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以下は青山貞一のFacebookでの問題提起と議論の一部です。 以下は友人の岡部一明さんのデータである。岡部さんは永年米国のカリフォルニア州のカリフォルニア大学バークレー校におり、その後、帰国し大学教授、通信社の記者などを歴任している。 その岡部さんのデータは、確かに古い。しかし、この議員数と給与の額は州法や条例で定められているので、日本のように議員のお手盛りで給与(歳費)を増やすことはできないからだ。 米国の市議会の議員数や給与を変える場合には、イニシアティブ、レファレンダムなどにより市民投票にかけられるからである。 一般的に言って、米国の市民は議員の数や給与を増やすことには慎重というより反対が多いので、給与増額というプロポジションが提起されても反対が多く、却下される。その根底には、北欧などと同様、本来基礎自治体の議員はボランティア、せいぜい兼業の一部で仕事が終わってから夜に議会を開催するというボランティア意識が根強いからである。 <参考1>岡部さんからの論考とデータ 市議はボランティア 岡部一明 はじめに 米国の地方議会、とくに市議会の議員数は、表1にあるように通常5〜6人、よほどの大都市でも10〜20人だ。報酬も何と数万円のところが多い。その実、市議会議員はボランティアに近いところが多いのである。 米国には日本のように地方自治法がない。連邦国家であることもあり、州ごとの地方自治が行なわれていると言ってよい。だから「米国ではこうだ」と言えない。 たとえば、カリフォルニア州では政府法(Government Code)が自治体や地方議会について規定している。ただし、カリフォルニア州内にある約500の自治体のうち、大都市を中心とした約2割の自治体は独自の市憲章をもっている。残り8割の自治体は市憲章をもたない「一般法準拠市」(General Law City)となっている。 1.カリフォルニア州基礎自治体の議員数 カリフォルニア州の政府法は、市議会議員数を5人と規定している(Government Code, Sec. 36501)。大都市の憲章市の場合、例えばロサンゼルスが15人、サンフランシスコが11人、サンノゼが10人などである。残りは全部10人以下となる。一般的に言うと人口数10万規模の自治体では7〜8人、10万以下になると5人が標準となる。 市議の数が少なくなると、市議会の性格が変わるように思う。米国の市議会は、日本の市議会に比らべると「裁判所」のような感じがする。市民が「証言」としていろいろな発言し、それをじっくり聞いて前に座った裁判官のような市議が「判決」を下す、と言うように市議会の決議をしていく。場合によるが、市議会の半分は市民の発言する時間といってよい。 日本で住んでいたある小都市で1回だけ市議会の傍聴に行ったことがあるが、10万程度の街でそこには25人の市議が居て、私が傍聴席に入って行ったらいっせいにジロッとこっちの方を見た。他に誰も傍聴者がおらず、あやしげなおっさんたちが、隔離された場所で何かやっている、という印象をもった。つまり、日本の市議会(一般に議会)は市民参加の場所ではなくて、特別の集団が集まって何かやっている場所であった。むろんこう対極的に言うと語弊はあるが、比較するとそんな違いがあるように思う。 米国基礎自治体の人口と市議会の市議数
2.市議会議員の給料 サンフランシスコの11人の市議の年俸は24000ドル(正確には23924ドル、日本円にして約250万円である)。この額は、1982年から変わっていない(それ以前は年9600ドル。日本円にして110万円程度)。市の憲章で市議の給料は「ハーフタイム」(フルタイムの半分の勤務)の給料と規定されている。 カリフォルニアの政府法では、市長・市議の給料を下記資料(Government Code, Sec. 36516)のように規定している。次の基準に基づいた給料にして、この枠以上の給料にする時は住民投票が決めなければならない、ただし年5%以下の増額にする場合は市議会決定でもよい(市議の中から選ばれる)市長への特別手当は市議会決定でもよい、などということのようだ。 表2 市議の報酬 人口35,000人以下の市 月$300以下 人口35,000-50,000人の市 月$400以下 人口50,000-75,000人の市 月$500以下 人口75,000-150,000人の市 月$600以下 人口150,000-250,000人の市 月$800以下 人口250,000人以上の市 月$1,000以下 月$1,000以下註:日本円に換算すると、月給として3万3千円〜11万円と言うことになる。 <参考2> スウェーデンの地方議員 「スウェーデンは大きな政府」と言われるが、正確には「小さな中央政府と大きな地方自治体」と言える。 スウェーデンの地方政治家のほとんどが「政治家」とは別にそれぞれの職業をもっている。つまり、兼業議員が多い。(国会議員は半分がフルタイムで働く)政治家としての給料は、公的な会議へ出席した時間で計算される。市議会は月に1度、各委員会の会議が毎週あるとしても、政治家だけの給料ではとても生活できない。 出典:『スウェーデンの政治 〜デモクラシーの実験室〜』 (岡沢・奥島編、早稲田大学出版部) |