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青山貞一個人ブログ 放射性物質に汚染された災害廃棄物に関して、国がこの間やってきたことは、原理的に間違ったことを独善的に基礎自治体に押しつけていることである。そして、国の間違った政策、施策に反対する市民らを脅すなど民主主義国では到底考えられないことを連日連夜行っていると思います。 >今日も隣の学科長が東京新聞の一面を私のところに > 持ってきて、この種の問題を広域処理しようとするこ > と自体、エントロピー理論の観点から180度間違っ > ていませんか? と言ってきました。 彼は何ら環境問題の専門家でも放射性物質の専門家でもありません。画像処理技術の専門家です。 エントロピーはもともと物や熱の属性で、それらに対する拡散の程度を表す状態指標量と言えますが、まず最初に、いわゆるエントロピー増大の法則についてよく用いられる比喩を元に以下に説明したいと思います。 エントロピー増大の法則とは、自然(世界)は常に、エントロピーが小さい状態から大きい状態に進むということです。すわなち、自然はすべからく『秩序から無秩序へ』という方向に進むといってもよいでしょう。 たとえば卑近な例をとれば、整理整頓された部屋は、そのままほっておくと、次第に乱雑になります。けっして勝手に整理されることはありえません. たとえば、コーヒーにミルクを一滴たらし、ほおっておくとミルクは次第に広がり、最後にコーヒーと完全に混ざってしまいます。これは一箇所に集まっていたミルクの分子が、時間とともに散らばっていったという現象です。 次に、今回の災害廃棄物問題に関連し、国が基礎自治体などに押しつけていることを上記のエントロピー増大の法則になぞらえて簡単に説明すれば、次の通りとなります。 すなわち、一箇所に集まった汚染(物質)の状態から汚染(物質)を含むがれきを全国にバラバラに散らばる状態になることを意味します。 まさに、放射性物質に汚染された災害廃棄物を燃やす、燃やさないの問題以前に、せっかく汚染が一定範囲に集中して存在、分布していたのに、それをあえて意図的に広域処理により汚染を拡散させるのです。これは愚の骨頂の政策といえましょう。エントロピーを意図的に増大させるあってはならない行為なのです。 いわき市薄磯海岸の瓦礫の約1m前で放射線量を計測する 鷹取敦環境総合研究所調査部長 撮影 青山貞一 2011.10.16 さらに、ひとたびエントロピーが高まると、それをもとの状態に戻すには膨大な費用がかかります。瓦礫処理ではありませんが、除染という行為をみればよくわかります。 一説では、日本中で除染を行うと20兆円とか40兆円も費用がかかるされています。もうこうなると、除染が日本社会特有の一種の利権と化すことになります。 もともと原発事故はトンデモな事故であることは間違いありません。原子力村のひとびとが想定していなかったにせよ、これほどトンデモなことはありません。 しかし、国が現在やろうとしていること、すでに一部やっていることは、せっかく一カ所に集まっている汚染を意図的に薄く 広く拡散させることであり、その結果、中長期的にもその処理がきわめて困難となり、費用がかかるのです。これは少しでもこの種の原理、理論を理解している人であればあたりまえの話なのです。 次の問題は焼却処理に関わる問題です。 周知のように、災害廃棄物にはさまざまなプラスチック類、金属、非鉄金属、アスベスト、農薬はじめさまざまな物質が混在して存在しています。これはいくら分別しても混在は免れません。 それらを一般廃棄物用あるいは産廃用の焼却炉で焼却すれば、本来存在しない膨大な量の化学物質、それも有害な物質をあえて生み出してしまいます。また焼却炉を早く傷めることにもなりかねません。 さらに一般廃棄物焼却炉のように高い煙突で拡散させれば遠くまで汚染が拡散します。それは時間をかけ水などで川にそして海に運ばれ、食物連鎖により濃縮されます。