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支離破裂、石原慎太郎
日本維新の会共同代表インタビュー
青山貞一
掲載月日:2013年4月6日
 
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁

 朝日新聞が石原慎太郎日本維新の会共同代表にインタビューした記事が掲載されていた。

――維新綱領は憲法を「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)めた」としています。これには異論があります。

石原慎太郎
 「日本は周辺諸国に領土を奪われ、国民を奪われ、核兵器で恫喝(どうかつ) されている。こんな国は日本だけだが、国民にそういう感覚がない。日本は強力 な軍事国家、技術国家になるべきだ。国家の発言力をバックアップするのは軍事力であり経済力だ。技術が経済をつくる。経済を蘇生させるには防衛産業は一番 よい」

 「例えば、米国が今開発している『コンベンショナル・ストライク・ミサイル』 という全地球測位システム(GPS)を駆使して完全に命中する、遠距離を飛んで一度宇宙空間に出てから下降してくる兵器が日本なら開発できる。そういうものを本気で考える時期にきているんじゃないか。核武装を議論することも、これからの選択肢だ。日本が核を持つためにはいろんな障害はある。しかし、今の国 際社会は核を持ってない限り発言力がない。持っても使いませんよ。使ったらえらいことになるから」


 上記については、唖然、呆然だが、昨日(4月5日)夜、BSフジで行われた反町氏司会の番組、プライムニュースの大阪市の橋下市長インタビューでも、この問題が取り上げられた。

 橋下市長は、いつものレトリックで軍事を防衛と考えれば、石原慎太郎共同代表がいっていることは正論ではないですか、などと言い逃れしていた。しかし、いくら石原慎太郎だからと言って、公党の代表の発言とは思えない発言だと思う。

 しかも、石原氏のへりくつは、だから日本国憲法がいけない→日本国憲法を変えるべきだ→憲法86条の2/3条項を1/2に変えるべきだと、まるで小学生並のお粗末な論理のすり替えで、憲法改正を叫ぶことになる。 また核保有国論も同様だ。

 これは何も石原氏だけでなく、自民党や維新のタカ派に共通している点であろう!

 まるで理性も、知性も感じられない幼稚な言い分であり、北朝鮮の幹部と同じ思考回路である。

――夏の参院選では憲法改正が争点になりますか。

石原慎太郎
「争点にしなければいけない。日本は世界で孤立し、相手にされなくなっている。国内では我欲がはびこり、権利を主張するばかりで義務がないがしろにされる。こういう日本人のメンタリティーとゆがんだ価値観をつくったのが憲法だ。国際的に地位を確保するためにも、憲法を改正しなければならない。それが衆院で3分の2を占める安定政権の責任だ」


 このインタビューでは、多くの論点について記者が質問していたが、石原氏が、ただひとつまっとうな回答をしていたのは、以下だと思う。 

――衆院の選挙制度は小選挙区定数の「一票の格差」を是正する「0増5減」案をめぐって、与野党が対立しています。選挙制度はどうあるべきですか。

石原慎太郎
 「選挙制度はよく分からないし関心もない。もともと、おれは小選挙区反対の中選挙区論者だったから。理想的には、ドイツみたいに三大政党になって、その 間に緑の党みたいにスパイシーな政党があること。その意向を斟酌(しんしゃく)することで健全な政策が出てくる」
 「しかし、この国は本当につまんない国になってきたなあ。(昨年の衆院選で 維新の候補者選びの委員長を務めた)竹中平蔵氏なんてインチキだろ。あいつ後輩だけど、言ったんだよ。『お前、アダム・スミスの国富論を読んだことねえだろ。お前の言っていることは全部間違っているよ』。そしたら『そうですかねえ』って。市場原理主義を採用したのが本当に間違いだ」

 とりわけ後半の「この国は本当につまんない国になってきたなあ。(昨年の衆院選で 維新の候補者選びの委員長を務めた)竹中平蔵氏なんてインチキだろ。」は至言である!

 一方、5日夜のBSフジのプライムニュースに出演した橋下大阪市長は、小泉元首相をどう思うかという質問に対し、「すばらしい政治家だ」と絶賛していた。実際、橋下市長は、維新の国会議員候補選択のトップに、竹中平蔵氏を使っていた。

 となると、いつものように共同代表である石原氏と橋下氏は、他の論点、政策でもそうであるように、思考が180度異なる人物が共同代表となっていることになり、支離滅裂、支離破裂そのものである!

 こんな政党に投票する国民の気が知れないが、それほど今の日本は国民全体が思考停止となっている証左であるかも知れない。