千葉日報 2000.2.18 社会面

生活クラブ生協・千葉 船橋で測定報告
県内ダイオキシン 沼南町で濃度最高値



 人体に多大な影響を及ぼすとされる化学物質のダイオキシン対策で、生活クラブ生協・千葉(池田徹理事長)は、県内のダイオキシン測定活動を行い十七日、船橋勤労市民センターで結果報告集会を開いた。測定結果では沼南町でダイオキシン濃度が最高値を示した。今後はデータをもとに研究機関と協力して、地域的な汚染実態や原因の究明、削減の方策などを検討したいとした。

 測定活動は昨年十月に行われ、生協を中心とする民間ボランティア約九千人が参加。全国各地に分布し測定対象に適しているとされる松の葉を採取し、京葉・東葛地域の二十四市区町三百五十カ所で松葉を集め、三十一検体をカダナの分析機関に依頼して解析を行った。

 測定結果では、南北を調査ポイントとした沼南町の二カ所がいずれも高く、松葉一グラム中のダイオキシン濃度は最高で八・〇五ピコグラム(ピコは一グラムの一兆分の一、厚生省方式では七・九九ピコグラム)を記録。印西市・栄町が七・一八ピコグラム、船橋市西部が六・九六ピコグラム、習志野市西部が六・二三ピコグラム、佐倉市西部が六・一三ピコグラムと続いた。

 最も濃度が低かったのは千葉市緑区で、一・六一ピコグラムだった。  国はことし一月十五日、ダイオキシン対策特別措置法を制定。これまで指針値だった〇・八ピコグラムから、新たに環境基準として〇・六ピコグラムと定めた。ダイオキシン濃度を測定している摂南大学の宮田秀明教授の研究によると、松葉中のダイオキシン濃度と大気中に占める年間平均濃度とを比較した場合、十対一の割合になるとされるが、今回の測定で高濃度を示した地域では国の基準を上回る可能性のあることが分かった。

 集会ではデータ解析に携わった環境総合研究所の青山貞一代表と池田こみち副代表が、測定結果について講評し、「結果が高いか低いかではなく、どこに住んでいても有害な化学物質の影響を受けているということを認識し、それを変えていく努力が必要だ」と訴えた。  民間レベルでのダイオキシン測定は全国でも同時期に実施されており、ことし五月に結果報告の全国
集会が行われる。