たとえば、オンタリオ湖のPCB汚染問題では、汚染物質が生物濃縮により最高2500万倍も高められています。 出典:マリンブルー21資料もとに環境総合研究所 出典:環境省資料をもとに環境総合研究所作成 ※オンタリオ湖PCBの生物濃縮の事例は、「失われし未来」にあります。 以下の図を参照してください。 出典:「失われし未来」の図を元に環境総合研究所作成 これは何も、放射性物質に汚染された災害廃棄物問題に限らず、PCB、ダイオキシン類、水銀など重金属類の汚染についても、ほぼ同様のことが言えると考えます。 にもかかわらず、我が国では廃棄物処理法のもと、ゴミは国策のもと燃やして埋めるを永年繰り返してきました。 国策という意味は、国が自分たちの政策、施策、ガイドラインなどに追随すれば、補助金、地方交付税などにより実質的に70〜84%の補助率で焼却炉を建設する基礎自治体に巨額の税金を投入してきた事実があるからです。 これについては、以下の論文をご覧ください。 ◆青山貞一:廃棄物焼却主義の実証的研究〜財政面からのアプローチから 武蔵工業大学環境情報学部紀要(大学名は現在、東京都市大学) ところでこの秋、横浜に根拠地をおくテレビ神奈川が私に定時ニュースのなかで連続インタビューを行いました。 私(青山貞一)が2回目に話したのは、「横浜市本牧にある海面埋立方式の一般廃棄物最終処分場に放射性物質に汚染され濃縮された下水汚泥の焼却灰や飛灰を処分してゆけば、飛散などにより再浮遊し、海に放射性物質が落ちたり、漏れ出て長期的には魚介類を汚染する可能性が否定できない」というコメントでした。 こに対し、環境省の言いなりになっている横浜市が、市民の危惧、不安をよそにテレビ神奈川の報道局にえらい剣幕で「市民を煽るな」とクレームをつけにきたそうです。 現場の記者らは横浜市の行為に怒り心頭でしたが、その後、取材にこなくなったことをみると、おそらくテレビ局の上層部が横浜市の恫喝に屈した可能性すらあります(そうでない場合は、ご連絡をください)。 わたくしに言わせれば、原理的に間違った政策を市民へのまともな説明や実証データがないまま、強行する横浜市のあり方こそ、問われるべきです。 市民、住民からもっとも近いところにいる市町村がこれですから、どうしようもありません。第三者(青山貞一)が研究者として、過去の経験からコメントしていることに、こともあろうか、テレビ局に直接行政がそんな報道するなと言ってきたわけで、あきれてものがいえません。日本の自治体には、自分の頭でまともに考える能力がほとんどなくなっているというのが実感です。 さて、上記の数々を考慮すれば、福島第一原発事故に起因する放射性物質対策の基本、とりわけ今回のように発生源近くに汚染が集中している状況では、たとえば福島原発ないしその敷地周辺 に、私たちが提案しているような遮断型の施設をつく り、そこに放射性物質を封じ込め、長期にわたりしっかり汚染物質を管理する方法を採用するのが当然です。 これはイタリアの北ミラノで起きた化学工場の大爆発後にイタリア政府がとった対策を見るまでもなく明らかです。しっかり、事後モニタリングすることが大切であることはいうまでもありません。 イタリア・ミラノにあるセベソ事故の環境・人体影響を 研究する財団関係者と一緒に写真 にもかかわらず、国や環境省は、上記の原則や理論をまったく理解せず、今までがそうであったように、何でも集め、 燃やすことに奔走しています。国は福島県民を何ら 説得できず、安易に全国各地で災害廃棄物をもやし埋めることを指示し、思考停止の多くの自治体は、国賊呼ばわりされるのを恐れ、それに従いつつあるのが現状でしょう。 この分野における日本の常識は世界の非常識であることは間違いありません。悪い意味でのガラパゴス化を永年日本はやってきたのです。 以下は私たちが提案している案です。
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