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退陣の約束はしていないと
開き直る菅首相
会見全容
2001年6月2日午後10時
掲載月日:2011年6月3日
独立系メディア E−wave


冒頭発言

 (東日本)大震災の復旧・復興を進めている中で、本日、野党から私あるいは私の内閣に対する不信任案が提出をされました。

 国民の多くの皆さんは、国会は一体何をやってんだ、こういう思いを持たれた方も多かったのではないかと思います。

 しかし、これには私自身の不十分さも一つの大きな原因でありまして、国民の皆さんにおわびを申しあげたいと思います。幸いにして多くの方の反対で、特に民主党の大半の代議士の一致した反対で、大差で議決をされました。

 おかげで、内閣としては復旧・復興、そして原発事故の収束といった作業の、中断をすることなく、継続して取り組むことができる。大変ありがたく思っております。

 これからまだまだ不十分な点もある復興・復旧に向けて、改めて私自身、全力を挙げたいと考えております。

 その中で、今回の復旧・復興がただ、元のような社会に戻るということではなくて、思い切った新しい社会を目指す。そういう復旧・復興にしていきたいということを従来からも申し上げてまいりました。

 特に、エネルギー政策。今回、原子力発電所の事故を経て、多くの議論がわき起きております。そういった中で、原子力エネルギーに対する懸念、さらには化石燃料についても温暖化の原因となる、こういった問題を抱えております。

 この際、この2つのエネルギーを柱としたこれまでのエネルギー政策から、思い切って再生可能な自然エネルギー、そして省エネルギーを大きな柱として育てあげていく。そのこと自体が安全で、環境に優しい未来の社会を実現することにつながると考えております。

 特に、この再生可能な自然エネルギーと省エネルギーは、従来の大型火力、あるいは大型原子力発電所と異なって、多くの国民の、あるいは多くの生活をしている人の参加がなくては実現しないエネルギーであります。

 私は今回の大震災の中で、多くの皆さんが人と人との絆(きずな)、家族の絆、親子の絆、本当に深く考えられるようになったと思います。

 私自身も、震災前に比べれば息子たち夫婦や年老いた母親といろんなことを話す。そのことがかつては私にとってはあまり大きな時間を割くことができなかった、あるいはそうしなかったわけでありますが、そういう会話もなにか人間としての温かみを強く感じるようになりました。

 そういった意味で、そうした人間との絆をある意味、エネルギーの社会で実現するとすれば、一軒一軒にソーラーパネルを置いたり、あるいは家を建てるときに省エネのエネルギー、省エネのタイプの住宅を建てたり、地域社会でそういった地域の効率の良い、冷暖房システムを入れたり、そういう地域社会をベースとした絆の拡大にもつながると思うからであります。

 どうか今回の不信任案の否決によってぜひとも、改めて復興・復旧にあたる私たちの活動、そしてぜひとも野党の皆さんにも、それぞれ私にも不十分なところ、あるいは行き届かないところ、能力の不足するところ、多々ありますけれど、ここは復旧・復興が一定のメドがたつまで、そして原子力事故が一定の収束の段階まで、ぜひとも党派を超えてご協力をいただき、そして新しい安全で安心な社会作りにともに参加をいただきたい。

 改めて心からこうした場ではありますが、野党の皆さまにもお願いを申し上げたい。このように考えています。私に与えられたこの大きな国難ともいえる試練に対して、そうした夢のある社会を実現する覚悟で改めて取り組んで参りたいと、このことを国民の皆さまに申し上げたいと思います。

首相の退陣時期

質問
 首相の「一定のめどがついたら」という言葉について多くの民主党議員は退陣表明と受けとめている。首相はこの一定のめどはいつと考えているのか。また9月に予定している訪米はそのまま行くつもりなのか


 代議士会の場で私自身の言葉で申し上げたところです。

 言葉通り一定のめどであります。つまりは今復旧から復興に向かっているわけでありまして、その復興に向かっては(平成23年度)第2次補正(予算)も必要になりますし、あるいはいろいろな体制づくりも必要となります。

