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今回の福島第一原発大事故に関連し、東電とともに経済産業省、保安院、原子力委員会、原子力安全委員会などの行政関連組織、そして御用学者らの言動が一気に問題となっている。いうまでもなく「安全神話」や「健康に問題ない」などである。 また東日本大震災に関連し、地震、津波など気象庁の警報のあり方が問題となっているのは周知の通りである。 日本では、どうみても人災であるものが、天災、しかも想定外などという言葉で簡単に片付けられ、当事者はいつも過失を逃れようとしている。 しかし、私はこと原発事故に関しては、事故という側面だけでなく、業務上過失傷害、業務上過失致死など刑事上、すなわち事件という側面からも対応すべきであると問題提起してきた。 安易に「天災」や「想定外」がまかり通れば、膨大な税金、公金を使って設置、運営されている御用学者による委員会や省庁の付置組織、外郭団体は、いつも何ら責任を問われず、事故が起きる度に焼け太りするだけだ。 今までさんざん、東電の先兵として安全神話をまき散らしてきた工学系の東大などの大学教授らは、一方で大マスコミに出て「問題ない」「ただちに健康に影響がない」など、自分の専門を超えて権威をかさにきて、新たな安全神話をまき散らしている。一方、プルトニウムは飲んでも問題ないとか、微量な放射線は健康によいなどと言ってきた、大学教授は押し黙っているようだが、とんでもないことだ。 しかも、それらの大学教授や専門家、研究者、総じて御用学者は、国、独立行政法人、電力事業者らから巨額の研究資金を得、それを広報機関として報道する大マスコミは電気事業者から巨額の広告費を得ている。 その意味で、まさに原子力村は、「政官業学報」にかかわる利権、既得権益の拠点である。 そんな中、イタリアで興味深い事件が起きた。 2009年4月にイタリア中部で起きた大地震に関連し、イタリアで国防災庁付属の委員会が事前に大地震の兆候がないと判断したことが被害拡大につながったとして、過失致死傷の罪で委員会メンバーの学者ら7人を起訴したことが分かった。 以下の記事にあるように、地震予知の失敗で刑事責任が問われるのは、世界的にも異例とみられるが、地震予知はまだしも、原発事故に関しては、永年、安全神話を大マスコミと連動し、日本中に垂れ流してきた原子力村の東京電力(独占企業)や原発関連委員会の委員長、委員らにも業務上過失傷害や業務上過失致死の罪がないのか、地検は真剣に考える必要がある。
ティベリ川の河畔にある最高裁判所 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 ティベリ川の河畔にある最高裁判所の屋上にある馬の像 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 電源などの喪失や機器損壊とともに、高レベルの放射線や漏洩水により作業員が影響、被害を受けていることは周知の事実であり、今後、5年〜15年の間に白血病、がんなどにより多くの作業員が亡くなる可能性も否定できない。 御用学者らが「安全性」を力説してきた原発で、なぜ、かくも高レベルの放射線や漏洩水が発生し、作業員が被曝するのか? 本来起きるはずのない事故が起き、その対策のために膨大な数の作業員が毎日作業する中で、高レベルの放射線や漏洩水から被曝を受けるのか? それらは過失、重過失ではないのか? また人体影響、被害については、従来のように因果関係が明確でないとしてヒラメの裁判官が対応するのは目に見えている。 今回の福島原発ではそうはいかないだろうし、東電が見舞金などでお茶を濁すことがあってはならない。 その意味でも、日本の警察、検察など司法当局は、イタリアを見習い原子力村の東京電力(独占企業)や原発関連委員会の委員長、委員らにも業務上過失傷害や業務上過失致死の罪がないのか、地検は真剣に考える必要があるのではないか。 少なくとも現場検証、証拠保全をバンバンすべきではないのか? 多くの弁護士は、中小事業者への仮払いや金銭的損害賠償に関連しがんばっているが、同時に現場における過失による労働者らへの高レベル放射線の被曝を徹底的に司法当局は監視しなければならない。 そうすることにより、超無責任な「原発安全神話」に対して、法的な抑止力も発揮することが可能となる。
ところで、私たちは今年3月9日から18日まで、大震災と原発事故の真っ最中、たまたまイタリアに滞在していたが、イタリアという国は、見習うべき点を多くもつ国だと思う。 行けば行くほど、それを強く感ずる。これについては別途論考を書きたい! |