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私の推計では、すでに述べたように6月2日早朝時点で、内閣不信任案に賛成する民主党衆議院議員は、82人から94人に達していた。 @小沢グループ 60−70 (うち政務官など5議員、原口議員は含まず) A離党を申し出ている衆院議員で賛成しそう (以下のNHKニュース参照) 15 B鳩山元総理 1 C原口元総務大臣 1 D鳩山グループで賛成しそうな議員 5−7 (本来60名いるがこれはいつも優柔不断) ============================================ 合計 82−94 もし、そのまま本会議に突入すれば、90%以上の確率で内閣不信任案が採択され、菅首相は、内閣総辞職か衆議院解散かを選択することになるはずであった。菅首相筋は、そのような場合には衆議院を解散すると民主党衆議院議員に吹聴することで、解散を恐れる1年生議員らへの脅し材料となるとともに、1年生、2年生...と当選回数毎に賛成に回らないように説得していた。 6月2日、午前中、内閣不信任案が採択が確実視されたなか、急遽、民主党の代議士会が開催され、冒頭、菅首相が話をした後、質疑に移り、鳩山前首相が代議士会の前に菅首相と会い、「確認書」の内容を前提に、「一定のメド」が付き次第、菅首相が総理、首相を辞める旨の演説をした。 これにより内閣不信任案に賛成すると推定されていた衆議院議員のうち、2名、すなわち松木議員と横粂議員を除き、菅首相が6月中をメド(これは鳩山前首相の言)に辞職するならばと理解し、午後1時30分より始まった衆議院本会議での採決で反対票を投ずるか、欠席・棄権することになった。小沢グループの17名は欠席した。 結局、6月2日、官邸という密室で行われた菅首相と鳩山前首相の会談は、まんまとお人好しの鳩山前首相が利用され、代議士会で鳩山前首相の発言も、菅首相が「確認書」を条件に今年6月中に辞職すると民主党の99%の代議士に理解された。これは民主党代議士だけでなく、代議士会を取材していたマスコミ、テレビを見ていた国民も同じである。 ところが、本会議裁決後の菅首相の記者会見で、首相は「確認書」には辞職や退陣という文字はなく、「一定のメド」についても、「確認書」にない福島原発の冷温停止状態までと理解している、すなわち辞職は今年の6月でも9月でもなく、実質、来年1月以降となると応えた。 しかも、「退陣」はマスコミが勝手に記事にしていることであって、自分は退陣とはひとことも言っていないと言い出したのである。 さらに菅首相は会見の冒頭で、衆議院本会議での採決で自分は大差で信任されたとまで言ってのけた。 要約すれば、完全に菅首相に日本中が実質的に騙されたことになり、党内で一貫して菅首相のあり方に批判をしてきた小沢グループの大部分も本人が近々辞めるなら内閣不信任案に賛成するまではないとして、棄権・欠席となったのである。 ..... この菅首相の「死んだふり続投」劇は、その後、永田町だけでなく日本中で大騒ぎとなった。いわば大マスコミも騙されたことになったこともあり、新聞だけでなくテレビ各局もこの「死んだふり続投」劇を特番を組んだり、ニュースのなかで大々的に扱った。 しかし、同一会期で一度しか内閣不信任案は出せないという規約がある。また、菅首相はそれを察知してか、年内一杯会期を延長すると言い出したことで、ひとまず菅首相を辞めさせる野党や賛成派の動きは万事休すとなったのである。 もちろん、菅首相はじめ岡田幹事長、仙谷副官房長官ら現政権幹部への不信感は、これにより増幅、拡大し、参議院での問責決議案、各種法案への対応はじめ菅内閣は、今まで以上に厳しい局面にたたされることになる。 菅首相が狡猾に今回の衆議院での不信任案を否決させても、参院で民主党が過半数をとっていないことを依然として分かっていない。その意味で、菅政権は今後、「雪隠詰め」に向かってまっしぐらとなり、大震災対策、原発対策も今まで以上に遅れることになるだろう。 また菅首相の「死んだふり続投」劇が一部始終、テレビなどで国民に周知されたことで、もともと20%そこそこだった内閣支持率や70%の国民が菅首相の退陣を要望していることから、一層、菅首相や執行部への国民の不信が大きくなることが容易に想定できる。 ◆醜悪“退陣詐欺”菅の末路は…国民小バカにした報いを (夕刊フジ) ところで、6月3日の時事通信は、「退陣」ほのめかし、前夜作戦=不信任否決の舞台裏−民主執行部 という記事をうった。 やはり今回の菅首相の「死んだふり続投」劇は、岡田克也幹事長や枝野幸男、仙谷由人正副官房長官ら政府・民主党の幹部10人で周到に練られ、まんまと鳩山前首相が利用された茶番劇であることが時事通信によって報道された。 何と、その10人の中に鳩山前首相の側近でもある前官房長官、平野氏もいたというからなにおかいわんやである。 以下は時事通信と日刊ゲンダイの関連記事である。
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