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スコットランド独立の是非
住民投票で英と合意
青山貞一
掲載月日:2012年10月16日
 独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁


 やっと英国とスコットランドが住民投票で合意したとのことです。2014年に独立の是非を問う国民投票が行われます。

スコットランド独立の是非 住民投票で英と合意
     2012年10月16日 朝刊 東京新聞

 【ロンドン=有賀信彦】キャメロン英首相と英北部スコットランド行政府のサモンド首相は十五日、スコットランドの独立の是非を問う住民投票を実施することで合意した。二〇一四年秋に行われる見通し。両者による合意では住民投票の質問は「独立に賛成か反対か」の一問になった。投票権は、十八歳以上に与えられている選挙権より対象を広げ、十六歳以上とした。

 サモンド首相が「行政府の自治権拡大」の是非を二問目として加えることを断念する一方、キャメロン首相は投票権拡大を認め、両者が妥協したという。

 十八世紀初頭までは独立国家だったスコットランドは、ロンドンを中心とする英政府への対抗意識が強い。現行政府を率いるスコットランド民族党(SNP)にとって、独立は長年の悲願だった。一方、英政府は約三百年続く「連合王国」の崩壊につながる恐れがあり、住民投票実施に消極的。両者が互いに自身に有利な投票条件を得ようと調整が続いていた。

 スコットランドは、面積、人口ともに日本の北海道に似ています。ただし、一番大きな都市グラスゴーが58万人、首都エジンバラは47万人の規模です。英国の面積比で1/3,人口比で1/12です。

 人材的にも産業革命時には、ジェームスワット、ベルはじめ多くの発明家、科学技術者を輩出し、社会科学でもアダムスミス、ヒュームなど秀逸、希有な人材を多数だしています。ノーベル賞、オリンピックメダルでも、英国との人口比で見ると圧倒的にスコットランド人の方が多く獲得しています。

 以下に書いたのはほんの一部ですが、私の元々の専門との関係では、電磁気学のマックスウェルもいますね。フレミングは言うまでもなく、ペニシリンの発見者です。

 わずか500万人しかいないスコットランドが、かくも著名で秀逸な人材を多く出していること自体、すばらしいことです。

アダム・スミス - 経済学者
ウォルター・スコット - 詩人、作家
デイヴィッド・ヒューム - 哲学者
ジェームズ・リンド - 医師。壊血病とビタミンCの因果関係を突き止め、
  世界で始めて臨床試験による根拠に基づいた医療を実践した。
ジェームズ・クラーク・マクスウェル - 物理学者。電磁気学の基礎を作った
  (マクスウェルの方程式)。
ウィリアム・ジャーディン - 船医、ジャーディン・マセソン商会創業者
ジェームス・マセソン - 実業家、ジャーディン・マセソン商会創業者
グラハム・ベル - 科学者、発明家
アレクサンダー・フレミング - 細菌学者
アーサー・コナン・ドイル - 作家
ロバート・ルイス・スティーヴンソン - 作家
トニー・ブレア - 政治家、第73代首相
ゴードン・ブラウン - 政治家、第74代首相
ジェイムズ・ディロン - 現代音楽作曲家
サムウェル・ロマーソン - 作家

 そのスコットランドは、14世紀、イングランドとの闘いに勝利し独立国家となっていました。しかし、悲劇の女王メアリー・スチュアートが、本来、王位継承権がないエリザベス(一世)によって断頭台に送られていこう、スコットランドのガバナンスが弱体化し、18世紀(1709年)に、スコットランドはイングランドに実質的に併合されてしまいます。


身長が180cmあったというメアリー・スチュアート(レプリカ)の前にて
本物は息子のジェームス6世によりロンドンのウエストミンスター寺院
にエリザベス一世と並んで葬られている。
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8

 その後、英国の一部となりますが、歴史的には民族、宗教、文化など、大部分がイングランドと異なります。1999年にスコットランド出身のブレアが英国の首相となったとき、分権関連法を制定し、スコットランド議会が再開され、防衛、外交、金融、通貨など以外
は、スコットランドが独自に法律をつくれるようになりました。

 いずれにせよ、スコットランドはイギリスにあってイギリスではない地域。そして、スコットランドは全能の「否」が支配する地域と呼ばれています。一方、日本は無能な「政治家」と「利権」それに「偏見」が支配する地域といえるでしょう。私は今までアフリカなどを含め60カ国以上を歩いていますが、スコットランドは、歴史を勉強してから行けばこれほど興味深い国はないと言えます。

 ところで、この7月、事前に相当、スコットランドの歴史と文化などを勉強した後、池田さんと10日間現地調査でスコットランドにでかけました。2200km走破し、スコットランドの歴史的拠点をほぼすべて視察し、最後はイングランド北部のセラフィールド(核燃料再処理工場)、カーライル、それにローマ帝国時代にブリテン島につくられた万里の長城のようなハドリアヌスの長城も視察してきました。


2012年7月のスコットランド現地調査では10日間で2200kmを走破
2013年も第二回目のスコットランド現地調査を敢行する予定

 1999年に300年ぶりに復活したスコットランド議会は、たいへんモダンな建築物で120人の議員(一院制)の過半は独立に賛成しています。


復権なったスコットランド議会にて
撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10

  
スコットランド国旗             スコットランド紋章


現在のスコットランド議会議員 よく見ると女性議員がたくさんいます
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8

 スコットランドの再生可能エネ戦略は、まさにスコットランドの独立問題を見据えたものとなっており、2020年に電気の100%(現在は31%)を再生可能エネでまかなうことになっています。これはアバディーンにある北海油田を独立を外貨獲得のために使うため、できるだけスコットランド自身は、再生可能エネに早く移行しようとするためです。

 原発は2機あり、エジンバラの東とグラスゴーの西にそれぞれ1機づつありますが、おそらく2020年までにこれらの原発はすべて廃炉とするはずです。

どこかの国とはまったく異なる戦略的発想ですね!

 さらに、いわゆるマスコミを鵜呑みにする程度、<鵜呑度>でも、日本と180度異なります。日本人の70%以上がマスコミを鵜呑みにしていますが、スコットランドを含む英国は、何と鵜呑度は14%、指針の調査結果では12.5%となっています。自分で考え判断しているということです。

          鵜呑度各国比較

        2000年      2005年   単位:%
日本      70.2       72.5
韓国      64.9       61.7       
中国      64.3       58.4
オランダ    55.7       31.7
ドイツ      35.6       28.6
フランス    35.2       38.1
ロシア     29.4       36.0
アメリカ     26.3       23.4
英国       14.2       12.5
出典:日本リサーチセンター

 2012年7月にでかけた2スコットランドについては、ブログ、動画ともできるだけ早く公表しますので、ご期待下さい。