 さらには原子力事故の収束も残念ながらまだステップ1の途中であります。やはり安定的な形にもっていくにはまだ努力が必要だと思っています。そして、今申し上げた新しい社会作りというものに向かっていく、そういった方向性、そういうものに一定のめどがついた段階という意味で申し上げました。

 そして、わが党には50代、40代、30代の優れた仲間がたくさんおります。そういう皆さんに責任を移して、そしてがんばっていただきたいと、このように思って申し上げたところであります。

 訪米については、これから日米関係というものは個人の関係であると同時に、党と党の関係、あるいは国と国の関係でありますので、どういった形になるにしろしっかりと責任を持ち、あるいは責任を引き継いで参りたいと、このように思っています。

質問
 首相は新しいエネルギーを含めた社会作りに言及したが、それと退陣時期の関係はどうなのか。鳩山(由紀夫)前首相は2次補正、復興基本法案の編成のめどがついた段階で遠くない時期と主張している。新しいエネルギーを含めた社会作りというのは時期が長い印象がある。はっきりとどのあたりと考えているのか


 同じ答えで恐縮ですが、皆さん方も私の代議士会での話は直接かテレビかで聞かれたと思います。そこで申し上げた通りです。そして、その私が一定のめどがつくということについては、今直前のご質問にもお答えした通りです。

質問
 辞任する時期をめぐって確認だが、具体的な時期を言及しないと復興にめどがついていないと言えば、いつまでたっても辞めないことになるのではないか。そうなると誠実さを欠くのではないか。国民の理解や支持を得られると思うのか


 同じことの答えで恐縮ですけども、一定のめどがついた段階で若い世代のみなさんに責任を移していきたいということを申し上げたわけですから、その代議士会での私自身の発言に私自身責任を持つのは当然だと思っています

首相交代による信頼問題

質問
 日米関係で個人と同時に党と党、国と国との関係という話があったが、5年間で5番目の首相だ。日本のリーダーが頻繁に代わることによって国際社会において日本の信頼性や政策の信頼性が失われていく危険はあるか。こういった信頼性、影響力をどのようにして保っていくことができるのか


 一般的にはおっしゃるような心配を私も従来から持っておりまして、今後、議院内閣制をとっているわが国においても、せめてですね、大統領や知事の任期程度、4年程度はですね、1つの首相、リーダーが継続する方がそうした国際関係の中でも望ましいと一般的には思っております

民主党内の処分問題

質問
 不信任案についてほとんどの議員が反対に回ったが、2人が賛成し、小沢一郎元代表らが欠席した。採決の対応は議会制度の中で重要な位置を占めるが、造反の人にはどういう方針で臨むのか。政務三役で辞表を提出した人への対応は


 先ほど私も役員会に出席をし、また常任幹事会の冒頭にも出席を致しました。まあ、その中で、そうしたみなさんに対する党としての対応、処分については議論をいただいております。

 一部決まったところもありますけれども、まあいわば継続的に議論をする部分もあるとこのように報告を頂いています。

 また副大臣、大臣政務官で辞表を提出された方について、現在、辞表はお預かりを致しております。党のそうした処分の方向性を見定めながら最終的に私の方で判断をしたい。

 まあそれぞれ大変この間頑張ってきていただいている方ばかりだと思っておりますが、やはり党の一定のケジメというものが出た場合には、それも参考にして今後の対応を判断したいと思っております。

首相の退陣時期

質問
 原発事故に関して工程表の話も出たが、避難民の自宅への帰還を首相として見届ける考えか


 見届け………

 まず、工程表で言いますと、ステップ2が完了して放射性物質の放出がほぼなくなり、冷温停止という状態になる。そのことが私はこの原子力事故のまさに一定のめどだとこのように思っております。

