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東電、原発公聴会に社員を大量動員!?
青山貞一
掲載月日:2013年4月6日
 
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁

 案の定というか、やっぱり東京電力も九州電力同様、原発関連の公聴会に社員を送り、原子力政策、原発開発などに賛成する内容の公述をさせていた疑いが高まった。

 これは下の記事にあるように、平成17年8月に内閣府の原子力委員会が福島市で開いた、原子力政策の方向性を示す「原子力政策大綱」について、市民の意見を聞く公聴会で、出席した135人のうち、およそ4分の1の35人が東京電力の社員や東電の関係者であることがわかったという。

東電 原発公聴会に社員動員か
  NHK 4月5日 17時39分 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130405/k10013707551000.html

 国の原子力委員会が8年前に福島市で開いた原子力政策について、市民から意見を聞く公聴会で、東京電力が社員らに参加を促して、発言させていた可能性があることが分かり、会社が調査を始めました。

東京電力によりますと、平成17年8月に内閣府の原子力委員会が福島市で開いた、原子力政策の方向性を示す「原子力政策大綱」について、市民の意見を聞く公聴会で、出席した135人のうち、およそ4分の1の35人が東京電力の社員や関連会社の関係者だったということです。公聴会では出席者が意見を述べることができましたが、23人の発言者のうち、6人が東京電力の関係者だったということです。

これについて東京電力が社員に参加を促して、原子力の推進を支持する発言をさせた可能性があることが分かり、会社は当時の関係者から聞き取りを行うなどの内部調査を始めました。当時の議事録によりますと、原発の安全性に不安を訴える発言があった一方で、原子力を推進する大綱の案に賛同する発言も複数ありました。東京電力は近く調査結果をまとめ、公表するとしています。

公聴会を巡っては、同じ時期に佐賀市で開かれた会で、九州電力が社員などを動員し、原子力の推進を支持する発言をしていたことが明らかになっています。

 九州電力では、公聴会だけでなく、玄海原発に関連するシンポジウムで、東京大学大学院の教授が同じパネリストの京大の小出助教を罵倒するだけでなく、「プロトニウムは飲んでも平気」という主旨の発言をしたことで大問題となった。

 察するに当時は、九州電力、東京電力に限らず9電力のすべてでこの種の社員や関係者によるヤラセ発言がまかり通っていた可能性が高い。

 なお、この種の公聴会や環境アセスメントに関連した公聴会では、公述人の選定に際し、表向きは抽選としていながら、実際は電力会社や開発事業に関連する”住民”が公述人となり、政策や事業に賛成する意見を述べることが常道化していると言ってよい。

 下図は国民の民度を計るひとつの重要な物差しとして米国の社会学者シェリー・アーンシュタインが提案している「参加の梯子」である。 下図はアーン・シュタインの「8段階の梯子」を私なりに少々手直しして、大学の講義(公共政策論など)で使っているものだ。

8 市民による自主管理 Citizen Control 市民権利としての参加・
市民権力の段階

Degrees of
Citizen Power
   ↑
7 部分的な権限委譲 Delegated Power
   ↑
6 官民による共同作業 Partnership
   ↑
5 形式的な参加機会の増加 Placation 形式参加の段階
Degrees of
Tokenism  
   
4 形式的な意見聴取 Consultation
   ↑
3 一方的な情報提供 Informing
   ↑
2 不満をそらす操作 Therapy 非参加・実質的な
市民無視

Nonparticipation
   
1 情報操作による世論誘導 Manipulation
図1  「民度を計る」ための8段階の階段
原典:シェリー・アーンシュタイン(米国の社会学者)
青山修正版

 図1に関連して日本はどうかといえば、おそらくせいぜいレベル5、すなわち形式的な市民参加の増加であるが、その実態は、レベル1、すなわち情報操作による世論誘導ではないだろうか。

 都市計画や環境アセスメントなどにおける市民参加、さらに国や自治体が行うパブリックコメントでも、多くの場合は、レベル2の<不満をそらす操作>かレベル4の<形式的な意見聴取>であることが多い。

 さらに、公聴会やシンポジウムではないが、10年前には、東京でも一般市民を対象にお弁当とバス付きの原発施設見学が行われていた。

 東京の23区部でも町内会や自治会に話が持ちかけられていた。私が住んでいる東京都品川区でも、浜岡原発を対象としたお弁当とバス付きのツアーが行われていた<実績>がある。

 ヤラセの公聴会や弁当付きバスツアーをする方も問題だが、簡単にそれらに引っかかる側も問題と言えば問題ではなかろうか?

 これは私達がここ数年、問題視している、日本国民の70%は無思慮に新聞やテレビなどのマスメディアの報道内容を鵜呑みにしている現実に通ずるところがあると思う。