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■４：米ソ冷戦下の駆け引き
〜戦犯免責の行方
◆女性アナウンサー
しかし戦後裁かれることもなく、事実はこれまで封印されてきましたそれはなぜなのか。其の裏には、日本、アメリカ、ソ連の熾烈な駆け引きがありました。
◆アメリカ人ジャーナリストジョンパウエル。
「もっと前から明らかにならなかったのは、日本とアメリカ政府が隠したからです。」
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
この発言を裏付けるかのように、アメリカが中国の常徳での細菌戦を戦時中から既に知っていたことを示す文書が慶応義塾大学の松村教授によって発見された。
◆慶応大学 松村高夫教授
「結論的には日本軍が、落としたことによって、ペスト菌を撒いたことによって、ペスト患者が出たと言うことは、ほとんど間違いないというようなことですね。」
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
さらに驚くべきことに、アメリカのダグウェイ軍事基地が保管している文書の中には、731部隊の人体実験に関する詳細なデータを記した文書まで眠っていたのである。およそ700頁にものぼるこの文書の中には、実験で標本にされた人体の顕微鏡写真の一部まで含まれていたのである。
実は、この人体実験のデータを巡って、終戦直後から日米ソの三国間で熾烈な情報戦が展開されていたのである。
−−CMの後 〜戦犯免責の行方．．．
終戦後アメリカは、マッカーサー上陸の二日前に日本軍の秘密兵器開発の実態を調査させるため、細菌研究の専門家マレー・サンダース軍医中佐を日本に派遣した。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
横浜港に上陸したサンダース中佐に、通訳兼情報提供者として旧陸軍省から派遣されたのは、元731部隊の内藤良一（元軍医学校教官）、後のミドリ十字会長と大政翼賛会の（元衆議院議員・外交官）亀井貫一郎元代議士だった。亀井は戦時中、731部隊の風船爆弾の開発に協力していた人物であるが、この内藤と亀井がGHQとの間で、したたかな戦犯免責の交渉を展開していくのである。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
当初サンダースが亀井や内藤から紹介されて尋問したのは、実態について、ほとんど何も知らない関係者ばかりであった。業を煮やしたサンダースは、ついに内藤に脅しを掛ける。「このままでは、私は本国に帰り彼らは調査を拒否していると報告せざるを得ない。この場合、どんな事態が起こるかわからない。しかし皆がもし真実を語るなら、其の秘密を守り、戦争犯罪人として訴追しないことを約束する。」（常石敬一著 「医学者たちの組織犯罪」より）
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
このサンダースの脅しに慌てた内藤は、翌日驚くべきメモを提出してきた。そこには天皇を頂点とした日本の細菌戦の命令系統図などが詳しく記されていたのである。初めて得られた具体的な情報に興奮したサンダースは、直ちにマッカーサーに内藤らの戦犯免責を提言する。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
◆元軍医中佐マレー・サンダース氏
「私は、内藤の所に戻り、マッカーサーの取り計らいにより、アメリカは細菌戦に関わった人々に対しては、戦争犯罪人としての追求は行わないと伝えました。この効果は絶大でした。その後、一挙にデータが出てきた。」
新妻清一陸軍中佐「マ司令官綴り」（字幕）
サンダースが内藤らに口頭で、免責を与えた事実は、日本側の記録にもはっきりと記されている。サンダースはこの内藤メモをもとに関係者の尋問をするが、真相は隠し通された。結局、石井四郎の中将の行方も人体実験の事実もつかめないまま、帰国した。帰国後サンダースは報告書の中で、「日本は生物兵器開発に失敗した」と見なしている。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
その頃、都内に潜伏していた石井四郎と731部隊の幹部は鎌倉でサンダースの帰国直後に密かに米軍と２回目の戦犯免責の交渉を行い、合意に達したと言われている。この会談について、直接内藤から話を聞いたことがある神奈川大学の常石教授はこう見ている。
◆神奈川大学教授 常石敬一氏
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
「自分は出ていないから知らないが、ただ、石井はそんなことをやったらしいねということをおっしゃってました。
731部隊の細菌兵器のノウハウをめぐっての日米間の取引、戦犯免責とデータの交換、そうしたことは鎌倉で行われたのだろうと推測出来ます。」
ところがその後、晴天の霹靂とも言うべき事態が起こる。1947年1月、東京裁判のソ連側検事のバシリエフ少将が突然、石井らの身柄の引き渡しを要求してきたのである。なぜ、ソ連が石井を。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
実はソ連側は、満州で捕らえた731部隊の柄沢少佐らの尋問から、中国での細菌
戦と人体実験の事実を既に掴んでいたのである。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
このソ連側の要求を受け、市ヶ谷の旧陸軍省では、急遽、米ソ会談が開かれた。席上、ソ連側は、人体実験に関する情報を米ソだけで独占しようと持ちかけたのである。一方でソ連側の要求は、731部隊の関係者にも衝撃を与えた。
◆石井四郎の娘の晴海さんは当時の様子をこう語っている。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
「増田さんが青酸カリを持って父に「隊長死んでくれ！」と。ね、それで、「家族も殺してくれ！」と。それで私は飛び出していって、その青酸カリを帯の間に入れたわけ。だから恐ろしいことをしたなと私は今思ってますけどね。」