 ただ、帰還の問題は必ずしもその時点ですべてが方向性が決まるかどうか、これはいろいろとモニタリングをしたり、あるいは除染をしたりということも含めてですね、もう少し時間がかかる可能性は十分あると思っています。

質問
 福島原発の事故の収束のめどについて冷温停止が一定のメドと言ったが、首相は自らの手で指揮を執って来年1月を目標としている冷温停止までをぜひやり遂げたいという意思表明なのか。鳩山前首相との合意文書の中には原発という文字は入っていないようだが、原発の収束も含めて鳩山前首相との間で合意ができたという認識か


 鳩山前首相との合意というのは、鳩山前首相が作られたあの確認書に書かれた通りであります。

質問
 そこには原発の文字は入っていない。首相の認識としては、ここまでも含むという…


  私が『一定のめど』と申し上げたのは、代議士会で申し上げたわけでありまして、私の申し上げている意味は、今、聞かれてましたので、お答えいたしました。

質問
 民主党代議士会の首相発言についての確認だが、退陣表明と受け止めたが、そうすると、中長期的な消費税とか民主党人事とか、内閣改造は、菅首相はやらないと受け止めたが、そういう理解でよろしいか


 代議士会で、そういった問題には何も触れておりません

質問
 一定のめど」は何度うかがってもハッキリ答えないので別の聞き方をするが、一定のめどで辞めるのは首相か。議員か

 同じお答えになって恐縮なんですが、私が代議士会というオープンな場で、大勢の代議士、あるいはマスコミ関係者の皆さんもおられるところで、申し上げたわけでありまして、ぜひ、その私の発言からお読み取りを頂きたいと思います。

質問
 国会会期だが、菅首相は先日、自民、民主両党の議員に大幅延長を言及したが、どれくらい伸ばす考えか


 今回のこの大震災という状況の中で、国民の皆さんからやはり国会で必要なことは、いつでも議論できるようにしてほしいと。そういうご意見をいただいています。それに答えるとすれば、事実上の通年国会。12月のある時期までということになろうかと思います。

質問
 鳩山由紀夫前首相との合意の内容は、確認書にある通りだと。何を確認した文章なのか。鳩山前首相は、ここに書いてある復興基本法案の成立と第2次補正予算の早期成立にめどをつけることが辞任の条件だと。鳩山前首相との間で確認したのか。そこをきちんと言わないと、政権運営は透明性をもって進めていくと言った首相だから…

 鳩山前首相との話では、あの合意事項という文書に書かれた以外の何らかの約束とか一切ありません。

質問
 何を確認したものか

 あそこに書かれた通りです。

質問
 そうなると、鳩山前首相が述べた「復興基本法案の成立と2次補正の編成のめどがついた時点で辞めていただく」という発言は間違いということでよいか

 私は、私が特に公の席でしゃべったことについては、当然ですが、自分として責任を持たなければならないと思っています。鳩山さんとの合意というのは、あの文書に書かれた通りでありまして、それ以上、私が申し上げることはやっぱり控えた方がいいと思います。

質問
 原発事故の収束について一定のめど」とするのは国民の多くが望んでいるが、国民のために一刻も早く努力するという受け止めでよいか


 原子力事故を『ステップ2』の冷温停止、そして放射性物質がほぼ出なくなるところまで持っていくために全力を挙げると。一刻も早い実現を目指すと。当然の私の責任だと思っています。

質問
 先ほどから聞いていると、首相はしばらく続投して、復興とか原発事故についても責任を持ってやりたいという意向のようだが、ねじれ国会である以上、野党の協力を得ないといけないと思うが、具体的に考えているのか。被災地の問題で1日も早く急いでいる法案がたくさんあるが


 先程申し上げたように、ぜひ、野党の皆さんにも、この大震災の復旧・復興、原子力事故の収束のために一緒に協力しあってやっていただきたい。こう考えております。ま、具体的なことは、それぞれの政調会長とか国対委員長とか、いろいろと努力をしていただいていますし、私も必要な努力はさらにしなければならないと。こう思っています。

