財源、権限の大幅地方移譲とすることで、箸の上げ下げまで、中央の官僚が地方に指図する現状ががらっと変わる。 そこで重要なことは、「競争的分権」だろう! 地方分権だけでは思考停止の小さな中央政府がたくさんできるだけとなる可能性があるからだ。地方政府が相互に競い合うこと、すなわち競争的分権こそが不可欠なのである。 ところで、福井秀夫氏自身、東大法学部を優秀な成績で卒業し、国家公務員第一種に合格し、建設省(当時)に勤務し、その後、大臣官房会計課補佐まで務めた。しかし、霞ヶ関の内情、実態を現場でつぶさに見る中で、日本の凋落の根源が官僚機構にあることに気づき、霞ヶ関を飛び出た。 上記の福井秀夫氏の発言に付け加えれば、今の日本は、成長途上ではなく、間違いなく成熟期にある。しかるに、国の省庁や出先がしゃしゃり出る場面は本来、そう多くないはずだ。もちろん、地方分権、連邦国家になった場合でも、外交、防衛、金融はじめ連邦政府がすべきことは多々あるはずだ。 しかし、対米盲従の日本の中央官僚を見ていると、地方分権だけでなく、中央政府の専権事項についても、ガラガラポンが不可欠なようだ。 時、大阪で大きな地方主権の動きが生まれている。このうねりを見過ごしたり軽視すると、今度こそ、民主党、自民党とも終焉を迎えることになるだろう。 |