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今回、自民党政権となって昨日、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の委員が替わりました。 以下が従来及び今回の委員リストです。人数を減らしたのはまだしも、原発再稼働、新規立地に向けた露骨な人選となっていると思います。多くの脱原発を主張してきた委員が外され、他方、原発推進ごりごりの福井県知事が新規に入っています。 これでは、国民のおそらく70%を占める脱原発に向けた意向を審議することは困難ではないかと思われます。現下の日本では、最低限、基本的なスタンスとして原発容認派と脱原発派を50%、50%とすべきであると思います。 もちろん、一般国民が一見すると誰が原発推進派ないし原発容認派であり誰が脱原発ないし慎重派であるかは分からないかも知れません。しかし、書かれた論文、論考、著作、講演、シンポジウムのパネリストとしての発言などを見れば、これは明らかです。 また利害にとらわれず、利益相反でない第三者的立場を堅持し見識、知性をもった方、さらには哲学、倫理学などを専門とする方も委員とすべきだと思います。 ◆総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の新委員会 ●は新規委員 三村明夫新日鉄住金取締役相談役、 豊田正和日本エネルギー経済研究所理事長、 柏木孝夫東京工業大学大学院教授、 中上英俊住環境計画研究所所長、 橘川武郎一橋大学大学院教授、 松村敏弘東京大学教授、 山名元京都大学原子炉実験所教授、 ● 寺島実郎日本総合研究所理事長、 秋元圭吾地球環境産業技術研究機構 システム研究グループリーダー、 植田和弘京都大学大学院教授、 増田寛也野村総合研究所顧問、 ● 崎田裕子ジャーナリスト、 志賀俊之日産自動車COO、 ● 辰巳菊子日本消費生活アドバイザー・ コンサルタント協会常任顧問、 西川一誠福井県知事 ● (計 15名) ◆総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の従来の委員会 ●は今回外された委員 総合資源エネルギー調査会基本問題委員会 三村 明夫 新日本製鐵(株)代表取締役会長 阿南 久 全国消費者団体連絡会事務局長 ● 飯田 哲也 NPO法人環境エネルギー政策研究所所長 ● 植田 和弘 京都大学大学院経済学研究科教授 槍田 松瑩 三井物産(株)取締役会長 ● 枝廣 淳子 ジャパン・フォー・サステナビリティ代表 幸せ経済社会研究所所長 ● 大島 堅一 立命館大学国際関係学部教授 ● 柏木 孝夫 東京工業大学大学院教授 金本 良嗣 政策研究大学院大学教授・学長特別補佐 ● 北岡 伸一 東京大学大学院法学政治学研究科教授 ● 橘川 武郎 一橋大学大学院商学研究科教授 河野龍太郎 BNPパリバ証券経済調査本部長・ チーフエコノミスト ● 榊原 定征 東レ(株)代表取締役会長 ● 崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長 菅家 功 日本労働組合総連合会副事務局長 ● 高橋 洋 (株)富士通総研主任研究員 ● 辰巳 菊子 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・ コンサルタント協会理事 田中 知 東京大学大学院工学系研究科教授 ● 寺島 実郎 (財)日本総合研究所理事長 豊田 正和 (財)日本エネルギー経済研究所理事長 中上 英俊 (株)住環境計画研究所代表取締役所長 東京工業大学統合研究院特任教授 八田 達夫 大阪大学招聘教授 ● 伴 英幸 認定NPO法人原子力資料情報室共同代表 ● 松村 敏弘 東京大学社会科学研究所教授 山地 憲治 (財)地球環境産業技術研究機構理事・研究所長 ● もとより、日本では政権を問わず審議会、委員会などの委員や独立行政法人の長などの公職者を「官僚」の裁量の下で選んでいます。このようなあり方を変えないと、いつになっても審議会、委員会は存在意義を失ったままであるとともに、まもとな議論ができないと思います。 これに関連し、私は昨年、胆嚢がんで若くして亡くなられた日隅一雄弁護士と「審議会革命」という以下の著書を発刊しています。この著作は英国における公職者を選定するコミッショナー制度をテーマにしています。 ◆審議会革命〜〜英国の公職コミッショナー制度に学ぶ〜、現代書館 の概要は以下にあります。 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col8559.htm 日隅一雄翻訳、青山貞一監修 「審議会革命」英国の公職コミッショナー制度に学ぶ 現代書館 英国では日本でいうところの審議会、委員会、独立行政法人などの委員や長を選定する際、官僚主導ではなく、まさに利害にとらわれず、利益相反でない第三者的立場、見識、知性をもった人材を選定するための開かれた手続をもっています。 日本では、過去、パブリックコメント、独立行政法人など英国から様々なものを移入してきましたが、この公職コミッショナー制度の導入についてはいまだまったく議論すらされていません。 もっぱら、仮に今の日本に公職コミッショナー制度が導入されても、いつのまにか官僚主義に毒され国民のために機能しなくなってしまうという問題がないわけではありません。その理由は、果たして今の日本に、利害にとらわれず、利益相反でない第三者的立場、見識、知性をもった人材を選定するためのコミッショナーが存在しうるのかという深刻な問題があるからです。 |