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私たちは2011年3月9日から17日まで現地調査で南イタリアに滞在した。 3月11日、日本の宮城県近くで大地震が起き、その後大津波が発生、さらに福島第一原発事故が起きた。 イタリアでの滞在地のうちナポリ以外は、すべて人口が500人から5000人の小さなまちや村だ。 新聞さえ満足に入手できず、宿泊したホテルやB&Bは農村や漁村にあり、テレビ受像も不十分な状況にあった。当然のことだがすべてのテレビはイタリア語ばかり、英語系のニュースもみれなかった。 しかし、持参したBB(ブラックベリー)のおかげで、事故当日から衛星通信とインターネットを通じ、日本と世界中の情報が手に取るように入ってきた。 ポジターノからマイオーリの中間地点にて ポジターノからマイオーリの中間地点にて メール、メーリングリスト、Webはじめ動画なども日本にいるのと同等に入手することができた。しかし、BBは数回にわたってSOS状態となり、一切の情報アクセスが不能となったこともある。 もちろん、BBはアップルのiPadのように、大きな液晶画面がないなど制約があったが、日本の実態を把握するには十分であった。 ところで、日本に帰る前日の2011年3月17日、ドイツのルフトハンザ航空につづき私たちが使うイタリアのアリタリア航空も成田行きを緊急避難のためとりやめた!! もともとナポリからミラノで4時間の待ち合わせ時間(トランジットタイム)があったが、成田行きが中止となった後、結局、都合11時間、ミラノ空港内で待機することになった。しかも、アリタリアの飛行機は、成田でなく関空に降りた。 疲れ果てグロッキーの池田こみちさん ミラノ国際空港にて ミラノは寒く、雨も降っていた。 8日間で30近くの自治体を回る強行軍の過酷な現地調査で疲れが蔓延していたこともあって、11時間の待ち合わせがあったものの、空港外に出る気力も失せていた。 そんな中、ミラノ空港で売られているEUを中心とした諸外国の主要メディアの新聞を買い込み片っ端から紙面を追った。その一部を以下に示すので、参考にして欲しい。 なお、別のブログで詳報するが、今回で掛けたイタリアは、チェルノブイリ原発事故以降、国民投票、それも法律制定に関わる国民投票で原発及び各関連施設をすべて閉鎖する決定を70%の国民の意思で決めており、G7、G8諸国の中で唯一原発が稼働していない国でもある。 イタリアの脱原発の現状については巻末の表を参照のこと これは日本の大メディアがこと原発関連の情報をほとんどまともに報道してこなかったこともあり、日本国民にはほとんど知られていないが事実だ。 もっぱら、そのイタリア政府(かの淫行疑惑に揺れるベルルスコーニ首相)は、2009年、サルコジ仏大統領とローマで会談し、イタリアでの原子力発電所建設に向けた協力協定に署名し1986年のチェルノブイリ原発事故を受けた翌年の国民投票の結果、原発を閉鎖していたイタリアが脱原発政策を転換する際には朝日新聞はじめ日本のメディアは大きく報道していた。 上記の協定によると、仏電力公社EDFと伊電力大手ENELが合弁会社を設立し、13年までに新たな原発建設に着手。20年までに稼働させ、計4カ所の原発を造る計画になっていた。 また欧州では英国、ドイツ、スウェーデン、フィンランドなどがすでに原発回帰に方針転換していたが、今回の福島原発の巨大事故でEUはじめ世界各国の原発政策は大きな変更を余儀なくさせられるであろう。 実際、ドイツのメルケル首相(女性党首、首相、理学博士)はじめ他のEU諸国も日本の福島原発巨大事故の発生により、ここ数年、温暖化政策などを理由に進めてきた原発回帰政策の撤回を余儀なくされそうだ。 以下のAFPの記事にあるように、すでにメルケル首相は国内原発の稼働延長を凍結するという政策変更を公言している。 おそらく淫行疑惑で数十万人の女性デモを受ているイタリアのベルルスコーに首相も原発回帰政策の撤回を余儀なくさせられるであろう。
そんな国柄もあり、テレビでは連日、原発事故についてTG1、TG2,TG3御用学者ではない専門家、研究者、活動家、実務家などが右左に分かれキャスターの司会のもと、原発建設再開論者と脱原発派による激しい議論が闘わされていた。 イタリアTG3テレビにおける福島原発巨大事故 報道をつとめたBianca Berlinguerさん 現地に入った東京支局員からの現地リポートも 現地に入った東京支局員からの現地リポートも 現地に入った東京支局員からの現地映像も イタリア国立原子物理研究所の ジョバンニ・フィオレンテーニ所長 議論に参加していたイタリアの女性研究者? 残念ながらイタリア語に堪能でなく、議論の詳細は不明な部分が多い。 しかし、画面に議論と同時に提示される数々の資料映像や表、図を見ると、フランスなどから電気を輸入していることもありEUで最高の電気料金となっているなどの課題もある。しかし、イタリア国民がチェルノブイリ原発事故以降に総意として下した「脱原発の決定」が、間違っていなかったという自負が感じられた。 これについては別途詳報予定(青山) 以下は、2011年3月17日、イタリアのミラノ空港で購入した欧州(一部米国)の新聞各紙の一面を中心とした日本の大震災及び福島原発事故の記事である! 米国・インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙 フランス・フィガロ紙 イタリア・ジオルナーレ紙 イギリス・ザ・タイムズ紙 イタリア・コリエリ・デラ・セーラ(夕刊紙) イタリア・ソブラーノ紙 イタリア・ディバッティオ紙 |
参考資料:イタリアの原発事情