エントランスへはここをクリック   


過去、各地の原発が
基準超のトリチウムを
垂れ流していた事実を検証
青山貞一 Teiichi Aoyama 鷹取敦 Atsushi Takatori
掲載月日:2013年9月6日
 独立系メディア E−wave
無断転載禁


 福島第一原発事故サイトから太平洋に垂れ流されているトリチウムについて、経済産業省がPDFで「平成22年度 原子力施設における放射性廃棄物の管理状況及び放射線業務従事者の線量管理状況について」というデータを公表しています。

※正式名称
平成22年度 原子力施設における放射性廃棄物の管理状況及び放射線業務従事者の線量管理状況について 平成 23 年 9 月 経済産業省

 上記のデータでは平成22年度の日本各地の「放射性液体廃棄物中のトリチウムの年度別放出量」を推計している。

 以下がその概要である。

●放射性液体廃棄物中のトリチウムの年度別放出量
施設 放出量  単位  年度 
原子炉廃止措置
研究開発センター
8.6×10^11 Bq/年  (H22)
もんじゅ 1.5×10^8 Bq/年  (H22)
3.3×10^13 Bq/年 (H22)
女川 2.2×10^10 Bq/年 (H22)
東通 3.0×10^11 Bq/年 (H22)
福島第一 2.0×10^12 Bq/年 (H21)
福島第二 1.6×10^12 Bq/年 (H22)
東海 7.5×10^7 Bq/年 (H21)
東海第二 4.2×10^11 Bq/年 (H21)
柏崎刈羽 6.6×10^12 Bq/年 (H22)
浜岡 6.4×10^11 Bq/年 (H22)
志賀 2.8×10^11 Bq/年 (H22)
美浜 1.3×10^13 Bq/年 (H22)
高浜 6.5×10^13 Bq/年 (H22)
大飯 5.6×10^13 Bq/年 (H22)
敦賀 1.2×10^13 Bq/年 (H21)
島根 2.3×10^11 Bq/年 (H22)
伊方 5.1×10^13 Bq/年 (H22)
玄海 1.0×10^14 Bq/年 (H22)
川内 3.0×10^13 Bq/年 (H22)
 
合計 3.6×10^14 Bq/年 (H22)

 上記について、排水量を1日400トン、200トンの場合それぞれについて、1年365日として、海に垂れ流されているトリチウムの濃度を逆算してみた。

 その結果は、以下の通りである。ただし、単位はベクレル/Lである。ただし、日本のトリチウムの排出基準は、6万 Bq/L

施設 濃度試算値
400t/日と仮定
単位 濃度試算値
200t/日と仮定
単位 炉型
(BWRかPWRか)
226,027 Bq/L 452,055 Bq/L  PWR
女川 151 Bq/L 301 Bq/L  BWR
東通 205 Bq/L 411 Bq/L  BWR
福島第一 13,699 Bq/L 27,397 Bq/L  BWR
福島第二 10,959 Bq/L 21,918 Bq/L  BWR
東海 1 Bq/L 1 Bq/L  BWR
東海第二 2,877 Bq/L 5,753 Bq/L  BWR
柏崎刈羽 4,521 Bq/L 9,041 Bq/L  BWR
浜岡 4,384 Bq/L 8,767 Bq/L  BWR
志賀 1,918 Bq/L 3,836 Bq/L  BWR
美浜 89,041 Bq/L 178,082 Bq/L  PWR
高浜 445,205 Bq/L 890,411 Bq/L  PWR
大飯 383,562 Bq/L 767,123 Bq/L  PWR
敦賀 82,192 Bq/L 164,384 Bq/L  PWR
島根 1,575 Bq/L 3,151 Bq/L  BWR
伊方 349,315 Bq/L 698,630 Bq/L  PWR
玄海 684,932 Bq/L 1,369,863 Bq/L  PWR
川内 205,479 Bq/L 410,959 Bq/L  PWR
凡例:黄色は、1日400トン、200トンの排水を仮定した場合に
    排水基準を超えている場合を示している。

 上記では、1日の排水量を一律400トン、200トンとしているので、当然、誤差が生ずるおそれがあるが、排水量を1日400トン、200トン、1年365日を前提として、海に垂れ流されているトリチウムの濃度を計算している。

 玄海原発の年平均68万ベクレルを筆頭に、高浜原発の45万ベクレル、大飯原発の38万ベクレル、伊方の35万ベクレルなど、日本におけるトリチウムの排水基準である6万ベクレルを大幅に上回っていることがわかった。

 上記では、1日の排水量を400トン、200トンとしているが、それを100トンとする場合は、トリチウムの濃度を200トの2倍、逆に800トンとする場合には、濃度を400トンの半分にすればよい。

 また平成22年当時、稼働している原発と定期検査で止まっている原発がある。

 いずれにしても、平成22年の段階で日本各地の原発が現在の福島第一原発並あるいはそれ以上の高濃度のトリチウムを連日、海に排出していた事実が立証されたことになる。