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東京都市大講義
「情報化と市民参加」
講義の背景について
青山貞一
掲載月日:2012年10月19日
 独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁


 以下に今回の授業「情報化と市民参加」の背景について私見を述べます。

 日本全体の社会的、政治的沈没の原因は、もとをただせば、国民が自分の頭で考えず、連日連夜流れてくる新聞、テレビなどのマスコミを鵜呑みにしていることにあると思います。

 同時に、国会議員はじめ政治家が暴走する行政を何らコントロールできていないこともあります。民主主義の本道は、選挙で選ばれた政治家が国民が何ら選んでいない行政をどれだけコントロールするかにあります。しかし、日本は何から何まで官僚、行政が政治のみならず、社会をコントロールしています。

 これは言うまでもなく官僚や官僚組織が、自分たちが立法府によってコントロールされないように、各種行政法はじめ仕組みをつくってきたからです。

 これにより仮に行政訴訟となっても官僚、官僚組織側は負けず、日夜巨大な裁量をもとにやりたい放題をしています。群馬県高崎市で講演したように、復旧復興予算の多くがそれ以外に流れ、しかも環境省予算が国交省予算をはじめて上回っている現実も上記と無縁ではありません。

 民主党政権の最大の課題は、自民党同様、立法、政治による行政のコントロールを当初標榜しながら、自民党、マスメディア、産業界など既得権益をもっている陣営からの攻撃で、財務省はじめ官僚組織の軍門に下ったことにあります。

 この問題を熟知している小沢一郎氏が冤罪に近い東京地検特捜部とそれに従うマスメディア連合軍によって、2009年3月以降、実質、蟄居させられた現実は、きわめて重要です。

 昨日、鵜呑度の講義のなかで、以下に触れたのはそのためです。小沢氏は仕組まれた検察審査会により強制起訴されましたが、すでに一審は無罪、来月予定されている高裁でも無罪がほぼ確定しています。

 事例研究:東京地検特捜部とメディアがつくた小沢一郎事件
  @ NHKの情報操作による世論誘導ではじまった小沢事件
  A マスコミがほとんど書かなかった重要な事実を振り返る
  B 情報操作による世論誘導で騙されやすい日本国民
  C司法制度の危機には目をつむるマスコミ
  D名誉毀損罪及び名誉毀損による損害賠償の成立条件

 小沢氏の嫌疑が晴れても、この2年、小沢氏が蟄居させられたことで、菅や松下政経塾系議員が財務官僚の手先になり、日本を壊してきた事実はいかんともしがたいものがあります。

 菅と前原が、3.11直前、トップセールスと言って日本の原発をベトナムやリトアニアに売り込んできたことは言うまでもありません。

 民主党が政権交代後、一番最初に着手すべきだったのは、実体法、手続法を問わず、過去半世紀、官僚によってつくられてきた日本の行政法をすべからく改正することにあったと思います。

 立法による行政のコントロールを一貫して問題視しているのは友人の福井秀夫政策研究大学院大学教授であり、日本で司法官僚や検察官はては弁護士までが、立法による行政のコントロールを阻害していると述べているのは、郷原伸郎関西大学教授です。郷原さんは、地検検事、特捜部検事を歴任しています。

 ところで、国民について日本国民と正反対の関係にあります英国、とりわけスコットランド国民と対比すると明白です。たまたま札幌に講演に呼ばれ知り合った泊原発脱原発活動をされている2名の共同代表(ともに理系の北大名誉教授)がご子息をグラスゴーに嫁がせたり、英国に行っている友人から聞いた話として、英国やスコットランド(私は敢えて英国一般とスコットランドを分けています)では、中学校などの段階から先生がマスコミを安易に鵜呑みにしてはいけないと生徒に話している実態を知りました。

 日本国民の最新鵜呑度が72.5%、英国民のそれが12.5%、とみに最高と最低ですが、その理由のひとつは教育にあると思います。

         世界各国民鵜呑度調査
  
          2000年      2005年   単位:%
  日本      70.2       72.5
  韓国      64.9       61.7       
  中国      64.3       58.4
  オランダ    55.7       31.7
  ドイツ      35.6       28.6
  フランス    35.2       38.1
  ロシア     29.4       36.0
  アメリカ     26.3       23.4
  イギリス     14.2       12.5

 その意味で、昨日の講義のひとつのポイントは、日本の異常さを世界各国と比較することにより理解することにあります。

 廃棄物行政もその典型ですが、日本のゴミを集めて燃やして埋めるが当たり前の日本だけを見ていると、そのおかしさが見えませんが、諸外国と対比することにより異常さが際だってきます。

 この講義のもうひとつの重要な背景は、現状追認、利益配分の構造が、従来の政官業から政官業学報、すなわち学者・研究者とともにマスコミが審議会、委員会、検討会など行政システムに組み込まれ、さもなくとも喪失している社会の木鐸機能が完璧なまでに退化してきたことです。

 これは放射能、放射線による影響についても同じでしょう。





 これは原子力、原発関連の国の審議会、委員会、八ッ場ダムなど社会整備事業に係わる審議会、委員会、検討会を見れば明らかです。マスコミの編集委員などが準委員に組み込まれることで、本来監視すべき対象の中に入り込み、政策立案過程そして審議の中身について、批判的な対応ができなくなっていることです。





 これも行政、官僚による政策コントロールの重要な課題であると思います。

 つづく