|
2012年10月25日の東京都市大学情報メディア学科の授業(情報化と市民参加)では、先週にひきつづき「世界各国と比較した場合の日本の大メディアの課題」について詳しく講義してきました。 今回は、私の講義の後、環境総合研究所顧問の池田こみちさんをゲストに迎え、池田さんの体験について「がれき広域処理とメディア報道」を事例に講義いただきました。 今回の私の講義ですが、具体的には、 @記者クラブ制度、 Aクロスオーナシップ制度、 B電波利用オークション制度、 C再販制度 などのメディアをめぐる制度とその課題について、日本を先進諸外国と対比した場合の課題、またそれを解決するにはどうしたらよいかについて講義しました。 いずれも日本以外の大部分の先進国では、課題がないか、解決されており、日本が突出して、国民の知る権利を歪め、消費者、納税者の権利を侵害する誤った制度が存在しています。 なお、以下の動画で今回講義した内容とほぼ同じ内容がご覧になれます。またこの講義の内容は、大学側で録画してくれていますので、近い将来、動画として公開する予定です。 ※青山貞一:日本の大マスコミが抱える深刻な問題 以下に各概要をパワーポイントを使い示します。 最初は記者クラブ制度です。この記者クラブは、日本固有のものです。 「記者クラブ」については、青山の実体験(環境庁クラブ事件、長野県庁脱記者クラブなど)をもとに詳細かつ具体的に話しました。 ※青山貞一:日本のメディアの本質を考えるC環境庁記者クラブ事件 次はクロスオーナーシップです。日本はこのクロスオーナーシップを禁止していない数少ない先進国です。 先進諸国の多くは電波利用オークション制度を導入していますが、日本は導入して織らず、少数のテレビ局が既得権益を永年得ています。 出典:山田肇 東洋大学経済学部 総務省委員会資料 出典:山田肇 東洋大学経済学部 総務省委員会資料 出典:山田肇 東洋大学経済学部 総務省委員会資料 出典:山田肇 東洋大学経済学部 総務省委員会資料 書籍、雑誌、新聞、音楽CDなど6品目に対し再販制度を依然として維持しているのは、先進国では日本だけです。 講義中の青山貞一 東京都市大学FEISホールにて 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S10 2010-10-25 政官業から政官業学報へ、現状追認システムの変遷 従来の政官業に御用学者と御用報道が加わったことにより現状を追認し、既得権益の利益配分体制は強固なものとなった。 審議会、委員会、検討会などへのメディアの組み込まれによる監視能力の欠如 @原子力関連委員会 Aダム関連委員会 などを具体的事例として メディアに関連する諸制度は、他の先進諸国と比べるとその課題が明白となります。しかも、上記の制度を先進国のそれと比べると、すべてが大メディアが以前から有する既得権益が維持されるものとなっています。 さらに、日本固有の課題として、大メディアが国、地方の行政に組み込まれている現実があり、さらにジャーナリストが実社会の利権構造に組み込まれている実態があります。 その結果、日本社会では本来、国、自治体などの行政、議会、司法権力を国民の側から監視すべきメディアがもたなければならない民主主義的なクロスチェックが機能しなくなっています。 メディア側が腐敗、堕落することで、メディアの「社会の木鐸」機能が死に体となっています。これらは大メディアの経営状態が悪化するにつれ、一段と悪くなっています。 上記については、今年、若くして亡くなられました日隅一雄弁護士と青山が岩波ホールの会議室で対談したときにお話ししたことでもあります。 ※参考:日隅一雄×青山貞一対談〜審議会の暴走と止めよう〜 熱心に庭山由紀さんの特別講義を聞く学生(この写真は前回分) 撮影:荒井翔平、伊坪研究室 4年 ◆次回予定 「情報化と市民参加」 Eマスメディアの劣化と独立系・代替メディアの台頭 つづき 担当青山貞一 |