質問
 さきほど「不十分な点もずいぶんあった」という発言があった。原発対応や、党内をまとめていくことの2点について、どういう点を反省して、どのように改めたいと思っているのか


 まあ、不十分な点というのは、あの、こう、ある意味で全体を通して、もちろん100点満点であるとは私自身も思っておりませんので、そういう点で不十分な点があったと申し上げたんで。何か個々にこれとこれとかですね、そういう風に申し上げる、そういう性格のもんではないと思います。

質問
 原発は1号機から3号機までメルトダウンしていたことが明らかになったが、首相はいつ、この事実を知ったのか。また、事故直後に住民の避難を果断に行わなかったのはなぜか。地元住民の中には、もしこの事実を早く知り、政府が(福島県)飯舘村などを含めて果断な避難措置を講じていれば、不必要な被曝をしないで済んだ人もいたはずだ。こうした事実を知っていながら行えなかったとすれば、首相の責任は大変、重いものだ。その責任についてどう考えるか


 まあ、この問題は国会でも、かなり詳しく質問をいただきまして。まあ、そのときは資料をですね、きちんと持ってお答えをしてまいりました。ですから、正確なこの、時間とか日付とか、そういうことを今、用意をしてきておりませんが、私が申し上げてきましたのは、東電が、5月に入ってからだったと思いますが、いわゆる建屋の中に入って、そしてその、コントロールタワー、コントロールの部屋に入って、水位の、この、計器を回復させて、そうすると、従来、1号機でありますけれども、燃料棒の3分の2程度まで水位があるとされてたものが、ずーっと下で、燃料棒は全く本来の位置にあるとすれば、まったく水位よりも上にあるということが判明して、それを分析した結果、早い段階でメルトダウンをしていたという、そういう結論を出されました。

 まあ、政府としては、その事業者の報告、それを原子力安全・保安院にも、いわば、それを認めるという形になりましたので、政府としてもその段階で正式にメルトダウンを認めたわけであります。ただ、早い段階から官房長官も、この場の記者会見等で、その可能性については触れていたと認識をしております。

 また私自身もですね、当然、まあ、東電からの報告、あるいは保安院からの報告、あるいは安全委員会からの報告は、きちんと聴いておりますけれども、少なくとも報告があったものは聴いておりますが、それ以外の意見もいろんな方から聴いておりました。そういう、いろんな意見の中には、メルトダウンの可能性を早い段階から指摘をされていた方もあり、私の中にも、その可能性について、そうした方からの知識は入っておりました。

 しかし、政府の責任者、あるいは本部長という立場で言えばですね、確認されるデータは、その時点では水位がまだ燃料棒の3分の2まであるということをベースに報告されてきているもの以外には、そういう確認できるデータはありませんので。やはり、政府の、あるいは本部長という立場でいえば、その確認されたものを基本として申し上げてきた。

 しかしあらゆる可能性については、分かる範囲でいろいろな方から可能性を聞いておりました。まあ、そのうえで、いずれにしても、冷却機能が停止をして、15条が発動されたわけでありますから、冷却を何としても続けること、それにはいわゆる通常の冷却システムの復活が、極めて困難だということで、直接原子炉に水を注入する、そういう作業を始めて、今日まで継続をしているわけであります。

 その結果、それぞれ若干の差はありますけれども、現在、1号機、2号機、3号機の原子炉の温度は、まあ、かなり低い水準で、ほぼ維持をされている。そういう冷却のために注水を続けるという作業については、一時たりともそれを緩める、そういうことを判断したことは私もありませんし、もちろん、原子力保安院や原子力安全委員会や東電の皆さんも、一致してその必要性を考えておられましたので、そういう態度を取ったところであります。

 なお、計画的避難区域の問題について、これも基本的には、分かった情報の中で、必要な避難をお願いする、そういう姿勢で臨んできたところです」

 了