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水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんです。小出さん、こんばんは」 小出「こんばんは」 水野「よろしくお願いします」 小出「よろしくお願いします」 水野「そして東京には近藤さんですー」 近藤「はい、よろしくどうもー」 小出「はい。近藤さん。お久しぶりです。よろしくお願いします」 近藤「まあ、恐れいりまーす。どうもー」 水野「えー、小出さんはアメリカに行ってらしたというふうに聞いております」 小出「はい」 水野「え、3.11以降、データのある場所にいておきたいんだとおっしゃっておりましたけど」 小出「はい」 水野「1年少し経って、やっとアメリカにまあ招かれていたのを、いけるようになられたんだと思うんですが」 小出「はい」 水野「あちらで、まあいろんなかたともお会いになったでしょう、1番、印象に強く残ったのはどんなことでしたですか」 小出「(笑い)、えー、私は米国という国が大嫌いなんです」 水野「ええ」 小出「で、行きたくなかったのですけれども」 水野「はい」 小出「まあ、あの、米国に行ってみても、やはりそこに生きてる人は、みんな、おんなじ人間だと」 水野「うん」 小出「朝起きて、ご飯を食べて、子供を育てて、」 水野「はい」 小出「みんな苦労をしながら生きてる人が、そこにいるということを、改めて、思いました、はい」 水野「うん…この日本の放射能については」 小出「はい」 水野「あちらの方々どんな見方をして、いらっしゃいますか」 小出「はい。えー、それはですね。(ため息)事故が起きてから、日本の政府、マスコミが、様々な情報を流してきたわけですけれども。その情報が、世界で流されている情報と乖離があった」 水野「ほお!」 小出「と思います。で、世界…の方々は、日本政府が流している情報を、どんどん信じら…信じることができなくなってきたと、いうことになっていて。いったいホントはどうなのかということで」 水野「ああ」 小出「大変困っておられたんだなと、いうことを改めて思いました」 水野「はあ…。アメリカのほうが、より、実態に近いものを、伝えていたんです…か?」 小出「そうですね。え…事故が進行していた時に」 水野「はい」 小出「ま、人類が初めて経験するような事故だった、わけで。え…どんなふうにこの事故が進展するか、わからない。わからないまま、例えば原子炉建屋が爆発していくというようなことがあったわけで。たいへんみんな不安に思っていた、のですね。え…その時に日本の政府は、ただただ大丈夫だ」 水野「ええ」 小出「大したことがないというような情報を流し続けていたわけですが。もちろん、そんなことはないわけで。みんな世界中が不安に思っていた。そして米国にしても、50マイル以内の米国人は全部逃げろという指示を出していた」 水野「うん」 小出「わけで。え…そういう世界での認識と日本での情報の流れ方が、違っていたと、いうことは、…大変まあ皆さんに対して重荷を負わせたんだと思います」 水野「はあ。シカゴでも、講演なさったと聞いてますけれども」 小出「(笑)はい」 水野「このシカゴという街は、原子力にとっては歴史的な場所なんですってね」 小出「そうです。え…米国がナチスに対抗して原爆を作らなければいけないと決意を、しまして。その原爆を作るためには原子炉を作らなければいけないと、まず思いました」 水野「はい」 小出「みなさんは、日本の皆さんは、原子炉というと原子力発電と、」 水野「ええ」 小出「思うかもしれませんが。もともと原子炉というのは、原爆の材料にするプルトニウムをどうやって作ることができるかということで作られた、ものなのです」 水野「ああ、もともと電力を作るために考えだされたものではない」 小出「はい」 水野「はあ、兵器のための、プルトニウムを生成するための原子炉」 小出「そうでした。はい。で…その人類初の原子炉が動いたのが、シカゴ大学、のフットボール場があったのですが。」 水野「ええ」 小出「その観客席の下にちょっとした巨大な空間がありまして。そこで、初めて原子炉が動き出したという、そういう歴史があった、街です」 水野「はあ……。じゃあそこで取り出されたプルトニウムが、結局は原爆…として使われたことになるわけですよね」 小出「はい。ただあのシカゴ大学でできた原子炉は、いわゆるおもちゃのような原子炉で。ようするに原子炉というものができるかどうかという、そのことすらわからなかった、わけで。ようやく原子炉が動くということがそこで分かった」 水野「う〜ん」 小出「そこであの…後はプルトニウムを作るための原子炉は、ワシントン州のハンフォードというところに、巨大な原子炉を、作って、初めて、取り出すことができました」 ▼ハンフォード・サイト - Wikipedia 水野「はぁああ。原子力がどういう形でこの世に存在し始めたかっていう歴史を見ると、それは戦争だったってことですね」 小出「そうです。それで私にとってはまあ自分が歩み始めた原点なわけですから、一度は行ってみたいと思っていました。」 水野「はあ。そこで、どんなメッセージを送られたんですか」 小出「はい。まああの日本というこの国が、いま福島原子力発電所の事故に直面しているわけですが。それがどういう内容なのかということと、日本というこの国が、どのように原子力に関わってきてしまったか、っていうことを聞いていただいて。