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菅直人前総理が、辞任の前提条件にもした再生可能エネルギー固定価格買い取り法だが、法案は通ったものの、肝心な調達価格算定委員会のメンバー構成で実質骨抜きとなる可能性が大きくなってきた。
再生エネルギー法案の場合には、上に掲載した日刊ゲンダイの記事にあるように、 「再生エネルギーが普及拡大できるかどうかは、買い取り価格と買い取り期間を決める調達価格算定委員会が鍵を握る」が、その委員人事こそ重要なのである。 菅直人首相退陣後、野田政権が出してきた委員案では、5人の委員のうち3人、すなわち進藤孝生新日鉄副社長を筆頭に山内弘隆一橋大教授、山地憲治元東大教授が再生エネルギーに批判的な立場な人物である。 以下は、環境エネルギー政策研究所 プレスリリースにみる3名の素性と過去の行状についての解説である。
となれば仮に残り2人に知名度の高い再生エネルギーを推進してきた専門家を入れたとしても、最後は採決で推進派は負けてしまう。 委員選任が国会承認(あるいは同意)事項であっても、自民党はもともとこの法案に反対、民主党も半分は反対だったから両者が上記3人の委員人事を承認すれば終わりである! 自民、民主の半分は菅直人を辞めさせたい一心で法案を賛成させただけと言ってもよい背景を理解せず、法案成立を喜んでいたのではだめだ。 ..... ひるがえって、民主党が政権を奪取後、前原国土交通大臣(当時)が行った八ッ場ダム建設中止やかつての長野県田中康夫知事の浅川ダムについての脱ダム宣言でも同じだ。 いくら大臣が中止宣言し、知事が脱ダム宣言をしたところで、実務をあずかる土建官僚は、首相、大臣、知事在任中は死んだふりをしているだけ。 政治状況が変わると、ゾンビよろしくムクムク起きだし、政省令変更、行政手続、予算措置、委員会運営など、さまざま姑息な手段を使って実質的に法案や政策を骨抜きにしてしまうのである。 これはよほど省庁や自治体の行政運営に精通していないと、そのからくりが分からない。分からないというだけでなく、官僚は決して率先して首相、大臣、知事に、そのカラクリを教えないのである。 八ッ場ダム事業では、前原大臣が辞任後、国土交通省内にお手盛りの委員会を設置し、そこで再検討をさせるとともに、関連都県知事らが再検討委員会を設置するなどし、いずれも課題はあるものの事業遂行が妥当などというはじめから結論ありきの検討を行うことになる。 すでに4600億円という巨額の事業費を使い果たし、関連する特別会計も使い長野原町は土木事業のデパートと化しており、本体工事以外は90%以上完成している。 長野県の浅川ダムの場合はどうだろうか? 田中康夫知事が退任後、公共事業監視評価委員会の委員定員ぎりぎりまでダム建設派委員を増やされ、反対派は押し切られている。県の土木部官僚は、すぐさま国にダム建設調査費などの予算請求を行い国は待ってましたとばかり調査費を出したのである。 政権運営、それも政策実現の現場をホトンド経験したことがない民主党系の首相、大臣や田中康夫氏のように理念だけで実務、手続を甘く見ていた知事らを官僚がコケにするのは朝飯前である。 事実、菅直人前首相の再生エネルギー法案が骨抜きになっただけでなく、前原元国土交通大臣が高らかに中止宣言した八ッ場ダム建設中止は、ご承知のように風前の灯火、田中康夫元長野県知事による浅川ダムの脱ダム宣言は、辞任直後、県土木官僚らによって穴あきダムとして復活している。 官僚は絶えず、虎視眈々とその種の落とし穴を掘っている。それにまんまと落っこちているのが行政手続にド素人というところか! 戦国武士ではないが、敵の息の根を確実に止めない限り、経済産業省や国土交通省などの開発諸官庁の官僚や官僚機構はあらゆる手で迫ってくるのである! |