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■放射性物質の移流、拡散と気象(主に風向)について 福島第一原発から排出された放射性物質(ガス状、粒子状、エアロゾル状など)による放射線(Sv)や放射能(Bq)は冬期に卓越する北からの風によって風下に移流、拡散し、大気はもとより土や水を汚染している。 このように風向、風速、大気安定度などの気象条件、とくに風向によっては、首都圏にあたる茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川などまで移流、拡散している可能性は大いにある。 北風系の場合の汚染物質の移流、拡散 そのような場合には、大気に放射性物質(ガス状、粒子状系物質)が含まれ、また降っている雨や霧と一緒になりエアロゾル状の物質となって地上に降り注ぐことになる。 放射性物質による放射線(Sv)や放射能(Bq)の移流、拡散には風向、風速、大気安定度などの気象条件がきわめて重要な要素となる。 以下は、福島県発近傍のいわき市から東京に至る主要地点の気象状況である。 ◆福島県いわき市小名浜(福島県浜通りの月別風配図 北北西から北換えが卓越 北風系の場合の風下にあたる東京管区気象台について月別風配図 ◆風配図(東京管区気象台・月別) 水戸 北北西から北風が卓越 宇都宮 北北東から北風が卓越 熊谷 北西が卓越 東京 北北西が卓越 上記の各地域の気象データ(風配図)を見ると、いずれも冬期(1月〜3月)は、北風系、すなわち北西、北北西、北、北北東、北東の風が卓越していることが分かる。 冬期には福島県第一原発から茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川に向け吹く北風系が圧倒的に卓越していることを表している。 ただし、これは冬期に卓越している風向が北風系ということであり、同じ冬期でも日によって時間によっては栃木、群馬に向かう東風系、また宮城、岩手、山形などに向かう南風系も割合は少ないもののある。 上記は月平均値なので日、時間は示されていない。仮に原発からの放射性物質の放出が甚大となった時に、北風系以外の風が吹いていれば、その風下で汚染が高くなることを意味する。 なお、汚染をC、発生強度をQ、風速をS、Aを係数とすると、発生源からの距離が同じ場合、 C=A・Q/S という関係式が成り立つ。 汚染の強弱は、発生源の排出強度に比例し、風速に反比例することになる。 ただし、S(風速)は地形、土地利用、土地表面のそ土、構造物・建築物などの影響を強く受ける。 |