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「死んだふり続投」は
やはり周到に準備されていた
青山貞一
掲載月日:2011年6月4日
独立系メディア E−wave


 私の推計では、すでに述べたように6月2日早朝時点で、内閣不信任案に賛成する民主党衆議院議員は、82人から94人に達していた。

@小沢グループ              60−70
 (うち政務官など5議員、原口議員は含まず)
A離党を申し出ている衆院議員で賛成しそう
 (以下のNHKニュース参照)      15
B鳩山元総理                 1
C原口元総務大臣              1
D鳩山グループで賛成しそうな議員   5−7
 (本来60名いるがこれはいつも優柔不断)
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            合計      82−94


 もし、そのまま本会議に突入すれば、90%以上の確率で内閣不信任案が採択され、菅首相は、内閣総辞職か衆議院解散かを選択することになるはずであった。菅首相筋は、そのような場合には衆議院を解散すると民主党衆議院議員に吹聴することで、解散を恐れる1年生議員らへの脅し材料となるとともに、1年生、2年生...と当選回数毎に賛成に回らないように説得していた。

 6月2日、午前中、内閣不信任案が採択が確実視されたなか、急遽、民主党の代議士会が開催され、冒頭、菅首相が話をした後、質疑に移り、鳩山前首相が代議士会の前に菅首相と会い、「確認書」の内容を前提に、「一定のメド」が付き次第、菅首相が総理、首相を辞める旨の演説をした。

 これにより内閣不信任案に賛成すると推定されていた衆議院議員のうち、2名、すなわち松木議員と横粂議員を除き、菅首相が6月中をメド(これは鳩山前首相の言)に辞職するならばと理解し、午後1時30分より始まった衆議院本会議での採決で反対票を投ずるか、欠席・棄権することになった。小沢グループの17名は欠席した。

 結局、6月2日、官邸という密室で行われた菅首相と鳩山前首相の会談は、まんまとお人好しの鳩山前首相が利用され、代議士会で鳩山前首相の発言も、菅首相が「確認書」を条件に今年6月中に辞職すると民主党の99%の代議士に理解された。これは民主党代議士だけでなく、代議士会を取材していたマスコミ、テレビを見ていた国民も同じである。

 ところが、本会議裁決後の菅首相の記者会見で、首相は「確認書」には辞職や退陣という文字はなく、「一定のメド」についても、「確認書」にない福島原発の冷温停止状態までと理解している、すなわち辞職は今年の6月でも9月でもなく、実質、来年1月以降となると応えた。

 しかも、「退陣」はマスコミが勝手に記事にしていることであって、自分は退陣とはひとことも言っていないと言い出したのである。

 さらに菅首相は会見の冒頭で、衆議院本会議での採決で自分は大差で信任されたとまで言ってのけた。

 要約すれば、完全に菅首相に日本中が実質的に騙されたことになり、党内で一貫して菅首相のあり方に批判をしてきた小沢グループの大部分も本人が近々辞めるなら内閣不信任案に賛成するまではないとして、棄権・欠席となったのである。

 .....

  この菅首相の「死んだふり続投」劇は、その後、永田町だけでなく日本中で大騒ぎとなった。いわば大マスコミも騙されたことになったこともあり、新聞だけでなくテレビ各局もこの「死んだふり続投」劇を特番を組んだり、ニュースのなかで大々的に扱った。

 しかし、同一会期で一度しか内閣不信任案は出せないという規約がある。また、菅首相はそれを察知してか、年内一杯会期を延長すると言い出したことで、ひとまず菅首相を辞めさせる野党や賛成派の動きは万事休すとなったのである。

 もちろん、菅首相はじめ岡田幹事長、仙谷副官房長官ら現政権幹部への不信感は、これにより増幅、拡大し、参議院での問責決議案、各種法案への対応はじめ菅内閣は、今まで以上に厳しい局面にたたされることになる。

 菅首相が狡猾に今回の衆議院での不信任案を否決させても、参院で民主党が過半数をとっていないことを依然として分かっていない。その意味で、菅政権は今後、「雪隠詰め」に向かってまっしぐらとなり、大震災対策、原発対策も今まで以上に遅れることになるだろう。

 また菅首相の「死んだふり続投」劇が一部始終、テレビなどで国民に周知されたことで、もともと20%そこそこだった内閣支持率や70%の国民が菅首相の退陣を要望していることから、一層、菅首相や執行部への国民の不信が大きくなることが容易に想定できる。

◆醜悪“退陣詐欺”菅の末路は…国民小バカにした報いを (夕刊フジ)

 ところで、6月3日の時事通信は、「退陣」ほのめかし、前夜作戦=不信任否決の舞台裏−民主執行部 という記事をうった。

 やはり今回の菅首相の「死んだふり続投」劇は、岡田克也幹事長や枝野幸男、仙谷由人正副官房長官ら政府・民主党の幹部10人で周到に練られ、まんまと鳩山前首相が利用された茶番劇であることが時事通信によって報道された。

 何と、その10人の中に鳩山前首相の側近でもある前官房長官、平野氏もいたというからなにおかいわんやである。

 以下は時事通信と日刊ゲンダイの関連記事である。

「退陣」ほのめかし、前夜作戦=不信任否決の舞台裏−民主執行部
 
時事通信 2011年6月4日

 内閣不信任決議案否決に大きく響いた菅直人首相の「退陣発言」。その作戦は、採決を翌日に控えた1日夜、民主党の岡田克也幹事長や枝野幸男、仙谷由人正副官房長官ら政府・民主党の幹部10人で練られたものだった。採決前の舞台裏を追った。

