[ 戻る ] | 2002/2/8 |
毎日新聞千葉版 2002年2月17日 身近な話題 地域のニュース欄 ■清掃工場など周辺ダイオキシン濃度平均値より4割高■
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ダイオキシンの汚染度合いについて、松葉への付着物質量を調べている「生活クラブ生活協同組合・千葉」(千葉市美浜区、池田徹理事長)は昨年の調査結果をまとめた。それによると、発生源とみられる清掃工場などの周辺の松葉へのダイオキシン類の付着濃度は、その市や町全体を平均した濃度に比べ約4割高く、よりダイオキシンによる大気汚染が進んでいる傾向が浮かんだ。同生協は「清掃工場からのダイオキシンの排出防止対策が十分かどうか考える材料になる。サンプル調査の段階だが、測定は簡単で費用も安い。他の市民団体にも参加を呼びかける」としている。[河内敏康]
調査は、ダイオキシンが油に染み込みやすい特性に着目、油分が多い松葉への付着・蓄積量を測定するもの。1地域につき2〜25ヶ所のクロマツから計100gを採取し、カナダの分析機関で清掃工場など焼却施設から大気中に放出されやすいダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾパラダイオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)2種類の付着濃度を測った。
99年に千葉、船橋、木更津、八日市場など県内19市1町31地域の市街地などで初めて地点をサンプル抽出し調査したところ、清掃工場周辺の付着濃度が高いことがわかった。そこで、昨年10月から11月末にかけて千葉市や松戸市など県中西部の8市1町の10地域に絞り、市や町全体のダイオキシン類の平均付着濃度と、清掃工場の半径500mから1kmの区域の付着濃度を測り比べた。
その結果、PCDDとPCDFを合わせた実測値は、清掃工場周辺の付着濃度が1グラム当たり421ピコグラム(1ピコは1兆分の1)に対し、地域全体の平均濃度は310ピコグラム。ダイオキシンの毒性の強さを示す毒性等量も、清掃工場周辺が1グラム当たり5.48ピコグラムに対し、地域全体の平均値は3.89ピコグラム。実測・毒性等量とも清掃工場周辺が、地域平均に比べ4割高かった。
同生協の前田和記理事は「今回の清掃工場周辺の数値は大気中の濃度に換算すると、国の環境基準値=大気1立方メートル当たり0.6ピコグラムを超える可能性もある。データの信頼性を高め、警鐘を鳴らしていきたい」と話している。問い合わせは、同生協(tel:043-278-7172)。
写真:測定に必要な松葉は「松1本につき、60本もあれば足ります」 (と松葉を示す組合員)