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ところで、荒川区都立尾久の原公園といい、江戸川・江東にまたがる大公園(都立大島小松川公園)といい、70年代に都が購入した工場跡地にダイオキシン類や高濃度の六価クロムなどの基準値の1000倍以上もの超猛毒な化学物質が住民の生活に極めて近い土壌や池の水、側溝の泥などから検出されています。 いずれも、この1年に見つかった土壌汚染は、超がつくほど高濃度の有害化学物質であるにもかかわらず、東京都の対応はなんとも「おそまつ」としか言いようがありませんr。
東京都の対策を見ると、<対策は、封じ込め>とありますが、当然のこととして、汚染を除去しない対策は、後々、周辺土壌、雨水、地下水、たまり水、底泥などを汚染することになり 、びほうさく(弥縫策)でしかありません。住民の不安はいつまでも続くことになります。 さらに、汚染は下水処理場を経由し、荒川や東京湾などの公共用水域を汚染する可能性もあります。またいわゆる濃度規制では川や海にたまる総量は規制できません。 一口で言えば、臭いものに蓋をし、情報を隠蔽しているのです。これではリスクアセスメント、リスクマネージメント、リスクコミュニケーションのイロハがなされておらず、公園で遊ぶ子供や幼児、お年寄りなどが絶えずリスクにさらされることになります。 どうしようもないほどお粗末な工場跡地政策であり、またEUなどで一般的な予防原則からほど遠い保身的な環境政策といえます。当然のこととして、まともなリスク管理とはなっておらず、社会的な責任をまったく果たしていないと思います。 2013年3月に東京農工大の研究グループの調査で分かった高架橋下の集水枡から採取した水試料の六価クロム濃度は、最高で153ppmとされ、環境基準1リットルあたり0.05ミリグラム(0.05mg/L=0.05ppm)の3千倍以上となりましたが、その後、東京都が周辺の土壌(泥土)を採取して溶出調査しています。その結果は、6月に発表されています。
サンプルと分析方法が違う、すなわち東京農工大は水サンプルを分析しており、東京都は升(ます)の中の泥を溶出分析しているという違いがあるとしても、東京農工大の調査チームが環境基準(0.05mg/L)で評価しているのに対して、東京都は集水枡の泥土について「特別管理産業廃棄物」の判定基準である1.5mg/Lで評価していることは、都民には分かりずらいことになります。場合によっては情報操作による世論誘導と受け止められかねないものと思います。 住民が普通に通行する歩道にある集水枡の底にある土が「特別管理産業廃棄物」というのは理解に苦しみます。こうした小手先の情報操作による汚染実態の隠蔽は極めて悪質であると言われても仕方がありません。 そもそも、この問題は昨年2012年の暮れに東京都が六価クロムの漏出を発見していたにもかかわらず、都民に公表していなかった問題に端を発しています。以下、毎日新聞の記事を示しますが、環境基準の220倍が検出されているにもかかわらず、都の担当課長は「周辺への飛散はなく、公表の必要はないと判断した。」と述べていることが都の姿勢を表していると思います。
まぁ、今の日本いや東京では、オリンピック開催に舞い上がるあまり、おそらく人がバタバタと死なない限り、何らまともな対策とらず、まさに臭いものに蓋をするようなお粗末な対策をするのが精一杯なのでしょう。 今回の現地調査地点のそばには、東京都千代田区から移ってきた東京都環境科学研究所(旧東京都公害研究所)があります。しかし、荒川区東尾久の超高濃度ダイオキシン問題でも、今回の江戸川区小松川の超高濃度六価クロム汚染でも、東京都環境科学研究所の研究員らは、オリンピック開催に舞い上がり、開催を制約するような環境問題には目をつむる保身的都行政に押され、何ら本来の役割を果たしているとは言えないのではないかと危惧します。 その昔、東京の公害問題に敢然と立ち向かった頃、多くの友人が東京都公害研究所でがんばられていました。しかし、今や見る影もありません。 下は調査完了後の池田です。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-10-11
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