 民主党の小沢一郎元代表と小沢氏に近い議員計71人は1日夜、都内のホテルに結集し、「不信任案可決」へ気勢を上げた。会合を終えた小沢氏は記者団に、不信任案賛成を表明。同時に「政党、党派のレベルでうんぬんする問題ではない」と自発的離党を否定した。

◇「小沢切り」想定
 衆院の民主党会派はその時点で305人。53人欠けても委員長ポストを独占し、委員数でも野党を下回らない安定多数252人を維持できる。

 「造反が40〜50人なら厳しく処分すべきだ」。岡田氏らの会合では強硬論が相次ぎ、結局、賛成者を即日除籍(除名)する「小沢切り」の方針を決定。その一方、造反者が、衆院の過半数を失わない66人までにとどまるよう、ぎりぎりまで努力することを確認した。

 岡田氏らは、そのための作戦を協議。被災地の状況から衆院解散は困難との思いは共有していたが、「けん制のために解散風を吹かせる」として、採決が予定されていた2日の衆院本会議後に臨時閣議をセットすることが決まった。「解散を決める閣議ではないか」と連想させるためのものだった。

 さらに、「造反予備軍」の軟化を誘う手段として、採決前に菅直人首相が「退陣」をほのめかす案が出され、2日昼の党代議士会で首相が発言する内容の調整に入った。内容は最後に首相が筆を入れた上で、同日朝に芝博一首相補佐官から岡田氏らにメール送信された。

◇北沢、平野氏が調整

 岡田氏ら10人の会合が開かれていたホテルには、別に、首相が信頼する北沢俊美防衛相と、鳩山由紀夫前首相に近い平野博文元官房長官の姿もあった。鳩山氏が不信任案賛成を表明したことで党分裂への危機感を強めていた平野氏が、北沢氏と打開策を話し合った。北沢、平野両氏は翌2日朝も衆院議員会館で協議して首相と鳩山氏の間で交わす3項目の「確認事項」の文案を固め、北沢氏は茶封筒に入れて首相官邸に向かった。

 同日午前11時すぎ。鳩山氏が平野氏を伴って官邸に現れ、首相は立会人として岡田氏を呼んだ。文書には「退陣」の文言も日付もなかったが、できるだけ意義を強めようと、鳩山氏が「署名をいただけますか」と迫った。これに対し、首相は「2人の信頼関係の中ですから(署名なしでも)全く問題ありません」とかわした。結局、鳩山氏が「信じます」と折れた。

 こうして迎えた2日正午の党代議士会。野党多数の参院の円滑運営のために、首相が身を引くことを期待していた輿石東参院議員会長は、首相と鳩山氏のやりとりをテレビ画面で見詰めていた。首相が最後まで退陣時期を明確にしなかったことを確認すると、電話を取り上げ、怒鳴った。「何てことをしてくれたんだ」。相手は平野氏だった。(2011/06/03-23:23)

まだ無能亡国内閣が続く末期症状
 内閣不信任案採決寸前の退陣表明のペテン
 復興法案と第2次補正を編成したら辞めるという大ウソ


 日刊ゲンダイ 2011.6.3

 これをペテンと言わずに何というのか。菅首相の口だけ退陣表明のことだ。

 震災の復旧・復興や原発事故の対応にメドがついたら「若手に貴任を引き継ぐ」とか言って、不信任案可決を勘弁してもらったくせに、昨夜(2日)の会見では一転、政権にしがみつく姿勢をあからさまにしたのである。

 採決直前、菅と会談し、退陣表明を引き出したことでイイ気になっていた鳩山前首相はただのバカだ。退陣の時期もハッキリさせず、きちんとした文章にも残さず、菅がすぐに辞めるものと信じ込んでいたのだからオメデタイの一語だ.鳩山・菅会談を知らされていなかった小沢は激怒したというが、当然だだろう。口先退陣表明は、不信任案を潰すための亡国首相のサル芝居。

 あいまいな表現なのに、「退陣表明」と先走った大手メディアも怪しいものだ。
いずれにしても、こんなデタラメ、ゴマカシが許されるのか。権力をもてあそぶのにもほどがあるのだ。

 復興法案と第2次補正を編成したら辞めるという大ウソ

 鳩山は菅が辞める時期について」、「復興法案の成立や第2次補正の編成」がメドになるとし、6月末との見方を示した。退陣を表明した首相がいりまでもグズグズ続けることは許されない。

 鳩山ならずとも「長くて1カ月程度だろう」と思ったが、甘かった。

 会見で退陣時期について聞かれた菅は「大震災の復旧・復興には2011年度第2次補正予算も必要だ。新しい社会づくりに向けて、その方向性に一定のメドがついた段階」などと言い出したのである。「新しい社会づくり」なんて、耳を疑うセリフだ。そもそも、なぜ、震災と原発事故の最中に不信任案が出され、可決確実という情勢になったのか。

 この男に任せていたら、復興・復旧も原発の収束も無理だとハッキリしたからだ。それなのに、震災対応にメドがつくまで「やる」と言うもメドとは「新しい社会づくり」とかうをぷくのだ。「ふざけるな!」ではないか。だから、言わんこっちやない。時期がハッキリしない退陣表明なんかに惑わされず、「今すぐ辞めろ」と迫るべきだったのである。政治ジャーナリストの野上忠輿既はこう言った。

 「小沢陣営はきのうの朝の時点で83人を固めていた。この数を見せつけられて、管首相も退陣表明をせざるを得なくなった。しかし、その文言は巧妙に考えてあえて退陣の時期を明確にしなかった。非常に狡猾な延命策です。『震災対応をメドに』ということは震災対応をしているうちは続投ということ。 2ページにつづく

嫌われ者のペテン首相は一日でも早くやめさせろ
大震災を延命に利用しているのはミエミエ
「一定のメド」とは誰が決めるのか