やはり、原子力は放棄すべきだという話を聞いて頂きました。」 水野「さて、帰ってこられたら大阪で、今、注目されている問題の1つがですね」 小出「はい」 水野「瓦礫の処理です」 小出「はい」 水野「これにつきまして、大阪府と大阪市が、え…震災瓦礫をですね、此花区にある人工の島であります夢島で、焼却した灰を埋め立てて処分すると、いう方針を固めた模様です。」 小出「はい」 水野「この、焼却した灰を埋め立てるということについて、どうお感じですか」 小出「やってはいけません」 水野「ふうむ」 小出「はい」 水野「これは、小出さんはやってはいけないとおっしゃって、いた、んですが」 小出「はい」 水野「でももう、環境省と最終調整に入った模様なんです」 小出「はい」 水野「で、具体的な方法を環境省がいくつか提示しております」 小出「はい」 水野「え…1つずつ、どういう意味なのか教えていただきたいんですが」 小出「はい」 水野「まず1つが、焼却灰を処分地に『直接』埋め立てる」 小出「はい」 水野「これはどうですか」 小出「いけません」 水野「……まったくいけません?」 小出「はい!」 水野「はい、では…『セメントで固めた灰』を埋め立てるこれはどうですか」 小出「いけません」 水野「…なんでセメントで固めてもダメなんですか」 小出「放射性物質というのは、発生した現場にとことん閉じ込めるということが原則であって。もともと福島のもの、福島あるいは汚染地のもの、を大阪に持ってくるというそのこと自身がいけないのです、やっては。はい。で、やってはいけないし、出てきたその、焼却灰というものは放射性物質を濃縮していますので、それをそれぞれのとこで受け入れるなんてことを、引き受けてはいけないのです。…元のあった場所に戻して一括して責任をもってお守りをするということをやらなければいけないのです」 水野「ええ」 小出「どんな形でも受け入れてはいけません」 水野「灰は受け入れてはいけない」 小出「はい」 水野「どんな形でも駄目だとおっしゃいましたが」 小出「はい」 水野「今の案でですね、セメントで固めるのはコスト的に高いから、1番有力だと見られているのは、『ゼオライトを使う』案だそうです」 小出「ふふふ。はい」 水野「これは、放射性セシウムを吸着させる…」 小出「はい」 水野「ゼオライトをまず敷いて、」 小出「はい」 水野「その上に、灰を埋め立てるという案です」 小出「はい。あの、何がしかは効果がもちろんあります。ゼオライトにはセシウムが吸着するという性質がありますので、何がしかは効果があるし、セメントに固めてしまえば、セメントが崩れ落ちるまでは、何がしかの効果が、あります。しかし、本当はだからそんなことはやってはいけない。原理・原則ということはやはり今、考えていただきたいと私は思うし。本来であれば…それぞれの場所に焼却施設を作って、そこで焼くということを、政府にやらせなければいけないのです。」 水野「ええ」 小出「なんでそれをやらせないままに、それぞれに自治体が安易に引き受けてしまうのか、私にはまずそれがわかりません」 水野「ふうーん。確かですね、2月頃でしたか、大阪維新の会の方たちが、小出さんのところに大勢で出向かわれて、」 小出「そうです」 水野「この瓦礫の処理の話、聞かれたんじゃないんですか?」 小出「そうです。あの、私はその時にも、今聞いていただいたように、原則は現地でちゃんと処理をして、焼却施設を作ってそこで焼くことだと私は聞いて頂きましたし。でも、今のような無策な政府がある限りは、仕方がないから全国の施設で引き受ける」 ※上記の黄色の部分だが、 いくら無策な政府であっても、全国の基礎自治体の施設で 焼却を引き受けてはならない。そもそも現在、宮城県、岩 手県で処理する体制が整備されつつある。 小出さんは放射性物質処理の原則同様、廃棄物処理につい ても地方自治、民主主義の原理原則があることを知らなけ ればならない。 青山貞一 水野「焼くことについてはですね」 小出「はい。」 水野「引き受けるとしても」 小出「はい。焼く可能性はあると言いましたし、焼く場合も、ちゃんと、環境に放射性物質をばらまかないような、フィルターをきちっと付けなければいけない。そして出てきた焼却灰は、現地に返さなければいけないと、いって、維新の会の人たちにもう、本当にあの、何度も何度も言ったつもりです。」 水野「皆さん反応いかがでした?」 小出「ええ、まあ、私がいた…場所ではみなさん聞いて下さっていた、ようでしたけれども。え…今のような結末になるのだとすれば、なん、何を聞いて下さっていたのかなと、思います」 水野「近藤さ〜ん」 近藤「はい」 水野「いかがですか」 近藤「うーん。それは…先生、が言っている意見が通らなかったというのは、大阪の、維新の会の、人たちをコントロールするもっと偉い人がそういう考え方だっちゅうことなんですかねえ」 小出「多分そうだと思います」 近藤「うーーーん……。」 水野「そうですか。もう、ゼオライトで行く分かは効果はあるけれども。まあ、抜本的なところの考え方が方向性が違うというふうな、小出さんのお考えですよね」 小出「そうです。」 水野「うーん。このまま行ってしまうんでしょうか。大阪府と市は国と調整をしているようです。どうもありがとうございました」 小出「ありがとうございました」 近藤「どうもー」 小出「どうもー」 水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんに伺いました。」 |