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
米ソ会談から２週間後の1月２４日、内藤はGHQの尋問で初めて人体実験の事実を認めた。人体実験の事実を確認したアメリカ極東部は、石井たちをソ連側に尋問させるべきかどうか、本国に伺いをたてる電報を送っている。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
これに対してワシントンからの返答は、専門家に石井たちを尋問させ重要な情報をソ連側に渡してはならない、というものだった。）3月21日打電）アメリカは人体実験のデータの独占を謀ったのである。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
石井たちを尋問する専門家としてノバート・フェル博士が急遽、本国から派遣されたが、石井たちは「具体的なデータは消失したと主張し、調査は行き詰まってしまう。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
そればかりか石井はフェルに対して、細菌戦のエキスパートとして雇わないかと持ちかけてさえいるのである。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
◆石井四郎の娘晴海さんの証言
「向こうも渡すくらいなら、俺にも条件がある。一人残らず部下たちを戦犯にならないで助けること、それが条件だと。」
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テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
◆常石教授
「実はこの戦犯免責というのはきわめてあやふやなものだったということなのです。３回目の人体実験のデータと引き替えに戦犯免責をあたえることについては、石井隊長が相当強硬に文書による戦犯免責を与えてほしいということを強行に主張します。」
フェルの尋問が終わりに近づいた頃、内藤は、文書による免責を求めた。この内藤の申し出に対して極東軍はまたも本国に電報を打ち何度も伺いを立てている。
（1947年5月6日打電）
この電報をめぐりワシントンでは国務省と軍部が真っ向から対立した。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
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テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
◆アメリカのジャーナリスト ジョン・パウェル氏
「免責を与えて情報を手に入れろと軍が言いました。国務省がノーという。そんなことをしてそれが将来漏れたら我々の恥となるかもしれないので情報は秘密チャンネルにとどめると伝えるのがベストである。それが基本的に免責である。同時にそれが我々ができる最良の方法である、と言いました。」
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
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テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
長い議論の末、結局最後まで、石井たちに戦犯免責を保証する文書は与えられなかった。しかし、このダグウェイ軍事基地に保管されていた文書はまぎれもなく731部隊の人体実験に関するものなどであることから、最終的に石井と内藤は人体実験に関する詳細なデータを提供するよう諮ったと思われる。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
◆石井四郎の娘 晴海さんの証言
Q.資料というのは、米軍に渡っている訳ですよね。
「80％は・・・それははっきり私は聞いています。」
Q．でも残りは頭の中にあるとおっしゃったんですね。
「そうです。」
アメリカ軍の最終調査は、1947年12月12日付けビクターヒルのレポートにまとめられている。（ヒル・レポート）ここでヒルは、「貴重なデータがわずか25万円で入手できた」と書いている。
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
◆アメリカのジャーナリスト ジョン・パウェル氏
「アメリカの調査官が本当にほしかったのは人体実験に関するデータです。ヒル博士はレポートを書いていますが、我々はモラル上のためらいのため、人体実験をすることが出来なかったと言っていました。でも、石井氏の研究があるのでそれをもらって使うことが出来たのです。」
ソ連側の尋問はアメリカが情報を手にしたあとで、石井四郎の自宅で、米軍立ち会いの下で、形ばかりのものに終わっている。
◆石井四郎の娘、晴海さん証言
「研究データがほしかったんだと思います。アメリカもそうですし、ソ連も。両方が父を取り合ったんだから。」
出典：闇に消えた虐殺〜７３１部隊・細菌戦の真実
テレビ朝日、ザ・スクープ １９９８年
結局、東京裁判で731部隊の関係者が裁かれることはなかった。それどころか、内藤をはじめとする７３１部隊の関係者たちは重鎮として日本の医学界に君臨していくのである。
◆731部隊 戦後の職業・役員
病理班長 金沢大学医学部病理学教授
病理班長 京大医学部長
天然痘班長 京都微生物研究所
第二代隊長 ミドリ十字取締役
資材部課長 昭和薬科大学
林口支部長 総合病院南陽病院
昆虫班長 三重県立医専教助
焼成班長 東京衛材研究所
第二部 陸上自衛隊衛生病学校
ノミ研究班長 大阪市立大医学部長
軍医学校教官 ミドリ十字会長
防疫研究室嘱託 東大伝染病研究所長
航空班長 防衛大学
コレラ班長 京都大学
大連支部総務部長 目黒研究所
植物研究班長 抗生物質協会
細菌爆弾班長 国立衛生試験所
凍傷班長 京都府立医大学長
FIN
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